アジア・リーダーシップ・フェロー・プログラム(ALFP)フェロープロフィール

1996~2018年度にかけて、国際交流基金との共催事業として実施してきたアジア・リーダーシップ・フェロー・プログラム(ALFP)では、毎年アジア各国から5~8名のパブリック・インテレクチュアルを選抜し、フェローとして2カ月間日本に招聘してきました。これまでに参加したフェローの数は、アジア17か国・地域から139名にのぼります。

2018 2017 2016 2015 2014 2013 2011 2010 2009 2008 2007 2006 2004 2003 2002 2001 2000 1999 1998 1997 1996

プログラム参加以降更新されていないプロフィールも含まれています。

2018年度フェロー

サムラート・チョードリー(Samrat Choudhury)
作家、フリージャーナリスト / インド


写真:チョードリー作家兼ジャーナリスト。ニューデリー、ムンバイ、ベンガルールの主要紙の編集者を経て、現在はチベット、インド北東部、バングラデシュを流れるブラマプトラ川についての本を執筆している。インド、バングラデシュ、中国の国境が接するこの複雑で多様な地域と、インド全体の政治、歴史、文化に関心がある。短編、エッセイ、グラフィックノベルも出版しており、一部はドイツ語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語に翻訳されている。小説『The Urban Jungle』(ペンギンブックス、2011年)は、マン・アジア文学賞にノミネートされた。学生時代に電気工学を専攻していたことから、テクノロジーとそれが社会に与える影響にも注目。シロンとコルカタを拠点に活動している。
チョードリー氏のALFPレポート 
アジズ・アリ・ダード(Aziz Ali Dad)
アガ・カーン地域支援プログラム(AKRSP)知識管理・コミュニケーションスペシャリスト / パキスタン


写真:アリ・ダードパキスタン北部のギルギット・バルティスタン州出身。現地NGO「アガ・カーン地域支援プログラム(AKRSP)」での活動を通じて、社会経済発展が同州をはじめ政治的に取り残されがちな地域にもたらすインパクトや、グローバル化が文化、伝統、ガバナンス、アイデンティティに与える影響について、調査を行っている。地域を代表するライターでもあり、国内の主要英字紙「The News」のコラムニストも務める。哲学、文化、政治、社会問題など広範にわたる記事を書き、国内外に研究成果を発表することで、ギルギット・バルティスタン州の人々の声を代弁したいと考えている。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)で修士号を取得。最近では、中国・パキスタン経済回廊(CPEC)が同州にもたらす好機と課題について調査し、論文にまとめている。
アリ・ダード氏のALFPレポート 
アスミン・フランシスカ(Asmin Fransiska)
アトマ・ジャヤ・カソリック大学法学部上級講師 / インドネシア


写真:フランシスカアトマ・ジャヤ・カソリック大学法学部で上級講師として教鞭をとるかたわら、リサーチ&コミュニティサービス研究所の所長を務める。人権や薬物政策を専門とし、特に薬物法と人権、健康と子ども、民主主義と過去の人権侵害に着目し研究を行っている。米国のノースウェスタン大学で修士号、ドイツのユストゥス・リービッヒ大学ギーセンで博士号を取得。国際的な学術書やジャーナルのほか、国内外のメディアに向けて人権、死刑制度廃止、法の支配、薬物法に関するエッセイを発信している。「薬物政策改革のためのインドネシア連合(Indonesian Coalition for Drug Policy Reform)」のコーディネーターとしても活動しており、薬物依存症の解決策を探るとともに、健康の権利を推進する。人権問題の解決に向けたアジア各国の取り組みからも学びたいと考えている。
フランシスカ氏のALFPレポート 
リディア・ルボン(Lydia Lubon)
ドキュメンタリー映像作家・プロデューサー(フリーランス)/ マレーシア


写真:ルボンドキュメンタリー映像作家としてアジアで14年にわたって活動し、ベスト・ドキュメンタリー賞などさまざまな映画賞を受賞。マレーシア・ドキュメンタリー協会の事務局長も務める。エグゼクティブ・プロデューサーとして関わった近作『スマトラサイの住む森へ』は、マレーシアの野生動物ドキュメンタリーとして初めて専門チャンネルのナショナルジオグラフィック ワイルドで放映された。ディスカバリーチャンネル、ナショナルジオグラフィック、アルジャジーラ・イングリッシュなど国際的なテレビネットワークとも協働している。先住民族イバン族とアメリカ人を両親に持ち、毎年多くの時間をボルネオ島で過ごしてきた。野生動物や環境の保護に強い関心があり、自らの作品を通じて社会的責任に対する人々の意識向上に寄与したいと考えている。
ルボン氏のALFPレポート 
アロンゴット・マイドゥアン(Alongkot Maiduang)
科学技術教育振興研究所学術担当官、ジュットプラカーイ(Judprakai)紙芸術文化ジャーナリスト / タイ


写真:マイドゥアンタイ教育省科学技術教育振興研究所の学術担当官として、国の数学教育に関するカリキュラム、政策、教科書の開発、教員研修、国内および国際調査などに広く携わる。その一方で映画批評家としても活動しており、2004年から「kalapapruek」のペンネームでアジアを中心とした世界の映画作品や国際共同制作について、さまざまなメディアに論評を寄稿、受賞歴もある。カンヌ、ベルリン、ヴェネツィア、ロッテルダム、ロンドン、香港、シンガポールなど代表的な映画祭を訪れており、タイ国際演劇評論家協会では、国内で上演される舞台作品から秀作を選ぶ永久審査員も務める。文学、美術展、クラシック音楽、演劇に関するレビューも手掛けるなど、幅広い分野で活躍している。
マイドゥアン氏のALFPレポート 
澤西三貴子(Mikiko Sawanishi)
国連民主主義基金(UNDEF)次長 / 日本


写真:澤西ニューヨークの国連本部において、草の根レベルの民主主義を支援する目的で2005年に設立された「民主主義基金」(UNDEF)の次長を務める。アジア各国の市民社会団体と連携し、弱者をはじめとした市民の声が意思決定プロセスに反映されるよう、資金提供を通じて現地の市民社会強化のための支援をしている。UNDEF以外にも、国連のさまざまな専門機関や開発プログラムにおいて、平和と開発、紛争予防と復興、グローバルヘルス(HIVや結核等の感染症対策)、科学技術(核技術の平和利用)など多岐にわたる国際的課題に携わってきた実績を持つ。女性のエンパワーメント、家庭と職場における男女共同参画の推進、途上国の教育支援に関連するプロジェクトにも関わる。国連職員となる以前は、文部省や文化庁、国際協力銀行に勤務していた。
澤西氏のALFPレポート 
孫冬 スン・ドン(Sun Dong)
詩人、南京財経大学国際協力・交流室 副室長・教授 / 中国


写真:孫冬南京財経大学で英文学の教授を務める。南京大学にて博士号(英文学)を取得後、カナダのマックマスター大学でポスドクフェローとして研究に従事。詩や演劇の評論家、詩人としても知られ、モノグラフや詩集を出版しているほか、ジャーナルや新聞での詩や論文の発表、詩に関連した書籍の翻訳・編集にも携わった実績を持つ。これまでに孫氏の詩は、英語、トルコ語、ヒンディー語、フランス語、ルーマニア語にも翻訳されている。現在の南京財経大学国際協力・交流室、および前職のニューヨーク州立大学商務孔子学院の中国人ディレクターとしての仕事を通じて異文化交流の大切さを強く感じ、海外の教育・文化機関との連携も行っている。孫氏のALFPレポート 
シロット・ウオン(Silot Uon)
SeeChange International Cambodia キャリア・アドバイザー / カンボジア


写真:ウオン職業訓練と意識改革を通じた若者のエンパワーメントを目指すNGO、SeeChange International Cambodiaでキャリア・アドバイザーを務める。職業訓練所では、若者が各々の適性に合った仕事に就けるよう、キャリアアップに向けた学びの機会を提供したり、パートナー組織に紹介したりしている。その一方で、コンポントム州カシューナッツ協会のゼネラルマネージャーとして、州商業局とも連携しながら、地元農家のための技術研修や農産物の販路開拓に力を注ぐ。また、2006年からTeachers Across Borders Australiaの通訳兼コーディネーターとして、教員研修の企画や公的機関の管理職を対象としたワークショップの運営に携わっている。コミュニティの住民、さらには周辺国の人々との相互理解を促進することの重要性を強く訴える。
ウオン氏のALFPレポート 

2017年度フェロー

波多野綾子(Ayako Hatano)
ニューヨーク大学アメリカ・アジア法研究所客員研究員 / 日本


写真:波多野国際法と持続的開発を専門に、ニューヨーク大学アメリカ・アジア法研究所において研究活動に従事している。国際人権法・規範がそれぞれの国や地域の法制度や文化の中でどう受容されていくのかをテーマとしている。直近の研究ではアジアにおけるヘイトスピーチと人種差別の問題に焦点を置き、中でも戦略的な人権訴訟とそれが社会運動に与える影響に注目している。国連女子差別撤廃条約(CEDAW)によって保障されているマイノリティ女性の権利や、子どもの権利条約(CRC)のもとで法に抵触する児童の権利を保護するための研究や政策提言などを行う。草の根運動と国際人権システムにおけるグローバルな政策をつなぐ効果的な政策提言を行うことで社会的に脆弱な状況におかれた人々のエンパワーメントに貢献し、社会の主流から取り残されている声が国際社会や地域社会に包摂されることを目指している。波多野氏のALFPレポート 
ファザール・ハリク(Fazal Khaliq)
ドーン・メディア・グループ リポーター、文化活動家 / パキスタン


写真:ハリクジャーナリスト、ライター、文化活動家として、執筆やセミナーを通じ、パキスタンの文化遺産を老朽化やテロから保護する活動を推進している。パキスタンの主要英字紙「ドーン(Dawn)」の記者を務めるかたわら、軍事、文化遺産、詩、紀行など多岐にわたる著書を8冊執筆しており、さらにガンダーラ文明とその歴史について理解を深めるセミナーなども開催している。以前はスワート地区の学校に教員として勤務し、若者に文化財の重要性を伝えていた。その教え子には、2014年にノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんも含まれている。パキスタンが誇る考古遺産や文化遺産、とりわけ仏教・ヒンズー教・イスラム教関連の遺跡には、異なる民族や宗教の人々を一つにし、アジアの宗教的調和を促進する力があると考えている。ペシャワール大学で国際関係学修士号を取得。アガヒ賞をはじめとするジャーナリズムの賞を複数回受賞しているほか、2014年にはアジア・ジャーナリズム・フェローシップを獲得した。地元メディア「モーニングポスト」の編集にも携わる。ハリク氏のALFPレポート 
スディルマン・ナシール(Sudirman Nasir)
ハサヌディン大学公衆衛生学部上級講師・研究員 / インドネシア


写真:ナシールマカッサルにあるハサヌディン大学公衆衛生学部の上級講師兼研究員。インドネシア低所得地域における若年層のHIV感染リスク行動の社会的要因など、HIVや性感染症(STIs)関連の諸問題について研究している。メルボルン大学の公衆衛生・国際保健学部で修士号と博士号を取得し、1990年代半ばよりインドネシアでHIV予防プログラムに携わっている。国際学術誌で論文を発表するとともに、国内外の一般向けメディアにも頻繁にエッセーを寄稿している。中堅科学者によるインドネシア科学界の発展を目指すIndonesian Young Academy of Sciences(ALMI)の副代表。将来アジアの国々が直面することになる人口問題に関心があり、高齢化社会を迎えている日本の取り組みから学びたいと考えている。ナシール氏のALFPレポート 
スミタ・パティル(Smita M. Patil)
インディラ・ガンジー国立公開大学(IGNOU)ジェンダー・開発学部助教 / インド


