2008年度 アイハウス・パブリック・プログラム

国際交流基金賞 日本研究部門 受賞記念/ケネス・パイル氏講演会
Emerging Political Generations in East Asia

  • 講師: ケネス・パイル(ワシントン大学歴史学部・同大ヘンリー・ジャクソン・スクール教授)
  • 日時: 2008年10月2日(木) 2:30 – 5:00 pm (開場2:00 pm)
    *講演は1時間を予定しております。そのあと交流会を行います。
  • 会場: 国際文化会館 岩崎小彌太記念ホール
  • 会費: 無料 (要予約)
  • 用語: 日本語/英語(同時通訳付き)
  • 主催: ジャパンファウンデーション、財団法人 国際文化会館

ケネス・パイル プロフィール

ケネス・パイル1936年生まれ、1958年ハーバード大学卒業、65年ジョンズ・ホプキンス大学にて博士号取得(日本史)。日本近・現代史、政治・外交史で優れた多大な業績を納め、日本研究のリーダーのひとりとして活躍。数々の研究機関、諮問機関において活発な活動を行うとともに要職に就いて、米国における対日理解の促進に多大な貢献をした。
1989年にシンクタンクのアジア研究ナショナル・ビューロー(National Bureau of Asian Research(NBR))を設立してアジア研究の振興に努めるとともに、行政機関への政策提言、助言を行っている。2006年11月にはNBR内に北東アジア研究に特化した「パイル・センター」Kenneth B. and Anne H.H. Pyle Center for Northeast Asian Studiesが創立された。(1999年勲四等旭日中綬章)
2007年に、今日までの約150年の日本の外交政策について分析した著書『Japan Rising-The Resurgence of Japanese Power And Purpose』が刊行された。

アイハウス・プレス『Learning for Life: The Kumon Way』出版記念講演
世界に広がる日本の寺子屋イズム

  • 講師: 木下玲子(ジャーナリスト)
  • 日時: 2008年10月23日(木) 6:30 pm (開場6:00 pm)
  • 会場: 国際文化会館 岩崎小彌太記念ホール
  • 会費: 無料 *ただし事前予約が必要です。
  • 用語: 日本語(通訳なし)
  • 主催: 財団法人 国際文化会館、ジャパン・ソサエティー、株式会社 岩波書店

世界各地で、今ほど「教育」が混迷している時代はありません。ジャーナリストの木下玲子氏は、ソフト・パワーとしての教育に注目し、「寺子屋」の精神を継承する日本の市民社会から生まれた公文式学習法という教育サービスが、現在、世界45カ国・地域で400万人を超える人々に受け入れられている、その謎を解き明かそうと、17の国と地域を訪れ、それぞれが抱える教育事情を取材してきました。そのルポルタージュ『寺子屋グローバリゼーション――The Kumon Way』(岩波書店2006年刊)のアイハウス・プレス版(英語版)刊行を記念し、日本が発信するこの新たなソフト・パワーについてお話しいただきます。なお、当日は本の販売と、講演の後にサイン会も行います。

木下玲子 プロフィール

木下玲子ジャーナリスト。1990年から「日本に欠けているパワー」をテーマに研究と取材活動を行う。その成果は、『インフルエンシャル――影響力の王国』(1991)、『プライズ――「九つの賞」の背景』(1993)、『欧米クラブ社会』(1996)、『アメリカン・バブル』(2001)(いずれも新潮社)の4冊に収められている。1993~98年、ジョンズ・ホプキンス大学SAIS(ポール・H・ニッツェ高等国際問題研究大学院)ライシャワー・センター客員研究員として、「日米関係再構築」を研究。2002年、国際文化会館、国際交流基金の共催によるアジア諸国のさまざまな分野において際立ったリーダーシップを発揮している専門家を招聘するプログラム、アジア・リーダーシップ・フェロー・プログラム(ALFP)のフェローに選出される。また、1995年から2005年まで、世界各国で活躍する現役女性ジャーナリスト1,400名を抱える国際女性メディア財団(IWMF)で、アジア・太平洋地域を代表する唯一のアジア系理事を務めた。他の著書に、『ファースト・チーム』(集英社1993)、『寺子屋グローバリゼーション――The Kumon Way』(岩波書店2006)など。

