【新渡戸国際塾】 第十期カリキュラム

第十期(2017年度)カリキュラム

第十期では、さまざまな視点や角度から新しい世界を切り拓き、活躍されている多彩な講師をお迎えします。

第1回 2017年6月17日(土) 1:00~5:00 pm

開講式&オリエンテーション

第2回 2017年7月1日(土) 講義&討議(於:渋沢史料館) (1:30~5:30 pm)

「渋沢栄一 愛と勇気と資本主義~未来を拓く経営思想~」

「格差社会」を生んだ資本主義は終焉すべきという論調が絶えません。「日本資本主義の父」渋沢栄一は資本主義こそ民間力を通じて未来を拓く人間の智恵であると信じ、幕末から明治にかけて新しい社会の創造を目指しました。栄一翁の生き方や思想をたどりながら、資本主義の原点を学び、21世紀の資本主義について再考します。

渋澤 健
(コモンズ投信株式会社取締役会長、公益財団法人渋沢栄一記念財団業務執行理事)

写真:渋澤健1961年生まれ。1983年テキサス大学BS Chemical Engineering卒業。1984年(財)日本国際交流センター入職。1987年UCLA経営大学院にてMBAを取得。その後、ファースト・ボストン証券会社(NY)、JPモルガン銀行(東京)、JPモルガン証券会社(東京)、ゴールドマン・サックス証券会社(東京)を経て、ムーア・キャピタル・マネジメント(NY)にて勤務。1997年には同社東京駐在員事務所を設立。2001年にシブサワ・アンド・カンパニー株式会社を創業し、2007年コモンズ株式会社を設立、2008年にコモンズ投信へ改名し、会長に就任。2004年より経済同友会幹事、その他にも多くの非営利組織の理事・評議員を務める。近著に『渋沢栄一 愛と勇気と資本主義』(日経ビジネス人文庫、2014年)、『渋沢栄一 100の金言』(日経ビジネス人文庫、2016年)などがある。

第3回 2017年7月15日(土) 勉強会 (2:00~5:00 pm)

スタディツアー前に、福井県鯖江市について学びます。

第4回 2017年7月22日(土)~23日(日) 鯖江スタディツアー

眼鏡をはじめ、繊維や漆器産業など古くから「ものづくりのまち」として発展してきた福井県鯖江市。近年では、中国製品の台頭や少子高齢化という日本全体が直面する課題にユニークな取組みでいち早く対応し、国内のみならず世界からも注目されています。現地で成長分野へ進出する企業支援や「世界にはばたくめがねのまちさばえ」のブランド力向上への取組みを学びます。

「人は城、人は石垣、人は堀信玄に学ぶ牧野流“国づくり”」

「地方から国を変える」という強い志を持ち、新しいことに挑戦し続ける牧野市長は、常に市民の声を聞くことを何よりも重視する市民参加型のまちづくりを目指しています。抜群のリーダーシップと決断力で民主主義を市政で実践している氏に、鯖江モデルから日本の目指すべき未来についてお話しいただきます。

牧野 百男 (福井県鯖江市長)
写真:牧野百男1941年生まれ、福井県鯖江市出身。福井県総務部長、福井県小浜市副市長、福井県議会議員を経て、2004年より現職。大学のないまちでの「学生連携によるまちづくり」、市民が主役の「市民参加と協働によるまちづくり」、市民との情報共有による「オープンデータによるITのまちづくり」を推進。「地方から国を変える」高い志と強い意気込みで、「河和田アートキャンプ」、「地域活性化プランコンテスト」、「鯖江市役所JK課」、「オープンデータ」など、全国に先駆けてさまざまな事業に挑戦し続ける。現在、日本で唯一の産地である「めがねのまちさばえ」を国内外に向けて発信し、地域全体のブランドイメージの向上に取り組んでいる。

第5回 2017年8月5日(土) 公開講演&討議 (1:30~5:30 pm)

「『民主主義』とは何か」

戦後70年、平和と安定を求めてきたはずの世界は今、テロの横行やポピュリズムの台頭に直面しています。私たちが追い求めてきた「民主主義」とは果たして何だったのか。「国」のもっとも根幹にかかわるこの概念について、これまでの常識を捉え直し、今の時代・世界にあった「新しい枠組みや秩序」の可能性について考察します。

佐伯 啓思 (京都大学名誉教授)
写真:佐伯啓思奈良市生まれ。京都大学名誉教授、こころの未来研究センター特任教授。1979年東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学後、広島修道大学商学部講師、滋賀大学経済学部助教授、京都大学総合人間学部教授、大学院人間・環境学研究科教授を歴任。政治学、経済学、社会学、思想史等から得られた知見を総合して現代社会のさまざまな問題を論じ、経済のグローバル化と国家の関係、西欧近代社会の帰結、その背景思想について考察。サントリー学芸賞(1985年)、東畑記念賞(1994年)、読売論壇賞(1997年)、産経正論大賞(2007年)。『現代文明論講義』(ちくま新書、2011年)、『経済学の犯罪』(講談社現代新書、2012年)、『反・民主主義論』(新潮新書、2016年)など著作多数。 