写真:パティルフェミニスト、研究者、活動家として、インド亜大陸における厳しい身分的差別と闘ってきたダリットの女性の人権と尊厳の問題に取り組んでいる。ダリットの女性知識人や学生たちによるネットワークをインド国内や南アジアで構築し、世界中のマイノリティ女性の活動家グループと連携させたいと考えている。ジャワハルラール・ネルー大学政治学科で修士号と博士号を取得し、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ大学のResearch Excellence Program USC-India をはじめ、さまざまなフェローシップを獲得している。階級、カースト、ジェンダーに関する論文を学術誌や学術書に多数寄稿。カーストとジェンダー、インド政治、社会・政治理論、ジェンダーと法などの領域に関心を持つ。パティル氏のALFPレポート 
ファン・タイン・ドゥック(Phan Thanh Duc)
銀行学院経営情報システム学部学部長 / ベトナム


写真:ドゥック国家銀行所管の高等教育機関、銀行学院の経営情報システム学部で、学部長と上級講師を務める。これまでにベトナム、シンガポール、イギリス、アメリカの大学に客員講師として勤務し、主にビジネスプロセス管理、e-ラーニング、e-バンキング、ビッグデータに関する研究や講義を行っている。教育および経営への情報技術応用に関する研究やプロジェクトに従事しており、その一つとして、日本の情報処理推進機構の協力のもとにつくられた、情報処理技術者のためのアジア共通統一試験の普及に貢献している。学生向けの教科書への執筆、学術誌や学会での論文発表、新聞への寄稿も行っている。情報技術を利用した教育機会均等の実現、他国で採用されている教授法、教育カリキュラムの変革が社会の発展にどう結びつくかなどに関心を寄せている。
ドゥック氏のALFPレポート 
サロージ・シーサイ(Saroj Srisai)
ASEAN事務局環境課課長 / タイ


写真:シーサイこれまでタイ政府や国際機関の職員として、地球温暖化の緩和策と適応策、災害リスク軽減・管理、環境教育などの分野で、持続可能な開発に関わる課題解決に向けて尽力してきた。現在はジャカルタのASEAN事務局で環境課長を務め、環境関連の地域協力事業を統括している。母国タイおよびアジア地域の災害対策や人道支援体制の強化の必要性を認識し、日本の防災文化や防災教育に強い関心を持っている。自然災害、生物多様性の喪失、野生動物の密輸など、環境分野の課題が山積するASEAN域内において、国際社会や各国の政策決定者たちと市民社会を結びつけることで、問題解決の一端を担いたいと考える。また、自身の仕事やプロジェクトにおいてジェンダーの平等を積極的に推進している。
シーサイ氏のALFPレポート 
王馨 ワン・シン(Wang Xin)
南京日報マルチメディアセンター副センター長 / 中国


写真:ワン新聞社にてこれまで13年間、経済と都市建設を専門に、マルチメディアに関する知識と報道局や広告局での管理経験を積んできた。ジャーナリストとしての影響力を活かし、失業者や障がい児などの社会的弱者をはじめ、一人でも多くの人の役に立ちたいと考えている。同時に、日本を含めた近隣諸国と母国をつなぐ懸け橋になりたいと願っており、
“ペン”は昨今アジアの人々の心に生じている距離を縮める力を持ち、ポジティブで客観的な情報は人々の相互理解を促進する、と訴える。また、都市レベルの社会の発展におけるメディアの役割と責任に関心を持っている。キングス・カレッジ・ロンドンにチーヴニング奨学生として国費留学し、修士号を取得。
王氏のALFPレポート 

2016年度フェロー

藤岡恵美子(Emiko Fujioka)
NPO法人ふくしま地球市民発伝所事務局長 / 日本


写真:藤岡福島原発事故の教訓を市民の視点で世界に伝えるというミッションのもと、福島市を拠点に活動するNPO法人ふくしま地球市民発伝所(福伝)の事務局長。2012年に国際協力NGOセンター(JANIC)の震災タスクフォースメンバーとして福島へ赴任したのを機に移住。2014年、JANICの活動終了と同時に同僚と福伝を立ち上げた。南アジアで40年以上活動するNGO、シャプラニール=市民による海外協力の会理事。2005年から09年まで同NGOのダッカ事務所長としてバングラデシュに駐在。インドを代表する女性活動家ウルワシ・ブターリア氏(2000年度ALFPフェロー)の著書 The Other Side of Silence: Voices from the Partition of India を翻訳し、『沈黙の向こう側~インド・パキスタン分離独立と引き裂かれた人々の声』として2002年に明石書店から出版。
藤岡氏のALFPレポート 
アムラン・ホセイン(Amran Hossain)
ダッカ大学政治学部准教授 / バングラデシュ


写真:アムランベルゲン大学(ノルウェー)で公共政策修士号、シェフィールド大学(英国)で政治学博士号を取得。2002年には米国国務省主催のインターナショナル・ビジター・リーダーシップ・プログラムに参加し、2011年にはポルトガルでEU研究員を務めた。また、数々の国際会議やセミナーでバングラデシュの地域に根差したリハビリテーション、民主化プロセス、イスラム過激主義に関する論文を発表するなど、国際経験も豊富。バングラデシュの政治・権力・汚職の問題、国際法および国際政治、社会科学方法論、研究倫理、独立戦争前後のバングラデシュ概論などに関する学術書を執筆し、論文も多数発表。現在の研究領域は、宗教的過激主義、政党制、人権、民主主義の規範など。特に世界で活発化する宗教的過激主義を懸念し、バングラデシュの分析を中心に、民主主義、暴力と平和などの観点から、アジアの将来について考察している。
アムラン氏のALFPレポート 
李泰鎬 イ・テホ(Lee Taeho)
参与連帯(PSPD)政策委員会委員長 / 韓国


写真:イ韓国において、長年にわたり市民活動家として活躍。1995年、韓国で最も影響力のあるNGOのひとつである参与連帯(PSPD)に加わり、2011年から16年には事務局長として、経済的公正、市民的・政治的権利、平和と軍縮など、PSPDの主要な活動を牽引してきた。汚職防止、政治改革、表現の自由、社会福祉改革、反FTA(自由貿易協定)、反戦、武力衝突の平和的解決などに関するキャンペーンやプロジェクトにも関わる。1991年にソウル大学校で西洋史の学士号を取得。2008年から09年までコロンビア大学東アジア研究所に客員研究員として在籍し、2010年から16年まで「人権と開発に関するアジアフォーラム」(FORUM-ASIA)の執行委員。日本の若者による政治活動や、福島原発事故後の人間の安全保障に絡む市民運動など、日本の平和活動に強い関心がある。
李氏のALFPレポート 
ファン・ゴック・ジエム・ハン(Phan Ngoc Diem Han)
レインボー・メディア&エンターテイメントCEO / ベトナム


写真:ハンホーチミン市にあるフォンナム・カルチュラル・コーポレーションをはじめ、さまざまな企業のマーケティング部門で10年にわたり経験を積むとともに、全国紙、ビジネス誌、スポーツ・文化紙に100本以上の記事を執筆。2014年にメディア企業を立ち上げ、テレビ番組や歴史ドキュメンタリーの共同制作を行いながら、作家や脚本家やエッセイストとしても、若者を含め幅広い層に影響を及ぼしている。公式の歴史観にとらわれることなく、独自の視点から近代史を捉えたドキュメンタリーを制作するなど、ベトナムのメディアとしては斬新な創作活動を行っている。2014年に Doi Mat Cua Trai Tim (心の目、Today TV)がベスト・TVドラマ・アワードを受賞。貧富の格差が残るベトナムで、あるべき発展や成長の形を模索している。ハン氏のALFPレポート 
クマール・スンダラム(Kumar Sundaram)
核軍縮平和連合(CNDP)上席研究員 / インド


写真:クマールインド国内の200を超える市民団体や個人が加盟する核軍縮平和連合(CNDP)の上席研究員で、活動家。特に福島原発事故後は、日本を含むさまざまな国の市民社会と連携して核なき世界を目指し、核関連の情報や対話を掲載するウェブサイト「DiaNuke.org」を開設した。国の政策や対応の違いからビジョンを共有しにくい原発や核兵器のような課題にこそ、市民社会のネットワークが必要と主張。アジアの連帯強化に向けた活動を積極的に展開すると同時に、平和と正義の実現の鍵としての民主主義に強い関心を持っている。「IndiaResists.com」や「AsiaProgressive.com」をはじめ、氏が立ち上げた市民運動や人権に関する共同制作型のWebプラットフォームやアプリケーションも注目を集めている。クマール氏のALFPレポート 
クリセルダ・ヤベス(Criselda Yabes)
ライター、フリージャーナリスト / フィリピン


写真:ヤベスミンダナオにおける軍事や武力紛争に関するテーマを中心に執筆。40年以上内戦が続いたミンダナオに再び平和をもたらそうと奮闘するフィリピン軍兵士たちの姿を描いたノンフィクション作品『Peace Warriors: On the Trail with Filipino Soldiers』が2012年にフィリピンのナショナル・ブック・アワードを受賞したほか、フィクションでも数々の賞に輝いている。また、ジャーナリストとして30年にわたり国内外の政治や重要事件を伝え、軍事・防衛分野では南シナ海の領有権問題を含むルポを手がけている。現場の状況を知るべく沿岸の村を多数訪問。現在はパラワン州で、海洋安全保障とエコツーリズムに関する本の出版に向けた情報収集を行う。領有権問題などで高まりつつあるアジアの緊張を、対話を通じてどう解決するか、予防外交による域内の軍拡競争の抑止、海洋資源の開発・保護に関する共通ルール作りなどに関心を寄せる。
ヤベス氏のALFPレポート 
アヤン・ウトリザ・ヤキン(Ayang Utriza Yakin)
国立イスラム大学ジャカルタ校講師、ナフダトゥル・ウラマー中央指導部モスク対策副議長 / インドネシア


写真:ヤキン国立イスラム大学ジャカルタ校でイスラム法の学士号を取得後、カイロのアル=アズハル大学でイスラム法を学ぶ。フランス国立社会科学高等研究院で歴史と哲学を専攻し、修士号と博士号を取得。オックスフォード大学イスラム研究センターやハーバード大学法科大学院イスラム法研究プログラムの客員研究員を経て、現在は国立イスラム大学法学・シャリア学部で教鞭をとるかたわら、同大学イスラム社会研究所の研究員も務める。宗教多元主義に基づく宗教間対話、また、イスラムの教えに深く根付く普遍的価値である人権尊重の重要性を説くとともに、相互理解の基盤となる知的リーダーによる思考プロセスの共有の必要性も訴える。インドネシア最大のイスラム組織「ナフダトゥル・ウラマー(NU)」中央指導部モスク対策副議長。バンテン州の文化財専門チームやジャカルタ首都特別州の歴史専門チームの一員として、ジャワの文化や歴史にも関わる。
ヤキン氏のALFPレポート 

2015年度フェロー

アルラナンサム・サルベスワラン(Arulanantham Sarveswaran)
コロンボ大学法学部上級講師 / スリランカ


写真:サルベスワランコロンボ大学およびコスタリカの国連平和大学で修士号を取得。スリランカ人権委員会の法検証プロジェクトで上級顧問を務める。コロンボ大学では労働法、環境法のほか、軍関係者が学生の大半を占める紛争と平和学研究のプログラムでコーディネーターおよび上級講師を務める。人権、環境権、労働者の権利、平和構築に関する豊富な知識を有し、国際自然保護連合、国家平和協議会においてもリソース・パーソンとして活躍。環境保護、人権保護、和解と平和構築の観点から、少数派であるタミル族やイスラム教徒が多いジャフナほか、北東部のさまざまな地域でプログラムを実施している。スリランカ国内の新聞やテレビ番組などメディア出演多数。
サルベスワラン氏のALFPレポート 
ジャイディープ・ハルディカール(Jaideep Hardikar)
テレグラフ紙特派員、インド農村部の人々のためのアーカイブ(PARI) コア・グループメンバー / インド