シンポジウム 黒澤明監督の「遺産」~内外で異なる評価をめぐって~

「羅生門」(1950年)は、世界のベスト映画百選に常に名前があがる黒澤明監督の代表作ですが、封切り当時、国内の最優秀作品には選ばれず、「七人の侍」(1954年)も国内では大きな映画賞の受賞には至りませんでした。後年、監督は「海外における日本映画の普及に貢献した」として数々の賞を受賞しましたが、黒澤監督の作品は海外で本当に理解されて
いるのかという意見もあり、国内での評価は分かれています。
このシンポジウムでは、世界映画の巨匠、黒澤明監督の没後10年となる2008年を迎え、内外の評論家や関係者の方々をお招きし、監督が日本と海外に残した影響、その異なる2つの「遺産」について検証します。

  • 日時:2008年3月1日(土)
  • 会費: 1500円(国際文化会館会員/学生800円)
  • 用語: 日本語/英語(同時通訳付き)
  • 主催: 財団法人国際文化会館
  • 定員: 120名

プログラム

  • 午後1時30分 映画上映「羅生門」 (1950年 白黒、英語字幕付 90分)
  • 午後3時05分  コーヒーブレイク)
  • 午後3時30分  基調講演 アンドリュー・ホルバート(東京経済大学客員教授)
  • 午後4時00分  パネル・ディスカッション
  •    司会:アンドリュー・ホルバート
    パネリスト:野上照代(元黒澤プロダクション マネージャー/『天気待ち~監督・黒澤明とともに』)
    石坂健治(東京国際映画祭ディレクター)
    クリス・フジワラ(映画評論家)
    ドナルド・リチー(映画史研究家/『The Films of Akira Kurosawa』著者)
    全体討議/質疑応答
  • 午後5時45分  閉会

アンドリュー・ホルバート(東京経済大学客員教授) プロフィール

アンドリュー・ホルバート1946年ハンガリー、ブダペスト生まれ。ブリティッシュ・コロンビア州立大学東洋学部卒業。同大学にて言語学修士号を取得。AP通信、Los Angeles Times、The Independent特派員やアメリカン・パブリック・ラジオ東京支局長、(社)日本外国特派員協会会長、アジア財団日本事務所代表などを歴任。

パネリスト

  • 野上照代(元黒澤プロダクション マネージャー)野上照代
    戦後、雑誌記者を経て、大映京都のスクリプターとなり『羅生門』で黒澤明監督と出会う。その後、東宝へ移り、『生きる』以降の黒澤全作品の製作に参加。自伝的少女時代の家族を描いた『父へのレクイエム』が84年読売女性ヒューマン・ドキュメンタリー大賞優秀賞を受賞。著書に『天気待ち 監督黒澤明とともに』、『母べえ』、『蜥蜴の尻っぽ』など。
  • クリス・フジワラ(映画評論家)クリス・フジワラ
    Boston Pheonix、季刊インターコミュニケーション, Osian’s Cinemaya, Film Internationalなどにて、国際的に評論活動を行っている。アメリカのイェール大学、エマーソン大学や東京のアテネ・フランセにて映画研究や映画史を講じている。著書にJacques Tourneur: The Cinema of Nightfall、編著書にDefining Moments in Moviesなど。
  • 石坂健治(東京国際映画祭アジア部門ディレクター)クリス・フジワラ
    早稲田大学大学院にて映画学専攻。2007年まで国際交流基金フィルム・コーディネーターとして、アジア・中東映画の日本への紹介事業(約70件)を企画運営。主なものに「インドネシア映画祭1993」、「タイ映画祭2003」など。早稲田大学・明治学院大学講師、韓国芸術綜合学校映像院招請教授(98~99年)。共著に『映画のなかの天皇』、『講座アジア第8巻・構想』など。
  • ドナルド・リチー(映画史研究家)クリス・フジワラ
    1947年に占領軍の民間人要員として来日し、Pacific Stars and Stripes紙で特集記事や映画評論を担当。日本映画研究において、欧米では彼の右に出るものはいない。著書のThe Films of Akira Kurosawa及びA Hundred Years of Japanese Film: A Concise Historyは、海外の日本映画ファンにとって必携の書となっている。

