プログラム活動

ALFP2004年度フェロー

 

   
カリーナ・アフリカ・ボラスコ Karina Africa Bolasco/アンヴィル出版出版事業統括部長;詩人

フィリピン大学にてフィリピン研究を専攻し、修士号を取得するかたわら、労働省のスタッフ・ライターを務めた経歴を持つボラスコ氏は、聖スコラスティカ大学及びアテネオ・デ・マニラ大学での文学・英語学の教職を経て、1979年以来出版業に携わってきた。その後、全国規模で展開されている「ナショナル・ブックストア」社から、教育及びアイデンティティ形成という観点から様々なテーマをとりあげた書籍を得意とするアンヴィル出版を独立・創設。現在は、原稿の校閲から在庫管理、宣伝広報、マーケティング、流通販路拡大まで、アンヴィルの全てを監督し、組織運営を統括している。ナショナル・ブック賞や年間最優秀発行人に何度も輝いた氏の実績は、市民生活を知的に潤す活動への貢献が広く認められていることを物語っており、1995年には書籍出版と識字普及活動により国に貢献した女性10名の一人に選ばれた。また、氏が自ら執筆したエッセイや詩の数々も作品集として世に出されている。

研究テーマ: 多民族社会における文化教育とアイデンティティ形成:フィリピンの文化指標構築をめざして


キンレイ・ドルジ Kinley Dorji/Kuensel新聞社専務理事・編集長

米国コロンビア大学でジャーナリズムを専攻、修士号取得。ブータン唯一の新聞社、Kuensel(クインセル)が国営から民間企業へと転換する困難な時期にも中心的役割を果たし、現在は編集方針を含めたその運営全体を統括している。ドルジ氏はメディア界の傑出した識者として、君主制から民主制へと急速にその政治システムを変容させつつあるブータンの社会・経済状況を常に注視し、論考を発表している。同氏はまた、国家発展の新しい概念としての国民総幸福論(Gross National Happiness)の推進者であり、資本主義と共産主義の間の「第三の道」を見つけるために、精神と物質の調和のとれた社会開発に対する全体論的なアプローチが重要だと考えている。真の幸福を追求する方策としてのこの革新的な考え方によって、人間開発における新しいパラダイムの道を開くことが期待される。

研究テーマ: アイデンティティ、安全保障、民主主義、ブータン生き残りへの礎

 


費春放 Faye Chunfang Fei/華東師範大学英語学部教授;大学院アメリカ研究プログラムディレクター

世界の演劇を専門とする研究者/芸術家として尊敬され活躍するフェイ氏は、ニューヨーク市立大学大学院にて博士号を取得し、上海に戻るまでの8年間、米国において、批判理論、劇文学、演劇史の教鞭をとった。『Chinese Theories of Theatre and Performance from Confucius to the Present』(ミシガン大学出版、1999年)をはじめ、同氏が執筆・編集した出版物は数多い。最近は女性の舞台人の役割を比較することを通じて異なる文化圏にある女性のアイデンティティを考察するというユニークな異文化研究プロジェクト「Theatre Herstory」に取り組んでいる。また劇作家としても国際的に高く評価されており、代表作の一つである『Chinese Dream』は自国のみならず、米国、日本、シンガポールでも上演された。詩や短編小説を手掛ける作家でもある。

研究テーマ: パブリック・フォーラムとしての演劇

 

 


ジャムハリ Jamhari/国立イスラム大学イスラム社会研究センター(PPIM-UIN, Jakarta)所長

オーストラリア国立大学にて人類学の博士号を取得したジャムハリ氏は、イスラム社会における民主主義の普及やムスリム(イスラム教徒)の市民社会への適合性について詳しい、卓越したイスラム研究者として知られる。昨今は、宗教原理主義台頭の根源となっている農村部の貧困問題の悪化を懸念し、関心を寄せている。氏が所長を務めるイスラム社会研究センター(PPIM-UIN, Jakarta)では、ムスリムと非ムスリムの相互理解促進を目的とした学際的な調査研究の推進役として、誤解に基づいたムスリム社会への不公正の問題に取り組み、西洋的価値体系との関連でイスラム教がもつ現代的意義を模索・探求している。最新著書に、『Islamic Contemporary Movement: The Rise of Islamic Radicalism』 (ロゴス、2004年)がある。

研究テーマ: 宗教原理主義の台頭:インドネシアにおける民主主義への挑戦

 


チャンドリカ・セパリ・コテゴーダ Chandrika Sepali Kottegoda/Women and Media Collective創設メンバー・共同代表

男女共同参画社会の実現を目指した市民運動の最前線で牽引役を務めるセパリ氏はジェンダー及び女性学を専門とした行動派の研究者として知られている。英国のサセックス大学にて開発学の博士号を取得。その創設に参与し自ら共同代表を務める非営利団体Women and Media Collective(女性とメディアの共同体)は、メディアにおける差別・偏見のない女性の表象、さらなる女性の政治参加・社会進出への働きかけ、女性への暴力撲滅を主な活動領域としている。コロンボ大学の講師として女性学の博士プログラムの教鞭を執りながら、その専門知識を駆使して紛争の原因となりうるジェンダーに対する偏見や社会開発における不平等に対する喚起を促したアドボカシー運動を推進している。貧困対策としての女性のエンパワーメントや持続可能な開発の促進に向けたその尽力は、行政及び市民社会の両次元で高い評価を得ている。

研究テーマ: スリランカにおけるジェンダー・アイデンティティと経済開発

 


草郷 孝好 Kusago, Takayoshi/北海道大学大学院経済学研究科助教授

スタンフォード大学で開発経済学の修士号を取得、のちにウィスコンシン大学マディソン校にて開発学の博士号を取得。フィールドから得た知見を開発政策や計画策定に生かすことで、先進国と途上国間の開発協力に関するパートナーシップの構築や、政策立案者、援助機関、実務家、そして地域住民など様々なグループ間の橋渡しに力を注いでいる。2001-03年には、国連開発計画(UNDP)開発政策局の貧困削減政策アドバイザーとしてバンコクに駐在し、多面的学際的なアプローチにより、貧困をもたらす主要因の把握と分析を行い、具体的に貧困削減政策を提言した。アジアにおける持続的な貧困削減の実現、社会経済開発の進展のためには、氏の見識と指導力がますます重要になってきている。

研究テーマ:日本における「経済成長」対「人間開発」の現状

 


グエン・ヴァン・チン Nguyen, Van Chinh/国立ベトナム大学ハノイ校民族学部専任講師・アジア太平洋研究センター副所長

オランダのアムステルダム大学にて博士号取得。その博士論文『名も無き労働:北ベトナム農村部における児童労働の変容パターン』は2001年度オランダ社会文化科学協会(Netherlands Association of Social and Cultural Sciences)賞の佳作に選ばれた。主に児童労働、教育、移民、少数民族の問題に焦点を当てながら、最近は不遇/辺境に置かれた人々の貧困問題の軽減と社会正義の回復の研究に関心をもって取り組んでいる。大学における教職・研究職に携わる一方で、アジア開発銀行、世界銀行、世界保健機構などの国際機関や「セーブ・ザ・チルドレン」などのNGOの地域支部のコンサルタントとして活躍している。グエン氏は、こうしたプロジェクトへの関与を通じ、弱い立場に置かれた人々の生活状況や子供の教育の改善を目指している。

研究テーマ: ベトナムの経済成長過渡期における児童労働と教育