写真:ハルディカールコルカタを本拠とするテレグラフ紙で幅広い分野を取材し、10年以上にわたって住民の大規模立ち退き問題、水市場の危機、中央インドにおける武力紛争、国際的な農業補助金、市場の脆弱性などを報じてきた。氏は事象ではなくプロセスを重視し、世界で最も複雑な地域であるインド農村部に焦点をあて、その対立と危機、コミュニティによる解決、自治モデル、そして変化や希望が感じられる話をレポートしている。開発とそれによって生じる貧困について書いた初著 A Village Awaits Doomsday (2013年) に見られるように、インド僻地における開発過程の諸問題に関心が高く、インド農村部の人々の暮らしを記録しオンライン・ジャーナルで発信する団体「People’s Archive of Rural India(PARI)」のコア・グループメンバーも務める。ナグプール大学で国際報道について教鞭を執るほか、同地における映画協会名誉代表を務めるなど活動は多岐にわたる。
ハルディカール氏のALFPレポート 
サラナラット・カンジャナヴァニット(Saranarat Kanjanavanit)
グリーン・ワールド財団会長 / タイ


写真:カンジャナヴァニットバンコクの非営利環境NGOであるグリーン・ワールド財団会長。環境活動家・ライターとして、人と自然との間に意義深い関係性を構築することに情熱を注ぐ。子どもや地域住民が生物多様性を理解することを通して地域の環境を「読み解き」、その知識に基づいて創造的な行動を起こすための「環境探偵」教育プログラムを創始する。河川から海まで、自然の生息地から都市までと幅広い分野で仕事を手掛け、最近では人間とその他の生き物が共生できる都市づくりの促進や、自転車移動に適したバンコクの街づくりに取り組んでいる。自然に学び、新しい技術を生み出すバイオミミクリや生物間コミュニケーションにも関心が高い。カンジャナヴァニット氏のALFPレポート 
カレン・ライ・ユ・リー(Karen Lai Yu Lee)
ペナン女性開発公社プログラム・マネージャー / マレーシア


写真:ライ2011年に、州政府機関として初めてジェンダーの平等性と社会正義の促進を目的として創設されたペナン女性開発公社で、プログラム・マネージャーを務める。現職に就くまでは法律家として、マレーシアにおける性犯罪、女性や政治犯らの人権問題などに多数携わった。国際女性の権利監視協会アジア太平洋支部のリソース・パーソンとして、国連の女性差別撤廃条約の内容と適用に関する講師も務める。ジャズ・ボーカリストとしても活動しており、さまざまなイベントで歌声を披露している。
ライ氏のALFPレポート 
野村舞衣(Mai Nomura)
在ハンガリー中欧大学経営大学院グローバル戦略連携マネージャー / 日本


写真:リーアジア財団(現アジア・ファンデーション)、ボストン日本協会、エドウィン・O・ライシャワー日本研究所及び米国金融機関で機関投資家向け投資信託業務に携わった後、ソニー株式会社、エリクソン社でミレニアム開発目標(MDGs)に即した案件形成、渉外、コミュニケーション業務を通じ、国際援助、国内外行政機関、市民社会との協働に携わる。ISL(Institute for Strategic Leadership)の社会起業家育成プログラム参画を機に、江戸しぐさ「三脱の教え」を根底とするソーシャル・サロン「Knot Work Café」を設立・運営。また、インパクト・ジャパンにて東日本大震災復興にかかわる起業家を養成・支援するための事業を展開している。現在、ハンガリーの中欧大学経営大学院にて戦略的連携事業に携わる傍ら、日本大学大学院総合社会情報研究科にて講師、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント科にて研究員も務める。
野村氏のALFPレポート 
ディナ・ロマ(Dinah Roma)
詩人、デ・ラ・サール大学マニラ校文学科教授 / フィリピン


写真:ロマ大学で文学とクリエイティブ・ライティングを教える傍ら詩人としても活躍。氏の作品は、多様な「旅」が存在しうる空間と言語の境界領域を探求し、アジアの豊かな伝統からインスピレーションを得ているものが多く、風景や地形、民族や文化、時間や記憶を通過していく旅人の足跡を描いている。これらの作品は学術的にも評価され、国際交流基金、住友財団、シンガポール国立大学などから奨学金を得ている。これまで出版した『A Feast of Origins』(2004年)はフィリピンのナショナル・ブック・アワードを含む2つの著名な賞を受賞したほか、『Geographies of Light』(2011年)は2007年度「Carlos Palanca Award for Poetry in English」を受賞。近著の『Naming the Ruins』(2014年)はフィリピンの他、オーストラリア、シンガポールでも出版されている。
ロマ氏のALFPレポート 
ハリー・スルヤディ(Harry Surjadi)
インドネシア科学ジャーナリスト協会会長 / インドネシア


写真:スルヤディインドネシア大学社会政治科学部で修士号を取得。農業雑誌『Trubus』、日刊紙『Kompas』での勤務を経て、2000年にオンライン・ニュースサイト「Astaga.com」の立ち上げに携わる。2006年にはインドネシア環境ジャーナリスト協会を、2014年にはインドネシア科学ジャーナリスト協会をそれぞれ設立し、会長に就任。国際ジャーナリスト・センターのフェローとして、地方紙や地方のラジオ局で環境問題を扱うプログラムの立ち上げを支援したほか、情報へのアクセスが限られている農村部の人々のために、環境に関する情報を提供するモバイルニュースサービスを展開した。豪州クイーンズランド大学から社会変革のためのコミュニケーション賞(The Communication for Social Change Award)を受賞。インドネシア各地でフリーランス記者、メディア・トレーナーとしても活躍する。スルヤディ氏のALFPレポート 
イン・シュシィ(Yin Shuxi)
合肥工業大学教授 / 中国


写真:イン合肥(ごうひ)工業大学教授および同大学宗教間対話センター長を務める。北京大学で学士号、ハーバード大学で修士号、ドイツのエバーハルト・カール大学テュービンゲンで博士号を取得。急激な変化を遂げる中国で生まれ育ち、三大陸で研究と仕事に従事した経験から精神性の重要性を認識。欧米での数年間の生活を経て、宗教間対話の促進にはアジアの精神的遺産が重要であり、アジアの結束を促すにも精神性が大きな役割を担うと考えるに至る。合肥工業大学においては、中国ではこれまでになかった宗教と法の役割に関する夏期研修プログラムを組織し、同国における信教の自由の提唱者を多数輩出してきた。大きな視点からみた宗教と社会に関心があり、同分野で多数の著作がある。
イン氏のALFPレポート 

2014年度フェロー

ヴィシャラチェ・バラクリシュナン(Vishalache Balakrishnan)
マラヤ大学教育基盤・人文学科上級講師 / マレーシア


写真:バラクリシュナン学生時代に国際NGOや社会事業の活動に関わる。中等学校で14年間教員を務めたあと、2002年からはマラヤ大学にて教鞭をとる。インドと中国にルーツを持ち、多文化、多宗教、多言語を体言する自らの背景から道徳教育の研究への関心が高く、広い世代の教育者育成に積極的に関わってきた。グローバルな世界に生きる学生たちの倫理観を育むために、独創的な教育を展開できる人物を育てること、特に、自己調整学習能力(自らを教育する力、自ら学び考える力)を備えた教育者の育成を目指している。また、道徳教育や公民・市民権、最近では多文化教育をテーマとした学術書、論文などを執筆している。マラヤ大学にて学士号と修士号(教育学)を取得、ヴィクトリア大学(ニュージーランド)にて博士課程修了。アジア太平洋道徳教育ネットワークの役員、道徳教育学会会員。
バラクリシュナン氏のALFPレポート 
李源宰 イ・ウォンジェ(Lee Wonjae)
希望製作所副所長 / 韓国


写真:李源宰社会問題の解決に向けて新しい考え方や仕組みをもたらすソーシャル・イノベーションを専門とする執筆家・教育者であり、経済評論家。延世大学にて経済学を専攻し、ハンギョレ新聞社の経済部記者を経て、2005年にマサチューセッツ工科大学スローン経営大学院にて経営修士号を取得。サムスン経済研究所首席研究員を経て、ハンギョレ経済研究所(HERI)を設立し、所長として同研究所を率いた。2012年の韓国大統領選の有力候補者であった安哲秀(アン・チョルス)氏の政策企画室長を務めた。その後、創造性を駆使して社会に変化をもたらす社会起業家の育成を目的としたソーシャル・フィクション・ラボのCEOを務め、多様な媒体を通じて自身のビジョンを発信してきた。2014年よりNGO系のシンクタンクである希望製作所の副所長。関心領域はCSR(企業の社会的責任)、社会起業、社会革新のための公共政策など。日中韓の代表的な企業を対象にCSR評価モデルを構築する研究プロジェクト「East Asia 30」など、さまざまなCSR事業に関わってきたほか、韓国における経営教育プログラム「社会起業家のためのMBA(MBA for Social Entrepreneurs)」を考案した。著書も多数。李氏のALFPレポート 
米良 彰子(Akiko Mera)
オックスファム・ジャパン事務局長 / 日本


写真:米良世界90カ国以上で活動を展開する国際協力団体オックスファムの日本支部、特定非営利活動法人オックスファム・ジャパンの事務局長。国内96のNGOを支援・統括する国際協力NGOセンターの副理事長も務める。非営利セクターで働く以前は、企業の海外営業部にて企画・営業を担当し、主に東南アジアで活躍。1995年の阪神淡路大震災をきっかけに、日本で初の多言語放送局「神戸FMわいわい」の立ち上げに携わる。米国ブランダイス大学で開発学の修士号を取得後、カンボジアに渡り「セサミ・ストリート」や公共広告を含むテレビ教育番組のクメール語版制作に携わった。2005年に広報担当としてオックスファム・ジャパンに加わり、2009年より現職。 
シクダール・モノアレ・ムルシッド(Sikder Monoare Murshed)
ダッカ大学言語学科教授 / バングラデシュ


写真:ムルシッド南アジアでいち早くスカンジナビア研究に取り組んできたダッカ大学スカンジナビア研究センターの所長。バングラデシュにおける人権問題と社会発展に携わる教育者、社会運動家、そして人権活動家の顔も持つ。デンマーク国立オールボー大学で博士号(言語学)を取得し、ベンガル語、言語と文化、民族固有の言語と教育などを主な研究対象としてきた。国内屈指の言語学者として、言語学や固有言語に関する著作は20冊以上。ここ20年は、バングラデシュの言語・文化・教育の問題やマイノリティーの権利保護に関する第一人者として幅広く活動し、全国紙への寄稿を通じてこれらの問題を広く大衆にも浸透させてきた。共同社会の平和と調和を目指し、社会事業に関わる活動を続けている。
ムルシッド氏のALFPレポート 
グエン・ヴィエット・コイ(Nguyen Viet Khoi)
ハノイ国家大学経済大学教授 / ベトナム


写真:コイ2000年からハノイ国家大学にて教鞭をとり、2011年より国際経営学科の副学科長を務めているほか、ベトナム議会に対して輸出戦略に関する助言を行っている。関心領域はグローバル・バリュー・チェーン(世界的な価値連鎖)、サプライチェーン、多国籍企業のグローバル戦略など。また、ウィスコンシン大学、サザンニューハンプシャー大学などで教育・研究に携わってきた。2012、2013年にはフルブライト奨学生として、コロンビア大学ビジネススクールに博士後研究員として在籍。主な著書に『Global Value Chains of Transnational Corporations: A Practical Approach from China’s Current Situation(多国籍企業のグローバル・バリュー・チェーン:中国の現状をふまえた実践的アプローチ)』(VNU Publishing House、2013年)、『International Economics(国際経済)』(共著、VNU Publishing House、2010年)など。
コイ氏のALFPレポート 
アンベス・オカンポ(Ambeth R. Ocampo)
アテネオ・デ・マニラ大学歴史学科准教授 / フィリピン