アイハウス連続セミナー 「語り尽くそう、教養を~棚上げされたその真価を問う~」

教養についてはすでに語り尽くされた感があります。つまり、「教養は長期に低落しているが、その価値は疑いもない、以上」と。しかし、疑いもないのなら、なぜ低落するのでしょうか。教養が徹底的に問われたことは、ないのではないでしょうか。あるいは、低落しているのではなく、無視され、蒸発しているのではないでしょうか。
本シリーズでは、様々な分野の第一線で活躍する方々を講師にお迎えして、大学教育、身体、政治、そして出版の視点から教養に関する固定観念や定説を検証します。

  • コーディネーター: 船曳建夫(東京大学大学院教授)
  •        会場: 国際文化会館 講堂
  •        会費: 4回一括5,500円(国際文化会館会員/学生 1,800円)
    1回1,500円(国際文化会館会員/学生500円)
  •        用語: 日本語
  •        主催: (財)国際文化会館
  •        後援: (財)国際文化交流推進協会  (財)グルー・バンクロフト基金

講師及びテーマ

  • 2月19日(火) 午後7時
    「大学で教養は教育できるのか」
    講師:船曳建夫(東京大学大学院教授)
    船曳建夫
    大学教師は、ある分野の専門家であっても、広い範囲の知に関心を持っているとは限りません。一方、大学生は、まず広い範囲の知を必要とします。それなくしては、現実社会の複雑さに対応できないし、専門も選択できないからです。その「広い範囲の知」を教養と仮定すると、大学は、関心の狭い教師と、漠とした関心を持つ学生とのあいだで、「教養教育」が成り立たないまま、かつての権威の残存によって生きながらえていることになります。そこに明日はあるのでしょうか?
  • 2月25日(月)午後7時
    「『教養』としてのからだの気づき~コミュニケーションについて」
    講師:竹内敏晴(演出家)
    竹内敏晴
    「教養」とは、繰り返し、新しく自分がいま生きている世界を問い、編みなおすことを可能にするものと言えます。その一つのかたち、いやむしろ根底として「からだの気づき」をあげると驚かれるかもしれません。からだの感覚に目覚め、人とふれあうことの新しい局面に気づくことが、変動し続ける世界を生きるのにいかに大事か、母と子、教師と子供の関係におけるからだやことば、他者とのコミュニケーションのあり方の歴史と現在を例えば「怒り」を表すことばの変遷などを参考に考えます。
  • 3月10日(月)午後7時
    「政治と教養」
    講師:田勢康弘(早稲田大学教授)
    田勢康弘
    政治家や有権者、そしてそれを伝えるメディア。これらに教養は果たして必要なのでしょうか。教養は政治を理想的なものにすることができるのでしょうか。また、指導者にとって教養とは何でしょうか。学校教育を3時間しか受けていないリンカーンが、なぜ、名大統領になり得たのでしょうか。過去の指導者の例などにふれながら政治と教養の関係について考えます。
  • 3月17日(月)午後7時 
    対談「活字文化の衰退?~ネット時代の出版と教養」 
    講師:松田哲夫(筑摩書房専務取締役)x 鈴木謙介(国際大学グローバルコミュニケーション センター研究員)
    聞き手:船曳建夫(東京大学大学院教授)

    松田哲夫鈴木謙介ネットなどの新しいメディアによって活字文化は衰退し、教養は低迷しているのでしょうか。現代における「教養書」は、どのようなものをいうのでしょうか。古典の新訳や新書の増加、学術出版の変化等、最近の出版の状況や読書傾向の変化などを手かがりに編集者と社会学者の立場からそれぞれ語っていただきます。