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【新渡戸国際塾公開講演】 激動のアジアに見る日米関係


  • ※本講演は終了いたしました。講演のレポートをお読みいただけます。
  • 講師: ロバート・M・オアー
    (戦略国際問題研究所[CSIS]アジア太平洋部門理事、前アジア開発銀行米国大使)
  • 日時: 2016年7月2日(土) 1:30~3:00 pm 6月25日(土)1:30~3:00 pm
  • 会場: 国際文化会館 講堂
  • 用語: 英語(通訳なし)
  • 会費: 無料 (要予約)

米国政府や大学でのキャリアを経て、民間企業で要職を歴任したオアー氏。モトローラ社では、日本の携帯電話市場の開拓を成功に導き、ボーイングジャパンではボーイング機の売り上げ最盛期の一端を担いました。その後、2008年米大統領選挙の際には、オバマ陣営のアジア戦略アドバイザーを務め、2010年~2015年12月という、奇しくも中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)形成の時期に、アジア開発銀行(ADB)米国大使として、アジア太平洋地域でその手腕を発揮しました。日本にも造詣の深いオアー氏に、今後の日米関係、AIIBとADBなどアジアの地域や機構の今後の役割についてお話しいただきます。

ロバート・M・オアー
(戦略国際問題研究所[CSIS]アジア太平洋部門理事、前アジア開発銀行米国大使)

写真:ロバート・M・オアーフロリダ・アトランティック大学を主席で卒業、ジョージタウン大学にて修士号(政治学)、東京大学にて博士号(政治学)を取得。1976年に米国下院議員の立法担当秘書としてキャリアをスタート、米下院外交委員会のアジア分科会、米国国際開発庁(USAID)などで経験を積む。1985年から93年までテンプル大学日本校教授、うち2年は京都にある国際日本文化研究センターやスタンフォード日本センターのスタンフォード技術革新センターの運営にも携わる。その後、モトローラ社本社および日本支社で副社長など歴任、2002年から07年にはボーイングジャパン株式会社社長を務める。2007年から10年まで、パナソニック財団(米国)の会長、2008年米大統領選挙の際には、オバマ陣営のアジア戦略アドバイザーとして活躍。2010年9月から2015年12月31日までアジア開発銀行米国大使を務め、現在は、戦略国際問題研究所[CSIS]アジア太平洋部門理事。

新渡戸国際塾とは

国際文化会館は日本ならびに日本人の国際的な存在感が希薄になっている現状に鑑み、次世代を担う人材育成のため「新渡戸国際塾」を開校しました。「国際性」と「リーダーシップ」をテーマに、塾生たちは、講師陣の豊かで先駆的な生き方や専門性から、多様な考え方と視点を学んでいます。第九期は期を通して「2030年の世界―新しい社会への挑戦」について考えます。各分野の第一線で活躍する講師陣による講演を一部公開していますので、是非ご参加ください。

プログラム・レポート

中国の政治的・経済的台頭はアジア域内の緊張のみならず、国際社会の構造に多大な影響を及ぼしている。2015年末までアジア開発銀行(ADB)米国大使を務めたロバート・オアー氏が、不安定化するアジアの課題や、2014年に中国主導で設立されたアジアインフラ投資銀行(AIIB)の展望、ADBとの対比などについて、第一線で活躍した経験をもとに語った。

アジアの不安定要因の一つとして挙げられたのが、中国が強固に進める国益拡大政策と開発だ。「中国が何より国際社会に求めているのは、彼らに対する敬意だろう。植民地時代に起因するものだろうが、現代版シルクロードを目指す『一帯一路』構想や軍事活動、そして今回のAIIB設立など、彼らの言動の端々にそれが表れている」というオアー氏。事実、中国はADBにとって最大級の借入国であると同時に、世界第2位の経済大国でもあり、「AIIBの設立は、彼らが自らにふさわしい土俵で戦えていないという意識の表れだろう」と述べた。

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一方のADBは、今から50年前の1966年に設立され、マニラに本部を置く国際開発金融機関だ。現在は67カ国/地域が参加、日本の元財務官の中尾武彦総裁をトップに、最高政策決定機関である総務会(Board of Governors)と、日常業務の意思決定を行う理事会(Board of Directors)で構成され、約3,000人の職員がいる。オアー氏が米国大使を務めた2010~15年は、まさしく中国がAIIBの立ち上げを加速させた時期だ。最初に同氏が新銀行設立の動きを認めたのが2012年。「すぐにワシントンに報告したが、当時は誰も関心を持たなかった」という。ところが2014年秋には中国、アジアおよび中東の22カ国が設立の覚書に署名する事態となり、ワシントンの空気が一変した。この間に日米両国をはじめ、アジアやオセアニア、ヨーロッパで起きていたさまざまな水面下の動きについても言及した。

「米国側の最も大きな懸念は、AIIBのセーフガード政策だった」というオアー氏。環境や社会への配慮は欧米の非政府組織が最も注視する事柄だからだ。また常任理事会の設置がないことも、ガバナンス上非常に大きな問題だと指摘。ただ前者についてはADBや世界銀行の憲章に倣い、書面上はほぼADBの水準に近いものになってきたという。その上でオアー氏は、影響力を保つためにも日本と米国は連帯してAIIBに加盟するべきだという個人的見解を述べた。

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(本講演の内容は、2017年夏に発行予定の新渡戸国際塾講義録に収録予定です)