写真:オカンポ国家文化芸術委員会(2005-2007)、国家歴史委員会(2002-2011)の会長を歴任したフィリピンを代表するパブリック・ヒストリアン。主に19世紀末のフィリピンを対象に、芸術、文化、建国にかかわった人物などを研究している。フィリピン大学ディリマン校フィリピン語フィリピン文学科で教壇に立つほか、京都大学、チュラロンコーン大学(タイ)、最近は上智大学で研究教育に従事。これまで21の著作を出版しており、フランス、スペイン、フィリピンからの勲章を含む多数の賞を受賞している。国内で幅広く購読されている日刊紙「フィリピン・デイリー・インクワイアラー」のコラムニストとしても知名度が高く、フェイスブックのファンページも持つ。主な著書に『Rizal Without the Overcoat(外套のないリサール)』(ナショナルブックアワード受賞、Anvil Publishing、1990年)、『Prehistoric Philippines: Looking Back 6(先史時代のフィリピンをふりかえる 6)』(Anvil Publishing、2012年)など。
オカンポ氏のALFPレポート 
マリカ・シャキャ(Mallika Shakya)
南アジア大学社会学科助教授 / ネパール


写真:シャキャ労働運動、貿易コミュニティー、開発の問題などを研究する経済人類学者。20世紀のネパールにおける既成衣料産業の盛衰を調査して以来、南アジアと南アフリカへ移住したマルワリ商人の軌跡を追ってきた。その過程で、反植民地主義に見られる汎ナショナリズムに関心を持つ。プレトリア大学(南アフリカ共和国)、オックスフォード大学で教鞭をとったあと、現在は南アジア大学で教壇に立つ。学術界で活躍する以前は国際連合と世界銀行に勤務し、気鋭の経済社会学者、経営学者、マクロ経済学者とともに輸出競争力に関する研究ネットワークを立ち上げ、産業発展のための学際的な枠組みを共同で構築した。輸出競争力に関するシャキャ氏の手引書は、アジア、アフリカ、ラテンアメリカにおける世界銀行加盟国の運営にも一部活用されている。また、氏はアジア・アフリカ諸国の政府顧問として産業開発政策についての助言も行っている。
シャキャ氏のALFPレポート 

2013年度フェロー

ネリア・バルゴア(Nelia G. Balgoa)
国立ミンダナオ大学イリガン工科校 准教授 / フィリピン


写真:バルゴア国立ミンダナオ大学イリガン工科校英文学科准教授、同大学院副学部長。国際移動、移民文学、フィリピン女性の文学等を研究している。教育活動や啓蒙活動を行うなかで、ローカルとグローバルな視点の中間に位置する「第3の空間」(アイデンティティ交渉が行われ、対立が解消される場所)を求め続けているバルゴア氏は、アジアの社会と文化の研究には、非西欧的な観点からのアプローチが重要と主張する。学術誌への発表も多数。文部科学省の奨学金で大阪大学大学院人間科学研究科に学び、地域研究 (Area Studies) の博士号を取得。バルゴア氏のALFPレポート 
チン・オイ・シム(Chin Oy Sim)
マレーシア弁護士会連合会 CEO代理 / マレーシア


写真:チン弁護士としての教育を受け、法の支配と正義を支持することで名高いマレーシア弁護士連合会の人権委員会執行役を経て、現在はCEO代理。市民社会形成における法曹界の果たす役割や、女性の人権が関心テーマ。マレーシアで30年の活動歴を有する非営利組織・女性支援機構(WAO)に所属していた際には、民法とシャリーア法が多民族・多宗教国家マレーシアの女性に与える影響に関するアドボカシー活動に従事。それ以来、一貫して女性の権利に係わる社会運動に携わっている。国連女子差別撤廃条約(CEDAW)にも関心の高い同氏は、同条約を通じて女性の権利実現を目指す「国際女性の権利監視機構(IWRAW-AP)」のトレーナーやリソースパーソンも歴任。海外経験も豊富で、ニューヨークとロンドンではデービス・ポーク・アンド・ウォードウェル外国法事務弁護士事務所、ジュネーブでは国連賠償委員会にて勤務した。 
何潤鋒 ハー・ルンフォン(He Runfeng)
中国中央テレビ(CCTV)特派員 / 香港


写真:ハー1977年中国本土に生まれ、国際関係学およびコミュニケーション学の修士号を取得後、2002年に香港に移住。フェニックステレビの特派員として6年間勤務した後、2010年より中国中央テレビアジア太平洋局の特派員を務める。海外ニュースやアジア太平洋地域の報道企画を担当するほか、米国、北朝鮮、日本、ベトナム、ミャンマー、フィリピン等の国々と中国との関係に注目したRunfeng Observes という自身の解説番組を持つ。世界各地で精力的に取材をこなし、これまでに、レバノン侵攻(2006年)、パキスタンにおける対テロ戦争(2007年)、ミャンマー北部での内戦(2009年)、リビア革命、東日本大震災(2011年)、中国と近隣諸国の南シナ海をめぐる領海問題(2012年)、イラク戦争10周年(2013年)など、国際的に重要な事件や出来事を報道してきた。特に紛争報道や災害地報道でその手腕を認められている。 
今田 克司(Katsuji Imata)
CIVICUS: World Alliance for Citizen Participation(市民社会の参画のための世界同盟)シニア・アドバイザー / 日本


写真:今田1990年代、米国サンフランシスコ・ベイ・エリアにてNPO活動を始め、1996年、米国で日米NPOセクターの人材交流を推進する日米コミュニティ・エクスチェンジ(JUCEE)を立ち上げ、事務局長に就任。その後、2000年に帰国し、CSO連絡会事務局長を経て、2004年より、市民社会組織(CSO)の役割に関する調査研究、情報発信をすすめるCSOネットワークの共同事業責任者となる。2011年より同代表理事。2008年より、市民社会の強化を推進するCSOのグローバルな連合体であるCIVICUS: World Alliance for Citizen Participation(南アフリカ)に出向。同事務局次長を経て、2012年事務局長代行に就任。現在は、同Lead Specialist–Enabling Environmentとして活躍。カリフォルニア大学バークレー校公共政策修士。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得。今田氏のALFPレポート 
ルウィン・ルウィン・モン(Lwin Lwin Mon)
ヤンゴン大学人類学部准教授 / ミャンマー


写真:ルウィンヤンゴン大学にて人類学の博士号と考古学の修士号・研究修士号を取得し、1990年代より地方の少数民族の調査や地域研究(community studies)に従事。ここ数年は「リス族の男女の役割」と「バガン地区におけるミャンマー漆器文化の社会的価値」の2つの事業にプロジェクトリーダーとして携わり、地域社会の背景や歴史的文脈を捉えながら、地域研究という学際的なアプローチによる調査を通して、ミャンマー人の多様な慣習、信条、文化的価値観についての考察を提示し続けてきた。現在は、ヤンゴン大学、韓国の漢陽大学および社団法人グローバル発展研究院(ReDI) の三者が、韓国国際協力団(KOICA)の援助を受けて共同で立ち上げた韓国・ミャンマー包括的地域社会開発プロジェクトにも研究者として参画している。ルウィン・ルウィン・モン氏のALFPレポート 
サバ・ナクヴィ(Saba Naqvi)
『アウトルック』誌 政治部編集者 / インド


写真:ナクヴィインドの主要な時事週刊誌である『アウトルック』の政治部編集者として、インドの国内政治や政府・政党の動き、市民運動、アイデンティティの流動化等をテーマに記事を執筆。ここ数年は、右派政党のインド人民党(BJP)の台頭とその6年間の政権運営に関する記事を中心的に寄稿。現在は、暴力的行為に訴える国内過激派組織のイデオロギーや活動に関する出版物を編集している。20年にわたってインド各地を回った自身の経験をもとに、インドの複合的な伝統について著述したIn Good Faith は2012年に出版されて以来幅広く読まれ、商業的な成功を収めている。ナクヴィ氏は報道番組で国内ニュースについてのコメンテーターも務める。 
ズバイル・トルワリ(Zubair Torwali)
教育開発センター(IBT)事務局長 / パキスタン


写真:トルワリトルワリ氏は、シャリーア法に基づくイスラム国家発足を目指す武力勢力の支配下にあったパキスタン北西部のバーレーン(ハイバル・パフトゥンハー州スワート郡)にて、長年にわたり人権保護や教育活動に従事してきた。研究者、著述家、革命家としての顔も持ち、著作や寄稿も多数。スワート郡は、女性教育向上について積極的に発言した女生徒のマララ・ユスフザイさん(当時15歳)が2012年10月にパキスタン・タリバーン運動(TTP)に銃撃を受けた地でもあり、事件の2日後には「パキスタンの未来に対する襲撃」として、The News International に記事を寄せている。教育面では、文化や言語の保護、地域の学校の学習環境改善に情熱を注いできた。特に人間の存在意義やアイデンティティの問題に直結する母語の保護・復活に関心が深く、ハイバル・パフトゥンハー州の少数言語であるトルワリ語の復活に尽力し、失われゆく文化や言語交替を食い止めることで地元コミュニティに貢献してきた。同氏の言論の自由に関わる取り組みは、国際人権NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチにも認められているほか、非常事態下における教育支援に対し、2010年アニタ・グラム・アリ教員賞を受賞した。
トルワリ氏のALFPレポート 

2011年度フェロー

2011年度以前のフェローのレポートは各年度の報告書に含まれています。こちらよりご覧ください。

イミティアズ・グル(Imtiaz Gul)
安全保障研究センター常務理事・創設者 / パキスタン


写真:グルグル氏は、イスラマバードを拠点とする、安全保障やガバナンスを中心とした研究とアドボカシーを行う団体の創設者。ジャーナリストとして、これまで、ドイチェ・ヴェレ、CNN、香港のスター・ワールドTV、NHK、米国のナショナル・パブリック・ラジオのレポーターを務めたほか、Foreign Policy、Wall Street Journal、ラホールのFriday Timesなどに、アフガニスタン国境付近における軍事闘争や印パ関係について定期的に寄稿している。氏は、平和研究のための世界大学創設を目的としたミラノのベラジオ・フォーラムのメンバーでもある。また諸外国の外交官や開発セクター関係団体への助言を行う傍ら、アナリスト/専門家として定期的にアルジャジーラにも出演。4冊目の著書は、『Pakistan: Before and After Osama bin Laden(パキスタン:ウサマ・ビン・ラディン以前と以後)』(Roli Books、2012年)。 
今井千尋(Chihiro Imai)
バルト防衛​​大学研究員 / 日本


写真:今井米国のピッツバーグ大学にて修士号(国際公共政策学)を取得。プラン・ジャパン、日本財団、JICA、日本地雷処理を支援する会、内閣府国際平和協力本部、東京外国語大学、外務省にて案件の形成・実施・モニタリング・評価に携わる。関心分野は地域開発、民軍関係、平和構築・紛争予防、災害対策で、趣味は写真と旅行。元・在アフガニスタン日本国大使館一等書記官。 
ミリアム・サラファスティ・ナインゴラン(Miryam Saravasti Nainggolan)
プリ財団(トラウマ回復・心理社会的エンパワーメント・センター)理事長 / インドネシア


写真:ナインゴランパジャジャラン大学で産業および組織心理学を、ミシガン大学アンアーバー校大学院でソーシャル・ワークの研究を行ったナインゴラン氏は、パジャジャラン大学ソーシャル・ワーク学部および心理学部の教員としてキャリアを開始した。その後、人材育成、組織開発および戦略管理の分野で実践者として活躍。1998年には、インドネシア人権委員会の常務理事に選出された。以来、人権、紛争解決、平和構築、移行期における正義、宗教間対話などに関わる諸活動に従事し、アチェ、パプア、北マルクや東ティモールなどの紛争後の地域にて、平和的手段による紛争転換や和解のためのトレーニングも行っている。2012年、インドネシアにおけるソーシャル・ワークのプロフェショナル育成事業のディレクターに就任した。 
ジハーン・ペレーラ(Jehan Perera)
ナショナル・ピース・カウンシル常務理事 / スリランカ