第6回 2017年8月26日(土) 塾長との討議 (2:30~5:00 pm)

時宜を得たテーマを選び、塾長と「討議」します。
明石 康 (新渡戸国際塾塾長、国際文化会館理事長)
写真:明石康東京大学教養学部卒、フルブライト奨学生としてバージニア大学大学院で国際政治学を修了。タフツ大学フレッチャースクール博士課程在学中の1957年、日本人で初めて国連に入り、広報や軍縮担当の国連事務次長、カンボジアや旧ユーゴスラビア担当の事務総長特別代表などを歴任。1997年末、人道問題担当事務次長を最後に退官。現在、国際文化会館理事長、スリランカ平和構築及び復旧・復興担当日本政府代表、公益財団法人ジョイセフ会長、立命館大学大学院客員教授などを務める。主な著書に『生きることにも心せき―国際社会に生きてきたひとりの軌跡』(中央公論新社、2001年)、『国際連合―軌跡と展望』(岩波新書、2006年)、『戦争と平和の谷間で―国境を超えた群像』(岩波書店、2007年)、『独裁者との交渉術』(集英社、2010 年)など。

第7回 2017年9月9日(土) 特別プログラム (1:00~5:00 pm)

塾生によるグループ・ワーク

第8回 2017年9月23日(土)~24日(日) 研修合宿(於:清里・清泉寮)

「私たちが描く2030年のシナリオ」

グローバル化や技術革新によって世界が大変革を遂げるなか、現代社会はいま、既存の政治や経済、社会システムの秩序や枠組みが根底から覆される出来事に直面しています。この混迷の時代に、私たちは今後どのような未来をつくるのか。多面的かつ巨視的な視点と、自らの属するセクターという身近な視点の両方から世界を捉え直し、議論します。

渡辺 靖 (新渡戸国際塾コーディネーター、慶応義塾大学SFC教授)
写真:渡辺 靖専門は文化人類学、文化政策論、グローバリゼーション研究、アメリカ研究。1997年ハーバード大学より博士号(社会人類学)取得。ハーバード大学国際問題研究所アソシエート、オックスフォード大学シニア・アソシエート、ケンブリッジ大学フェロー、パリ政治学院客員教授などを経て現職。主著に『アメリカン・コミュニティ―国家と個人が交差する場所』(新潮社、2007年)、『アメリカン・センター―アメリカの国際文化戦略』(岩波書店、2008年)、『文化と外交―パブリック・ディプロマシーの時代』(中公新書、2011年)、『<文化>を捉え直す―カルチュラル・セキュリティの発想』(岩波新書、2015年)、編著に『Soft Power Superpowers: Cultural and National Assets of Japan and the United States』(M.E. Sharpe Inc., 2008)など。

第9回 2017年10月7日(土) 公開講演&討議 (1:30~5:30 pm)

ゲスト講師を招いての公開講演および討議

第10回 2017年10月15日(日) 在京外国人との対話 (1:00~5:00 pm)

滞日中の外国人フェローとの対話

第11回 2017年10月28日(土) 公開講演&討議 (1:30~5:30 pm)

「自由と平和を追い求めたシリアの『理想』と『現実』」

2011年に中東各地に広がった「アラブの春」。シリアにおけるこの民主化運動は、なぜ国民の半数以上が難民となる「内戦」にまで発展したのか。シリア人ジャーナリストのエルカシュ氏に、シリアの「理想」と「現実」について、また国際社会が今後、中東地域の安定のために果たすべき役割についてお話しいただきます。

ナジーブ・エルカシュ (ジャーナリスト、リサーラ・メディア代表)
写真:ナジーブ・エルカシュ 1973年シリア生まれ。レバノンのベイルートアメリカン大学卒業(心理学専攻)。英国のロンドンフィルムアカデミーで映画制作を学び、1997年に来日。東京大学大学院、名古屋大学大学院にて映画理論を研究、日本映画のヌーベルバーグ、主に今村昌平を専門とした。制作会社リサーラ・メディアの代表として1998年から日本や北東アジアを取材し、アルアラビーヤやクウェート国営TV、オマーン国営TV、ドバイTV、フランス24、アシャルク・アルアウサト新聞など、アラブ諸国やヨーロッパのメデイアに取材を配信。東日本大震災以降、東北を集中的に取材。BS-TBS『外国人記者は見た!』レギュラーゲスト、『NEWS ZERO』、『テレビ史を揺るがせた100の重大ニュース』、『カツヤマサヒコSHOW』などに出演。アラブ・アジア・ネットワーク(A-Net)の代表として、文化交流の分野にも活動している。2005~08年に東京で開催したアラブ映画祭(国際交流基金主催)や山形国際ドキュメンタリー映画祭のアドバイザー。2008年に東京でアラブ・フェスティバルを主催し、アラブのジャズ音楽やアニメオタク文化を紹介。愛知万博、上海万博、韓国の麗水万博では、参加したアラブ諸国の報道事業を担当した。2020年に開催される東京五輪とドバイ万博を通じて、五輪や万博など「メガイベント」分野におけるパブリック・ディプロマシーのあり方を考えている。2006~07年には駐日クウェート大使館における教育・文化事業を担当した。

