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【日文研・アイハウス連携フォーラム in 京都!】
ヴィジュアル資料が映し出す—帝国期日本の文化と社会


  • 日時: 2017年3月7日(火) 6:30~8:30 pm
  • 会場: ハートピア京都3階大会議室(京都市中京区竹屋町通烏丸東入る清水町375)
  • スピーカー: ケネス・ルオフ (ポートランド州立大学教授)、 劉建輝 (日文研副所長・同教授)
  • コメンテーター: バーバラ・ハートリー (タスマニア大学シニア講師/日文研外国人研究員)
  • 司会: 佐野 真由子 (日文研准教授)
  • 用語: 日本語 (通訳なし)
  • 会費: 無料 (申込み不要、先着180名様まで)
  • 共催: 国際文化会館、国際日本文化研究センター(日文研)
  • お問い合わせ先: 日文研 研究協力課(Tel: 075-335-2078)
    http://events.nichibun.ac.jp/ja/archives/kohenkai/s005/cal/2017/03/07/index.html
  •  絵葉書、地図、旅行案内、写真などのヴィジュアル資料を活用した歴史研究が、いま、脚光を浴びつつあります。とりわけ20世紀前半、「帝国」として広大な版図を築いた日本が、いわゆる「内地」と「外地」を跨ぎ、どのような社会を形成したのか、そこで生きた人々の暮らしはどのようなものであったのかを、ありのままに見ようとするとき、これらの歴史画像は何にもまさる豊かな情報源となります。さらにそこには、当時の人々がその社会をどのように描き、記録しようとしたのか、その意思が映し込まれています。
     日文研では創設以来、こうしたヴィジュアル資料を収集してきました。20,000点近くにのぼるコレクションはデジタル化が進んでおり、いよいよその内容の本格的な検討が可能になったことから、2013年度以降、主に東アジア諸国の研究者らと国際共同研究を進めています。このたびの日文研‐アイハウス連携フォーラムでは、アメリカで同趣旨の研究に着手しておられるケネス・ルオフ教授をお迎えし、日文研のコレクションづくりと共同研究をけん引してきた劉建輝教授とともに、ヴィジュアル資料による「帝国」日本文化研究の最前線をご紹介します。

    発表要旨

    「『移動する帝国』—戦時観光と絵葉書」 ケネス・ルオフ (ポートランド州立大学教授)
    写真:ケネス・ルオフ 1930年代後半から40年代にかけて、多くの人々が、さまざまな目的をもって、帝国日本の全域を移動していた。兵士としてとは限らない。観光旅行の楽しみも、その目的に含まれていた。本発表では、帝国期の日本を「移動する帝国」として捉える。それは、日本本土に焦点を合わせるだけの「島国史」ではなく、帝国を、あるがままの帝国として研究することにつながる。
     その実相に迫る手がかりを与えてくれるのが、いまも残る絵葉書である。貴重な歴史資料として絵葉書を活用することから、十分に研究の進んでいない戦時観光のいくつかの側面について問題提起をしたい。
     一つの軸は、1912年に設立されたJTB(ジャパン・ツーリスト・ビューロー)の果たした役割である。それは一組織の歴史にとどまらない、広範な社会史となるはずである。さらに、大日本帝国が旧植民地における戦後の観光景観の形成にどのような影響を残したかという観点から、近年の「史跡観光」にも言及したい。

    「従軍画家が描いた帝国のフロンティア」 劉建輝 (日文研副所長・教授)
    写真:劉建輝 これまで日本の美術界においては、戦前のいわゆる従軍画家の画業についての研究はきわめて少なく、すでに刊行された専門書籍や研究論文も、もっぱら当時の日本国内で開催された聖戦美術展の出品作品だけを対象としてきた。
     しかし、戦前、民間で広く流通し、遠い戦場と銃後を結ぶ情報ツールの主役を演じたのは、むしろ軍事郵便の絵葉書であった。そして、そこに描かれた戦争画は、美術展の出品物に比べ、従軍画家たちの画業の内実をより直截に反映していたと考えられる。にもかかわらず、戦後、これら大量の絵葉書はまったく無視され、研究どころか、その存在さえ忘れられてしまった。
     本発表では、報告者自らが収集した約2000枚の軍事郵便絵葉書を素材に、その意味、制作背景、画家たちが任地に赴いた経緯等を検証し、美術史にとどまらず、帝国期の文化史や社会史における戦争画のもう一つの側面を明らかにしたい。