写真:ペレーラペレーラ氏は、スリランカ、パキスタンおよび米国で教育を受け、ハーバード大学で経済学学士と法学博士を取得。スリランカにて、平和に向けた市民運動の促進や民族対立を政治的に解決するための交渉を行うナショナル・ピース・カウンシルをはじめ、サルボダヤ法律サービスなど多数の市民社会団体の役員を務めるほか、現在、スリランカ政府より国家統合のための諮問委員に任命されている。また、スリランカにおける紛争と解決および平和構築についての論考を多数執筆している。堺平和貢献賞、平和・寛容・調和のためのクワジャ・モイヌディン・チシュティー賞、スウェーデン友和会非暴力賞など受賞歴も多い。 
エルマー・サイレ(Elmer Sayre)
WAND(水、農林業、栄養および開発)財団顧問 / フィリピン


写真:サイレサイレ氏の経歴は、農業改良普及員、大学教員、地方コンサルタント、NGOのアドバイザーなど多岐にわたる。これまで、給水システムの開発、生物多様性、農林業、環境にやさしい衛生設備、平和の文化の推進、また、ミンダナオを中心とした貧困層のためのマイクロ・ファイナンスや地方改革などに深く関わってきた。特に、環境にやさしい衛生設備に関する取り組みに対しては、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団より、フィリピン初となるグローバル・ヘルス賞を受賞。フェローシップを得て、オーストラリアやイタリアにも滞在した経験をもつ。コミュニティを基盤にした苗床育成や植林、ミンダナオにおける平和の文化の促進に関するマニュアルを執筆しているほか、詩人および短編小説家としても活躍。 
ヴォン・タン・フオン(Vuong Thanh Huong)
ベトナム教育科学研究所教育情報センター ディレクター・首席研究員 / ベトナム


写真:フオン教育分野において23年以上の経験を持つフォン氏は、教育計画、教育管理、ベトナムと他国との教育開発比較などに関する様々な研究に従事してきた。世界銀行やアジア開発銀行などがベトナムで実施する、国際的なプロジェクトの主要なコンサルタントとしても活躍。国際的な教育実践にも精通し、海外のドナーとベトナム国内の教育管理部門との効率的で有意義な連携に貢献している。ベトナムの教育事情や教育管理について、「ベトナム教育レビュー」、「教育科学ジャーナル」などへの寄稿も多い。 
张雅莉 ザン・ヤリ(Zhang Yali)
国際連合政治局研究員 / 中国


写真:ザンニューヨーク市立大学より修士号(国際関係)および博士号(政治学)を取得。博士論文のテーマは、中国における福祉制度改革と、本改革が1990年代の経済変革期における失業者の可動化に与えた影響について。氏の関心は、社会運動、紛争解決、移行期におけるポスト社会主義国の政治経済、移行期の中国政治および福祉開発、国連安全保障委員会の発展など。現在国連に籍をおき、1952年に国連総会より義務付けられ、1946年以降の安全保障理事会議事録の憲法上および手続き上の指針となってきた『安全保障理事会実務一覧』のための情報収集と草案作成に従事している。 その調査領域は、国際平和と安全保障への妨害からアフガニスタン情勢と幅広い。本一覧は、安全保障理事会の実行性、国連チャーターや同会の臨時の手続き上の規則の運用についての妥当なデータを可能な限り包括的に提示している。 

2010年度フェロー

アン・ビョンオク(Ahn Byungok)
気候変動活動研究所(ICCA)代表 / 韓国


写真:アンNGOの気候変動活動研究所(ICCA)の代表として、気候変動とエネルギー問題に関する研究、分析、評論を行い、政府機関、地域社会、市民社会グループとともに活動を行う。韓国で環境問題への意識が高まり始めたころ、同国の公害問題研究所に大学院生として参画。その後、ドイツのÖekumenisches Studienwerk奨学生として、エッセン-ドイバーグ大学で生態学を研究し、博士号を取得。帰国後、約4万人の会員を誇るアジアで最大の環境NGOである韓国環境運動連合(KFEM)に入り、2007年より事務局長として、環境をはじめ、国内のさまざまな社会問題に携わる。気候変動緩和と適応に関する理論的かつ実践的な基盤を有し、大学や公共政策のワークショップ、市民社会グループなどさまざまな場で講義も行う。 
グオ・ジィーイウェン(Guo Zhiyuan)
安微大学ロースクール教授、安微国运法律事務所弁護士 / 中国


写真:グオ中国の安微大学ロースクールにて学士号(国際経済法)および修士号(訴訟法)を、中国政法大学にて博士号(手続法)を取得。また、アメリカのフルブライト委員会より2009-2010年度ハンフリー・フェローに選ばれ、アリゾナ大学およびミネソタ大学ロースクールで学術研究を行い、ドーシー&ホイットニー法律事務所で研鑽を積んだ。現在の主な関心は裁判外紛争解決、民事訴訟、証言、人権法などの理論と実践に関する比較研究で、関連分野において30冊以上の著作がある。 
ササンカ・ペレーラ(Sasanka Perera)
南アジア大学社会学部長・教授 / スリランカ


写真:ペレーラスリランカを代表する文化人類学者であるペレーラ氏の研究は、都市化、南アジア/スリランカにおける都市空間とそのダイナミズム、宗派間の対立をなくすあるいは、増進する教育の存在、政治的暴力、ナショナリズム、ポスト暴力のトラウマ、スリランカとネパールにおける宗教の政治化、記憶の政治性、文化の翻訳と視覚芸術の政治性と多様である。コロンボ大学で社会学、政治学、英文学の学士号を取得後、カリフォルニア大学で社会人類学の修士号および博士号を取得。2005年よりコロンボ社会文化高等研究所所長として、これまでスリランカの大学では取り上げられることがなかった知識生産と政治的介入の問題について共同研究に取り組んだ。2012年より現職。氏は、これまでスリランカ、米国、カンボジア、パキスタン、ネパールおよび日本で働いた経験がある。他に写真、詩、ブログ、ジャーナリズムに関心をもっている。 
コン・リッディ(Kong Rithdee)
映画評論家、バンコク・ポスト紙 コラムニスト / タイ


写真:リッディコン氏は、タイの代表的な英字新聞であるバンコク・ポスト紙で、アートおよび文化を担当するセクションの副編集長。氏は、同紙にて17年間アートと文化、特に映画について記事を執筆してきた。映画評論や一般的な芸術評論は文学の一形態であり、映画や芸術について書くことは、芸術家と観客との間に建設的な対話を生み、私たちが住む世界のありようを理解するための一助となるという信念から活動を行う。過去5年間に、タイでは少数派のイスラム教徒に関する3本のドキュメンタリーを共同製作。2作目の『改宗』は、仏教徒の女性がイスラム教徒の男性と結婚するために改宗するというストーリーで、タイ、カナダ、台湾、シンガポール、インドネシア、日本(山形)の映画祭で上映された。視覚情報で溢れた現代における動くイメージの政治性に関心がある。また、新聞購読者が減少する時代における活字記者、また動画の力を信じる映画製作者という二つの側面をもつ氏は、メディアの新しい可能性にも関心を寄せる。 
フォージア・サイード(Fouzia Saeed)
NGO メヘルガル所長 / パキスタン


写真:サイードパキスタンの社会運動家の間で最も知られる活動家の一人として、女性に対する暴力、売春、娯楽産業に従事する女性、女性の移動、セクシュアル・ハラスメントなど、女性に関わる問題に取り組む。ミネソタ大学で博士号を取得後、1991年にパキスタン初の女性のための救援センターを創設。国連ジェンダー・プログラムやアクション・エイドのパキスタン代表を歴任し、現在はジェンダーと開発分野における国際コンサルタントとして幅広く活躍する。また、活動家・所長としてパキスタンの青年の人材育成を行うNGOメヘルガルに携わる傍ら、喫緊の課題である全国的な反タリバン化運動にも深く参画している。パキスタンで性産業に関わる女性たちへの8年間にわたる取材の集大成である『Taboo! The Hidden Culture of a Red Light Area(タブー:パキスタンの買春街で生きる女性たち)』(2010年、コモンズ)、パキスタン国立民族伝統遺産研究所(ロック・ビルザ)で仕事をした際に執筆した『Women in Folk Theater(民衆演劇における女性)』などの著作がある。 
関薫子(Kaoruko Seki)
国際連合事務局人道問題調整室 政策担当官 / 日本


写真:関ニューヨークの国連事務局本部を拠点に、アフガニスタン、旧ユーゴスラビア、シエラレオネ、タイなど世界各地の紛争地域や自然災害の現場で国際緊急人道支援の調整を通して、犠牲者・被災者の救援に携わってきた。また、東ティモール、コソボ、モザンビーク、リベリアでの4つの国連平和維持活動(PKO)に従事し、警察機構の再建、治安部門の改革、選挙監視などを通じて、法的秩序に基づく平和と安全の実現をめざして活動してきた。ニューヨーク本部では、アジア・アフリカ・欧州のデスク担当として、国連安全保障理事会や国連総会の諸会合に関わる一方で、国際法・政策面から民軍関係の国際ガイドライン策定や軍要員の訓練・指導に携わる。日本・米国・オランダにて3つの大学院より修士号を取得。国際平和の実践と研究の両立を心がけている。 

2009年度フェロー

イクバル・ハイダー・バット(Iqbal Haider Butt)
ハインリッヒ・ベル・シュティフティング パキスタン事務所プログラム・マネージャー / パキスタン


写真:バット20年以上にわたり、テクニカル・ライティング&リサーチおよび様々なプロジェクトやアドボカシー活動の企画・立案を行ってきた。特にパキスタンで開発と青少年の平和構築における役割を促すために、国、地域、国際レベルの開発・援助機関のプロジェクトなどを幅広く支援してきた。南アジア各国の青少年が平和外交にかかわるための道筋を開き、主要コンサルタントとしてパキスタン最大の州であるパンジャブの青少年のための指針を策定し、他の州のためにも同じような指針を打ち出した。現在までに、45以上の大学や高等教育機関と関わってきており、平和と若者に関する研究調査を多数行う。さらに、パキスタンで初めて正式に認可された平和研究の修士課程コースの創設に寄与。パキスタンを含む南アジアの現代政治史や統治に関する50以上の著書の編集にも従事。 
黒田かをり(Kaori Kuroda)
CSOネットワーク 常務理事 / 日本


写真:黒田成蹊大学卒、ハーバード大学教育大学院修士課程修了。三菱重工業株式会社に勤務後、米国コロンビア大学ビジネススクール日本経済経営研究所、アジア財団(現アジア・ファンデーション)を経て、03年から国際協力・開発分野での市民社会組織のグローバルなネットワークを進める「CSO連絡会(現CSOネットワーク)」に勤務。現在、法政大学にてアジア政治、東北大学にて環境学の講師も務める。また、大阪大学の博士課程に在籍している。国際NGO、市民社会、社会的責任に関する講演、執筆が多数ある。著書に、『社会的責任の時代--企業・市民社会・国連のシナジー』(功刀、野村編著:東信堂 08年)の第14章「労働・人権分野のNGOイニシアチブ」など。 
マルコ・クスマウィジャヤ(Marco Kusumawijaya)
都市研究ルジャックセンター・ディレクター / インドネシア