リサーラ・メディア: risala.tv
アラブ・アジア・ネットワーク:arabasian.net  

第12回 2017年11月4日(土) 公開講演&討議 (1:30~5:30 pm)

「伝統から未来へ能×現代音楽で世界を拓く」

能という、武士の庇護を受けて発展してきた“男性の世界”で、家元の家系でもなく、女性でありながら能を学び、現在世界を舞台に活躍する青木氏。既存の枠組みの中にいられなかったからこそ、違う枠組みを探し求めてきたといいます。欧米を中心に現代音楽とのコラボレーションなどを通して“新しい表現者”を目指す青木氏にお話を伺います。

青木 涼子 (能×現代音楽アーティスト)
写真:青木涼子 東京藝術大学音楽学部邦楽科能楽専攻卒業(観世流シテ方専攻)。同大学院音楽研究科修士課程修了。ロンドン大学博士課程修了(Ph.D取得)。世界の主要な作曲家と共同で、能と現代音楽の新たな試みを行っている。2010年より作曲家に委嘱するシリーズを主催、2014年にはデビューアルバム「能×現代音楽」(ALCD-98)をリリースした。日本だけでなく世界の音楽祭に招待されパフォーマンスを行っている。2013年にはマドリッドのテアトロ・レアル王立劇場にてG・モルティエのキャスティングのもと、W・リーム作曲オペラ《メキシコの征服》(P・オーディ演出)のマリンチェ役で好演。平成27年度文化庁の文化交流使に任命され、ヨーロッパで活動を行った。あいちトリエンナーレ2016で、A・デュモン作曲オペラ《秘密の閨》に主演した。

青木涼子公式ホームページ: ryokoaoki.net

第13回 2017年11月18日(土) 公開講演&討議 (1:30~5:30 pm)

「智慧がもたらす希望の扉次世代が築く新たな日中関係」

尖閣諸島をめぐり日中関係が冷え込んだ直後に、日本の文化や暮らしを中国人に紹介して話題となった月刊誌『知日』。その主筆を務め、2016年には在日中国人の目を通した日本を伝える雑誌『在日本』を創刊し、これまでとは全く違う角度や視点で日中関係を見つめる毛教授に、新たな関係構築の担い手となる塾生世代に向けてお話しいただきます。

毛 丹青/マオ・タンチン (作家、神戸国際大学教授)
写真:毛丹青北京大学東方言語文学科卒業後、中国社会科学院哲学研究所助手を経て、1987年、三重大学に留学。商社勤務などを経て、日中両語による執筆活動を開始。来日してから日本各地への旅を続け、中国人の目線で見た「ありのままの日本」を中国の主要な旅行雑誌などで特集記事として紹介してきた。中国各地の大学に赴き、「日本と私の日常」というテーマで講演を行うなど、日中文化交流に尽力している。代表作『にっぽん虫の眼紀行』(法蔵館、1998年・文春文庫、2001年)をはじめ、著書やソーシャルメディアなどを通じて日本を積極的に発信するほか、2011年には日本文化に特化したビジュアル月刊誌『知日』を北京で創刊、その主筆を5年間にわたって務めた。2016年4月に雑誌『在日本』を上海で創刊、現在編集長を務める。日本に対する中国人の理解促進に大きく貢献している。

第14回 2017年12月2日(土) 3:00~6:00 pm

修了式

各回時間割

1:30~2:30pm (60分) 講師による講義 「公開」の回は、講演を一般公開
2:30~3:00pm (30分) 質疑応答
3:00~3:20pm (20分) 休憩 塾生のみ
3:20~5:30pm (130分) 講師と塾生による自由討議

※プログラムや日程は、講師の都合などにより、変更になる場合があります。
 その場合は、事前にご連絡いたします。

お問い合わせ

国際文化会館 企画部
〒106-0032 東京都港区六本木5-11-16
TEL: 03-3470-3211 (土日祝日・年末年始を除く 午前9時~午後5時)
FAX: 03-3470-3170