「私がこの本を通して、読者に伝えたいと願うのは、失われた日本の伝統美に対して、ただ懐かしさに駆られて振り返ることだけではない。(中略)暮らし方や、住まいや、生活環境は、自然との関係が濃密なものであり、日本では、ゆっくりとまるで昔からそこにあったように変化した。人々の知恵が住まいの上に豊かに注がれていた一番の理由はそこにあった。(中略)私たちはかけがえのないものを失ってしまった。失ったものの本当の意味をしっかり見届けておきたい。そうすれば何かの形で、好きなもの、大事なものを、これからの住まいに引き継ぐことが出来るかもしれない」(英語版への序より)