写真:クスマウィジャヤ建築家としての専門に留まらず、環境、芸術、文化遺産、都市計画、開発など幅広い分野でその専門性を発揮し、活動家として活躍中のインドネシアを代表する知識人。持続可能な社会の実現に向けた都市計画や建築のあり方、そのために不可欠な社会変革について常に思考をめぐらせ、実践している。官・民、国内外を問わず多くの機関、非営利団体、コミュニティや市民社会グループと活動を共にし、スマトラ沖地震・津波でアチェが被災した際には、地域主導による23の村の再建プロジェクトに関わり高い評価を受けた。公共政策に関するワークショップ、市民社会活動家の研修会、大学、地域主導のアドボカシー活動など様々な場で講演活動も行う。建築、都市化に関する著作、社会起業に関する翻訳本もある。また、地元ジャカルタをよりよい町にするため、市民と知識やノウハウを共有するためのウェブサイト(www.rujak.org)を運営するなど、その活躍の場は広い。 
馬季方 マ・ジファン(Ma Jifang)
結核および肺病撲滅のための国際連合中国オフィス トレーニング・能力開発オフィサー / 中国


写真:マ・ジファン北京の国際関係学院で英米文学、同中国伝媒大学でマスメディアの学位を取得。現職では、中国における禁煙法の促進や禁煙区域の整備など、タバコの被害から人々を守る活動に従事している。前職は、労働者の権利の保護と労働条件の改善を目的に企業、大学、NGOで構成される連合体(公正労働協会)の中国独立外部監査コーディネーター。外国籍企業の関連工場における労働状況を調査する外部監査を統括し、国内で周縁化されている農民、移住労働者、女性たちの声を社会に届ける活動を行っていた。アクション・エイド中国事務所の支援・資金調達部門ならびに児童支援部門のマネージャー、フォード財団北京事務所の「環境と開発」プログラム担当などを歴任、非営利団体で10年以上働いた実績もある。 
タンヴィール・モカメル(Tanvir Mokammel)
映画監督、作家 / バングラデシュ


写真:モカメルバングラデシュを代表する映画監督。ダッカ大学で英米文学を専攻後、左派系ジャーナリストとして活躍。その後、左派系活動家としてバングラデシュ全土の貧農を組織してきた。チッタゴン丘陵地帯の先住民族と入植者との対立を描き、バングラデシュ国内では上映禁止となったドキュメンタリー『コルノフリの涙』、バングラデシュの衣料工場で働く若い女工たちを撮った『ガーメント・ガールズ』など、これまでに5本の長編映画と11本のドキュメンタリーを製作し、その社会性の高いテーマに対する国内外の評価は高い。作家としても多才で、新聞への寄稿のほか、詩、短編小説、文芸批評など数多くの作品を執筆。主著に、『Syed Waliullah, Sisyphus and Quest for Tradition in Novel(バングラデシュの著名な作家Syed Waliullahの小説や短編の批評)』、『A Brief History of World Cinema(世界映画の歴史)』、『The Art of Cinema(映画における美学についてのエッセイ集)』などがある。 
ジェニファー・サンティアゴ・オレタ(Jennifer Santiago Oreta)
アテネオ・デ・マニラ大学社会学部政治学科 助教授 / フィリピン


写真:オレタオレタ氏は、サント・トーマス大学(フィリピン)より政治学博士号を取得。専門はジェンダーと安全保障で、安全保障に関する議論や意思決定プロセスが男性に占められているという不均衡が、特に女性の安全を脅かす結果となっていると考える。カトリックの国際的平和運動組織「パックス・クリスティ・フィリピーナ」の委員長や民主主義の価値や理想を促進するためのシンクタンクであるDemokraXXiaの役員も務める。また、銃規制の強化をめざし武器貿易条約の可決に向けたロビー活動を行うフィリピン小型武器行動ネットワーク(PhilANCA)の委員や、フィリピン政府と民族民主戦線との間の最初の実質的な協定である「人権と国際人権法を尊重する包括的協定」の監視委員会の独立委員も務める。 
アンドリュー・ソー(Andrew K. L. Soh)
アテネオ・デ・マニラ大学人文科学部哲学科 講師 / マレーシア


写真:ソーアテネオ・デ・マニラ大学で哲学修士課程を修了。環境ならびに人間の生活にかかわる現代的課題に取り組む生きた哲学としてのタオイズム(道教)思想を研究。現在、アテネオ・デ・マニラ大学哲学科で教鞭をとり、タオイズム、人間哲学、宗教哲学を教えている。教育者として、精神・知性と心のバランスのとれた全人的な人間の育成をめざし、学生には奉仕活動を通して積極的に社会的弱者とかかわる機会(サービス・ラーニング)を与え、座学に留まらない生きた哲学の実践を通じて、人間とは何かについて考えさせることを信条とする。中国系マレーシア人として過去10年フィリピンに在住するというバックグラウンドから、多様性と統一(Diversity and Unity)の関係性については自身の中でも試行錯誤中だが、多様な文化や価値観が真の意味で調和をもたらす世界の可能性を信じている。 

2008年度フェロー

アティヤ・アチャクルウィサット(Atiya Achakulwisut)
バンコク・ポスト紙副編集長 / タイ


写真:アティヤチュラロンコン大学文学部にて学士号(アメリカ文学)、および米国オレゴン大学にて修士号(環境学)を取得。現在は、タイの大手英字新聞社であるバンコク・ポスト紙副編集長として、タイを含むアジア域内で起こっている事象の意味を検証し、それらが我々をどこに導こうとしているのかについて多様な視点から分析・提示している。特に、台頭する中国や、中東や対テロ戦争への継続的な関与により政治状況の悪化と不況に喘ぐ米国の存在を前に、アジア地域を繋ぐ共通の価値観や関心事に注目している。またアジア地域に共通の課題として、社会の高齢化や、社会的背景や階層を異にする他者が抱える問題に無関心で、個人の関心の中に閉じこもりがちな若者の風潮を挙げている。 
ホセ・ルイス・マーティン・C・ガスコン(Jose Luis Martin C. Gascon)
フィリピン大統領府政務担当次官 / フィリピン


写真:ガスコンフィリピンの弁護士、政治活動家、そして社会改革者。現在、アキノ大統領率いるフィリピン政府の大統領府政務担当次官として政権を支えている。フィリピン憲法の草案をつくった1986年憲法制定会議の最年少メンバーで、同時に第8回議会の青年部代表も務めた。また、氏は、地方自治への若者の参加を制度化する法律や、あらゆる虐待から子供を守る児童保護に関する法律を起草した一人でもある。フィリピン文部省の法律担当次官やフィリピン民族民主戦線との和平会議の政府側委員などを歴任。正義を行使する権利、政治と選挙改革、紛争解決と人権、市民教育、透明性と説明責任に関わるアドボカシー活動も行う。2005年にアロヨ政権下で大量辞任した閣僚グループ「ハイアット10」の政策を担当する「革新・変革そして卓越した統治のための国際センター」創立時の理事も務めた。フィリピン大学ディリマン校にて文学士号および法学士号を、また、ケンブリッジ大学セント・エドモンド校にて法学修士号を取得している。 
谷亦安 グー・イアン(Gu Yi An)
上海戯劇学院演劇部門 役者、演出家、教授 / 中国


写真:グーグー氏は、中国の数少ないアヴァンギャルドな演出家として知られ、実験的で革新的な演劇を追求し、常に舞台演劇の許容範囲を拡げる活動を続けている。1978年に上海戯劇学院の演劇部門に入学。同学院で演劇と演出の修士号を取得後、教員に就任。東西の文化交流促進のために、同学院内にShanghai International Performing Arts Research Centre(上海国際パフォーミング・アーツ研究センター)を設立。同センターを通して、多くの国際的な演劇指導者を招聘し、自身の研究テーマである古典及び現代演劇の手法/訓練に関するコラボレーションを行っている。1989年にZhang Xian (張弦)作 Owls in the House(部屋の中の梟)を上海で初演し、その後、南京で開催された中国初の全国実験演劇フェスティバルで上演した。1992年に『DaQiao-Big Bridge(大きな橋)』の監督として文化賞を受賞し、2004年に最優秀監督として「中国演劇金獅子賞」を受賞。同氏の演劇方法論は、異文化、多文化、そして相互理解と受容を基にしている。 
金海蒼 キム・ヘチャン(Kim Haechang)
慶星大学教授 / 韓国


写真:金海蒼釜山の大手地域紙であるThe Kookje Daily News 『国際新聞』で17年間記者として活躍。2002年には同紙の労働組合会長を務める。1997年より一年間、東京にある環境NGOで快適な社会や環境創りを実践的に研究する団体、AMR(アメニティ・ミーティング・ルーム)のメンバーとして活動。また、反原発のための市民連合のメンバーでもある。ソーシャル・デザイナーである氏は、常に様々なネットワークや地域コミュニティとの連携をはかりながら、気候変動や環境問題への解決法をみつけるために活動をしている。NGO系のシンクタンクである希望製作所の副所長も務めた。主著(韓国語)に、『日本の新聞:日本を動かすパワー』(2005)、『日本が低炭素社会へ』(2009)など。釜山大学大学院(環境経済学)博士号取得。 
チャンドラ・キショール・ラル(Chandra Kishor Lal)
コラムニスト及びコメンテーター / ネパール


写真:ラルネパールを代表する政治コメンテーターのラル氏は、現在、Republica、Nagarik Dainikおよびカトマンズから出版されている隔週誌Himal Southasianのコラムニストを務める。過去10年間にわたり、流行を発信し続けている雑誌Himal KhabarpatrikaNepali Times にも定期的に寄稿してきてきた。氏はマイティリー語、ネパール語、ヒンズー語、そして英語の4言語を駆使し、南アジアの出版、ラジオ、テレビなどの媒体を通して広く一般大衆にも知られている。2006年には、ネパールで最も影響力のあるコラムニストに選ばれた。氏の戯曲Sapana ko Sabitiが、2010年にカトマンズで上演された。また、ネパール人のアイデンティティについての「思考論文」であるNepaliya hunalaiが2011年に刊行された。 
李洙任 リー・スーイム(Lee Soo im)
龍谷大学経営学部教授 / 日本


写真:李洙任テンプル大学より博士号(教育学)を取得し、スタンフォード大学リサーチ・フェロー(人種及び民族に関する比較研究)、ハーバード大学ライシャワー日本研究所客員教授を歴任。李氏は在日コリアン3世だが、帰化し、日本国籍を取得。日本社会における多様性の政治的、社会的文脈について探究している。現在、大阪市外国籍住民施策有識者会議委員でもある。著書のJapan’s Diversity Dilemmas(共編著)は占領時代の初期移住期、第二次世界大戦終戦時の日本国籍の剥奪、現在の帰化および韓国名の取り戻しの推進努力などを通して日本における韓国・朝鮮人の数十年にわたる経験を分析している。現在、グローバル化の波が、日本における均質性の概念を弱め、多様性や多文化主義の新しい概念を生んでいるかという研究テーマに取り組んでいる。 
ジョティルマヤ・シャルマ(Jyotirmaya Sharma)
ハイデラバード大学政治学教授 / インド


写真:シャルマシャルマー氏は、現在スウェーデン高等研究コレギウムのフェローとして研究を行っている。近著には『Hindutva: Exploring the Idea of Hindu Nationalism(ヒンドゥートヴァ:ヒンズー・ナショナリズムの思想を思索する)』、『Grounding Morality: Freedom, Knowledge and the Plurality of Cultures(座礁するモラル:自由、知識、文化の複数性)』がある。次作では、19世紀の宗教としてのヒンズー教の創造について探究している(2013年刊行予定)。社会開発センターおよびインド高等研究機関の研究員、ハイデルベルクのルプレヒト・カール大学南アジア研究所にて民主主義思想の客員教授(2005年)などを歴任。『Times of India』や『The Hindu』のシニア編集担当者を務めた経験もあり、現在もコラムニストとして複数の新聞や学会誌に寄稿している。 

2007年度フェロー

青山薫(Kaoru Aoyama)
神戸大学大学院国際文化学研究科准教授 / 日本


写真:青山英国エセックス大学にて社会学の博士号取得後、東北大学および京都大学で教鞭をとる。ジェンダーとセクシュアリティ、社会的包摂/排除、越境移住労働、性労働と人身売買を専門分野とする。研究調査の対象者に有益となる公正な社会調査の構築を、理論及び方法論の両面で探求しつつ、タイ北部に帰郷した女性労働者たちと、日本に暮らす外国人性労働者に関する調査に関わってきた。また氏は、東京の任意団体ピープルズ・プラン研究所の理事として、国境を含め、社会格差を生むような「境界線」に捉われない参加型民主主義の推進をめざす、社会意識の高い、アジア地域の研究者や運動家とのネットワーキングに参画。氏は、現在グローバル化の下での親密性や市民権の変容に関心をもつ。 
ビナ・サーカー・エリアス(Bina Sarkar Ellias)
作家、詩人、キュレーター、雑誌『Gallerie』編集者・出版責任者 / インド


写真:エリアスグローバルなアートや思想についての雑誌『Gallerie』の創刊者、デザイナー、編集責任者。創刊から15年、視覚及び身体芸術、エッセイ、詩、市民社会、映画や写真の特集を通し、文化に対する批評的な意識と理解を醸成すべく活動してきた。雑誌のほかにもアーティスト、詩人、写真家のカタログや著書のデザイン、編集、刊行なども手がける。自身も、詩人、作家でもあり、論文集やオンラインサイトで発表を行ってきた。キュレーターとして、インド人アーティストのグループ展や、2010年には、ニューヨークのペン&ブラッシュ社のオンライン展に携わった実績がある。 
何式凝 ペチュラ・シックィン・ホウ(Petula Sik-ying Ho)
香港大学准教授 / 香港


写真:シックィン・ホウホウ氏の研究および教育的関心は、ジェンダーとセクシュアリティおよび定性的研究である。氏の著作は、言説、文化的慣習、政治、経済そして社会的な変化をつなぐ実証的なケース・スタディを通して、フェミニスト理論の再考を促し、本分野における西洋優位性に抵抗するジェンダーとセクシュアリティのダイナミックな理論の構築に貢献している。氏は、同時に芸術と学術の融合を探究するためにドキュメンタリー映画の製作も手掛けている。AV機器を使用した研究法を、定性的研究の中での言葉や言語を補足するために活用し、新しい世代の知を導きだすことをめざしている。 
黄建生 フアン・ジャンシェン(Huang Jiansheng)
雲南民族大学教授 / 中国


写真:フアンフアン氏は、現在、雲南民族大学社会インパクト評価・モニタリングおよび東南アジア民族学研究の所長を務める。ノルウェーのベルゲン大学に8年間在籍し、同大学社会人類学部より修士号(哲学)及び博士号を取得。氏は「教育政策と持続可能なコミュニティ開発」プロジェクトの中国代表、「開発にかかわる先住民の主流化のための能力開発」プロジェクトのリーダー、Sustainable Users’ Concept for China Engaging Scientific Scenariosという中国-EUの共同プロジェクトのチーム・リーダーも務めた。またアジア開発銀行や世界銀行の支援をうけた社会インパクト評価プロジェクトの中国コンサルタントとしても活躍している。 
シープラパー・ペッチャラミーシー(Sriprapha Petcharamesree)
マヒドン大学人権・平和研究所講師 / タイ


写真:シープラパータマサート大学にて学士号(政治学)を取得した後、パリ第10大学(ナンテール)で修士号及び博士号(国際政治学)を取得。ペッチャラミーシー氏が初めて人権問題に関わったのは、ユニセフのカンボジア難民のための緊急救援活動にソーシャル・ワーカーとして参加した時である。その後、技術経済協力庁勤務を経て、マヒドン大学に籍をおく。タイ及び東南アジアで初めて創設された人権に関する国際修士プログラムの委員長を2007年まで務めた。現在は、市民権、経済、社会及び文化的権利、共同体としての権利や草の根の人権教育などに関心をもっている。2009年よりアセアンの人権に関する政府間委員会のタイ政府代表に任命されている。 
ヒシャムディン・ライス(Hishamuddin Rais)
国立芸術文化遺産アカデミー講師 / マレーシア


写真:ライス多才な芸術家にして活動家であり、1970年代にマラヤ大学の学生運動のリーダー的存在であった氏は、1974年にマレーシアを離れ、長期海外生活を経て1994年に帰国。ロンドンで映像製作を学び、1998年に初めて長編映画を製作したほか、扇動的装置を使いゲリラ・パフォーマンスを行う演劇集団を発足させた。現在は映像理論についての教鞭をとる一方で、英語とマレー語双方の活字媒体で、政治から料理まで非常に幅広い題材を扱った活発な執筆活動を行っている。特定の政党・信条によることなく、その公平さと透明性は市民から厚い信頼を得ている。また、2007年、新たにオープンしたクアラルンプール市内のアートセンターに、公正さを追求するオルターナティブ・カフェを運営する「無職の若者による協同体」を立ち上げた。同センターでは、一般市民向けに哲学や批評的思考についての無料ワークショップを開講するほか、スタンドアップ・コメディアンとしても活動。また、アルジャジーラ・インターナショナルのマレーシアからのコメンテーターを務めた経験ももつ。 

2006年度フェロー

モヒゥディン・アフマッド(Mohiuddin Ahmad)
研究者、コラムニスト / バングラデシュ


写真:アフマッドアフマッド氏は、経済学者としての教育をうけ、現在は研究者として、また詩人、コラムニストとしても活躍する。1980年に自身が創設した、記録・情報コミュニケーション・研究・政策提言などに関わる全国規模のNGOであるCommunity Development Libraryの代表も務める。ソーシャル・コミュニケーター、開発実践者、そして連帯活動家として南アジア地域で良く知られる氏は、これまでARENA、南アジア貧困撲滅同盟(SAAPE)、ジュビリー・サウス(アジア・太平洋地域)などのNGOで活動してきた。これまでに、詩集、小説、研究論文、エッセイなどあわせて37冊の著書があり、ベンガル語と英語の両方で執筆を行っている。また、バングラデシュで最も高い発行部数を誇るProthom Aloにも寄稿している。 
アルバート・アレホ(Albert E. Alejo)
アテネオ・デ・ザンボアンガ大学学長補佐(社会開発担当) / フィリピン


写真:アレホイエズス会司祭であるアレホ氏は、聖職者としての職務、汚職反対運動、宗教間対話の促進、先住民族の人権のためのアドボカシー、人身売買研究、文芸創作を行いながら、同時にアテネオ・デ・ザンボアンガ大学における社会開発の活性化に従事している。ミンダナオにおける対立に対する2つの主な公開協議からの見識は、ミンダナオ2020平和と開発の枠組みを拡充したといえる。氏の著書『Generating Energies in Mount Apo: Cultural Politics in a Contested Environment(アポ山でエネルギーを醸成する)』は、新しい世代の人類学者の育成と、Mindanawon Initiatives for Cultural Dialogueの創設に寄与した。また、文化・芸術国立カウンシルのメンバー、Asia Mindanawの編集者も務める。ロンドン大学東洋アフリカ学院で人類学の博士号を取得。 
クンダ・ディクシット(Kunda Dixit)
Nepali Times・Himalmedia社編集責任者 / ネパール


写真:ディクシットコロンビア大学でジャーナリズムの修士号を取得後、国連本部付き記者としてBBCワールドサービスに勤務。その後、マニラに拠点を置く通信社Inter Press Serviceのアジア・太平洋地域局長として、主流メディアでは取り扱われないニュースの取材・編集に携わる。ディクシット氏が率いるHimalmedia社は、その専門性と誠実な報道姿勢で評判が高く、最近の緊迫した政治情勢の中でも、ネパールの報道の自由と民主主義を擁護するために重要な役割を果たした。主著である『Dateline Earth: Journalism As If the Planet Mattered』(Manila: Inter Press Service, 1997年)は、環境・開発問題について有意義な報道をするための指南書として、世界各国のジャーナリズム学科で使われている。 
マリア・ハルティニンシ(Maria Hartiningsih)
ジャーナリスト / インドネシア


写真:ハルティニンシ日刊紙『Kompas Daily』で1984年より記者を務めてきたハルティニンシ氏は、社会の周縁に追いやられた人々に関する一貫した報道姿勢が認められ、ジャーナリストとして初めてYap Thiam Hien人権教育功労賞を受賞。そのほかにも、ホームレスを扱った報道により、国連人間居住センター(UNHCS)により贈られた賞など多くの受賞歴がある。ジャカルタにあるジャーナリズム研究所を卒業後、インドネシア大学ジャカルタ校で女性学の修士号を取得。1992年以来、環境・開発・人口・女性・子供などの社会問題を扱う国際会議の取材を続ける。現在はフィールドワークを続ける傍ら、主に現代のインドネシアにおける社会不正義、多文化主義、宗教間問題にフォーカスを置きながら、掘り下げた報道を行っている。 
鎌田 陽司(Yoji Kamata)
NPO法人開発と未来工房代表理事 / 日本


写真:鎌田鎌田氏は、東京大学で農業経済学を学んだ後、英国サセックス大学で開発と社会変革の人類学について学び修士号を取得。世界システムをグローバル化からローカル化にパラダイム・シフトするための方法を模索してきた。氏のビジョンは、真に持続可能で人びとが幸せに暮らせる「懐かしい未来」の実現である。ここ5年間の活動は、1)日本においてエコビレッジのデザイン教育の推進、2)実践的な平和教育を通して、ネパールの若者をエンパワーすること、3)幸せの経済学に関する国際会議の企画、4)日本においてエコビレッジおよび脱石油型社会へ移行していくことを目指したトランジション・タウンの推進、5)ドキュメンタリー映画「懐かしい未来」(ダイジェスト版)の製作である。 
李 時載 イ・シジェ(Lee Seejae)
韓国環境運動連合共同代表 / 韓国


写真:李時載社会学者としての教育をうけ、ソウル国立大学で学士号を、東京大学で博士号を取得。韓国カトリック大学にて社会運動、環境社会学、社会学理論などの教鞭をとる。1990年代より環境運動にかかわり、中国の反砂漠化運動に従事。現在は、中国における市民社会の新興および日本の都市部における近隣組織の役割などを主な研究対象としている。また国際社会学会の環境研究委員会、東アジア社会学者シンポジウム、東アジア環境社会学者会議に関わっている。 
グエン・タン・ソン(Nguyen Thanh Son)
T&A Ogilvy 所長 / ベトナム


写真:グエン・タン・ソンハノイ出身のグエン氏は、実業家、コミュニケーション専門家、講師および美術・文学評論家である。ベトナム・ニュース・エージェンシー(VNA)の世界ニュース部門のデスクとしてキャリアをスタートした。モスクワ国立国際関係大学にて国際ジャーナリズムの修士号を取得。ベトナム国内では著名な文芸批評家、異文化融合の専門家として知られる。現在はベトナムのハノイ国立大学でコミュニケーション論の講師も務めると同時に、世界経済フォーラムのホーチミン市のハブ・キュレーターでもあり、若手のベトナム人トレンドメーカーに対してよりよい世界のために活動するよう助言などを行っている。 
ジャネット・ピライ(Janet Pillai )
マレーシア科学大学上席講師 / マレーシア


写真:ピライ演技論や演出理論、演劇論や子供のための劇場などについて大学で教鞭をとるピライ氏は、マレーシア国内の青少年による演劇界の先駆者、また経験豊富な演出家であり、これまでに商業・教育・コミュニティなど様々なレベルで30作品以上の公演を手がけてきた。また、ペナン州における学外教育としての多元的芸術教育プログラムであるARTS-EDのコーディネーターとして、伝統芸術及び現代芸術の訓練に携わる。その他にも、地域の若者への文化遺産教育のためのコンサルタント・講師として活躍する。氏の研究や出版物の主なテーマは、学外における芸術教育、文化遺産教育、紛争解決、芸術に関する学習理論などである。 

2004年度フェロー

カリーナ・アフリカ・ボラスコ(Karina Africa Bolasco)
アンヴィル出版出版事業統括部長 / フィリピン


写真:ボラスコボラスコ氏は、「ナショナル・ブックストア」社に10年、自身が創立し、現在フィリピンで最大かつ有数のアンヴィル出版に22年間と、出版業に32年間携わってきた。ナショナル・ブック賞(132冊)や年間最優秀発行人を何度も受賞しているアンヴィル出版は、市民生活を知的に潤す活動への貢献が広く認められている。氏は、1995年には書籍出版と識字普及活動により国に貢献した女性10名の一人に選ばれ、フィリピンの書籍開発委員会の委員長も務めている。自ら執筆したエッセイや詩の数々も作品集として世に出されている。 
キンレイ・ドルジ(Kinley Dorji)
ブータン情報・コミュニケーション省次官 / ブータン


写真:ドルジブータンの全国紙Kuenselの編集長をはじめ、ジャーナリストとして39年間従事した後、情報・コミュニケーション省の次官に就任。現在、メディア、情報コミュニケーション、テクノロジーおよび運輸に関する国家政策、立法および計画を担っている。米国コロンビア大学でジャーナリズムを専攻し、修士号を取得後、メディア界の傑出した識者として、君主制から民主制へと急速にその政治システムを変容させつつあるブータンの社会・経済状況を常に注視し、論考を発表している。また、開発の新しいパラダイムとして国民総幸福論(Gross National Happiness)を推進し、GNHの中心概念として、GDPを超えた持続可能な社会経済開発、文化の保護、環境保全および良い統治を重視した全体論的なアプローチが重要だと考えている。 
費春放 フェイ・チュンファン・フェイ(Faye Chunfang Fei)
華東師範大学英語学部教授 / 中国


写真:費春放世界の演劇を専門とする研究者/芸術家として活躍するフェイ氏は、ニューヨーク市立大学大学院にて博士号を取得し、上海に戻るまでの8年間、米国において批判理論、劇文学、演劇史の教鞭をとる。『Chinese Theories of Theatre and Performance from Confucius to the Present(孔子から現代まで:中国演劇の理論)』(ミシガン大学出版、1999年)をはじめ、氏が執筆・編集した出版物は数多い。劇作家としての作品はすべて形式および内容において異なる文化とのかかわりを描いている。最近の作品では、イプセンとストリンドベリを中国の古典演劇の形式に脚色した。詩や短編小説を手掛ける作家でもある。 
ジャムハリ(Jamhari)
国立イスラム大学イスラム社会研究センター(PPIM-UIN, Jakarta)所長 / インドネシア


写真:ジャムハリオーストラリア国立大学にて人類学の博士号を取得したジャムハリ氏は、イスラム社会における民主主義の普及やムスリム(イスラム教徒)の市民社会への適合性について詳しい、卓越したイスラム研究者として知られる。昨今は、宗教原理主義台頭の根源となっている農村部の貧困問題の悪化を懸念し、関心を寄せている。氏が所長を務めるイスラム社会研究センター(PPIM-UIN, Jakarta)では、ムスリムと非ムスリムの相互理解促進を目的とした学際的な調査研究の推進役として、誤解に基づいたムスリム社会への不公正の問題に取り組み、西洋的価値体系との関連でイスラム教がもつ現代的意義を模索・探求している。著書に、『Islamic Contemporary Movement: The Rise of Islamic Radicalism』(ロゴス、2004年)がある。 
チャンドリカ・セパリ・コテゴーダ(Chandrika Sepali Kottegoda)
Women and Media Collective創設メンバー・共同代表、研究者 / スリランカ


写真:コテゴーダコテゴーダ氏は、スリランカのケラニア大学にて英文学の学士号を取得し、英国のサセックス大学にて開発学の博士号を取得。氏は、Sri Lanka Women’s NGO Forum(スリランカ女性NGOフォーラム)の創設者・コーディネーターの一人で、またAsia Pacific Women’s Watch 2010(アジア太平洋女性監視機構)の会長でもある。氏は、スリランカの外国人雇用省の外国人雇用に関する国家政策および女性省の女性に関する国家プランの起草委員会のメンバーとしても活躍。家庭の中の政治、ジェンダーと災害、女性の「性と生殖に関する権利(リプロダクティブ・ライツ)」、女性の海外における労働と移住、新しいメディアにおける女性の参画を中心としている。 
草郷孝好(Takayoshi Kusago)
関西大学社会学部教授 / 日本


写真:草郷草郷氏は、スタンフォード大学で開発経済学の修士号を取得後、ウィスコンシン大学マディソン校にて開発学の博士号を取得。世界銀行のエコノミストや国連開発計画 (UNDP) のプロジェクトにおける貧困削減政策アドバイザーとして従事した経験がある。社会および経済開発に関する著書を多数執筆しており、現在の研究関心は、社会のウェル・ビーイングとコミュニティのエンパワーメントである。活動する研究者として、人間中心の内発的開発を促進するために、地域コミュニティや自治体に技術的および精神的な支援を行っている。 
グエン・ヴァン・チン(Nguyen Van Chinh)
国立ベトナム大学ハノイ校人類学教授 / ベトナム


写真:グエン・ヴァン・チンオランダのアムステルダム大学にて博士号を取得。国立ベトナム大学ハノイ校のアジア太平洋研究センター副所長および東南アジア研究地域交流プログラム(SEASREP)の評議員を兼任する。主に労働、教育、移民、東南アジアにおける国境付近の少数民族の問題に焦点を当てながら、不遇や辺境に置かれた人々の貧困問題の軽減と社会正義の回復の研究に関心をもって取り組んでいる。教職・研究職に携わる一方で、アジア開発銀行、世界銀行など国際機関やNGOのコンサルタントとしても活躍している。著書に『Social Transformation and Children’s Work in Vietnam(社会変革とベトナムの児童労働)』(2009)がある。 

2003年度フェロー

ハミド・バシャイブ(Hamid Basyaib)
Aksara Foundation研究員・活動家・著述家 / インドネシア


写真:バシャイブインドネシアにおいて知的で相互作用が豊かな市民社会の平和的な実現を目指すNPO、Aksara Foundationの研究員であり活動家。イスラム知識階級を代表する知識人の一人で、イスラム法、イスラム国家、個人の自由などのイスラム戒律の革新的な再検証に果敢に取り組む。1983年以降幾つかの雑誌や日刊紙の編集長を歴任。現在も新聞や雑誌に記事を執筆すると共に、数多くのメディアで氏のインドネシア政治に関する見解が紹介されている。国内外の政治についての著作も発表。ガジャマダ大学大学院にて政治学の修士号取得。 
鄭 鎭星 チョン・ジンソン(Chung Chin-Sung)
ソウル国立大学社会科学部教授 / 韓国


写真:鄭鎭星シカゴ大学で社会学の博士号を取得。研究領域は、ジェンダー社会学、社会史や人権問題を含む。日本の社会運動、従軍慰安婦問題や韓国・日本の人権をめぐる状況について著書を出版している。また人権についての季刊誌Human Rights Quarterlyを含む著名な学術誌に多くの論文を発表している。近年、売春、人権に関する意識の全国調査を遂行した。ソウル国立大学附属の社会発展と政策研究所の所長を経て、現在は韓国女性学会の理事長も務める。また、2013年の韓国社会学学会の理事長に選出された。過去には国連人権育成保護小委員会、現在は国連人権諮問委員会の委員として、重要な報告書執筆にも携わっている。 
スパラ・ジャンチーファ(Supara Janchitfah)
Peace Information Centre、Foundation for Democracy Development and Studies研究員 / タイ


写真:スパラスパラ氏は、地域および国際的なジャーナリスト賞(特派員協会金賞、ロイター財団フェローシップやジェファーソン・フェローシップなど)を受賞した19年間の記者生活を終え、現在、草の根の活動を行う人のためのメディア戦略、技術の移転や製作活動の支援のための「草の根活動のための人々のメディア」を立ち上げている。本プロジェクトは草の根の活動をおこなっているネットワークが、、大手メディアにおいてより大きな形でとりあげられるよう、また、そのネットワークが影響力のあるメディアや学界との協力関係を育み、社会的対立や不安が深まっているタイにおいて、より平等で包含的な社会をつくることに貢献することを目的としている。 
中野嘉子(Yoshiko Nakano)
香港大学文学部副学部長/現代語・文化学科准教授(日本研究)/ 日本


写真:中野中野氏は、ジョージタウン大学にて博士号を取得したのちに香港に渡る。2000年から「メイド・イン・ジャパン」製品のグローバル化と移行期の香港の役割を、炊飯器を例にとり研究し始めた。調査結果をまとめた書籍、『Where There Are Asians There Are Rice Cookers How ‘National’ Went Global via Hong Kong(アジア人のいるところに、炊飯器あり:「ナショナル」製品が香港径由でいかにグローバル化したか)』(HKU Press, 2009年) は、日本から香港そしてその先へと炊飯器のたどった道について詳述している。地域社会との関わりを深めるため、ビジネスリーダーと並んで香港日本倶楽部の役員を務め、また読売新聞アジア版に定期的に寄稿している。 
マリアン・パストール・ロセス(Marian Pastor Roces)
芸術批評家・キュレーター・Tao, Inc.代表 / フィリピン


写真:ロセスキュレーターおよび評論家として、企業活動、講演、出版など精力的にこなし、国際舞台で活躍。ロセス氏の理論的な業績は、主に博物館における文化表象の政治力学に基盤をおくが、さらに先住民文化、近代化のトラウマ、都市化の中で作用するパワーなどより広い課題に繋がるものである。また、氏は主に社会正義の問題に焦点を当てた、博物館や美術館の展示プロジェクト、文化企画マネージメントを専門に行うTAO, Inc.の代表を務める。業績には、「Sheer Realities Body Power and Clothing in 19th Century Philippines」(ニューヨーク・アジア協会、2000年)、フィリピンにおけるコメにまつわる政治、科学、文化などを扱った「Laon-Laan」(フィリピン国立博物館、2003年)、学問として成立した科学がもたらす限定的な知の秩序立てに批判的な眼差しを注ぐ現代アーティストが集まった「Science Fictions」(アール・ルー・ギャラリー、アジア文明博物館、シンガポール美術館、エスプラナード、すべてシンガポール、2003年)などがある。 
パラグミ・サイナート(Palagummi Sainath)
フリーランス・ジャーナリスト / インド


写真:サイナートインドのムンバイに拠点を置く、アジアを代表するフリーランスのジャーナリストの一人である。サイナート氏のルポルタージュは農村部の社会的辺境に置かれた人々の生活に光をあて、彼らの状況を改善することを主眼に置いている。ジャワハルラル・ネルー大学にて史学修士号取得後、United News of India紙でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、後に南アジア最大の週刊誌である Blitz誌の副編集長として10年間活躍。1993年には、Times of India紙のフェローシップを獲得し、2年間にわたりインドの10の最貧困地帯の取材にあたる。その間に書かれた記事をまとめた著書Everybody Loves a Good Drought Stories from India’s Poorest Districts (Penguin, 1997)は多くの賞を受賞。過去10年にわたって一年のおよそ四分の三を農村地帯での取材にあて、記事を複数の新聞に執筆している。また1990年代にインド農村部において撮影した数千枚に及ぶ写真による報道写真展は非常に高い評価を得た。 
ハム・ソムナン(Ham Samnang)
SK&P カンボジア法律事務所研究員、フリーランス翻訳家・通訳者 / カンボジア


写真:ソムナンソムナン氏は、現在、SK&Pカンボジア法律事務所にて研究員、弁護士助手として勤めているほか、様々な団体・機関の打合せ、ワークショップ、国内外の会議への翻訳・通訳業務を取り扱う会社を自身で経営している。2008年4月~2010年3月の2年間にわたりカンボジア特別法廷(クメール・ルージュ裁判)において翻訳者・通訳者として参加。また共同捜査判事事務局(OCIJ)のフィールド通訳者としても活躍した。2002年~2006年、カンボジア平和協力研究所のアシスタントディレクター、シニアリサーチフェロー、1996年~2002年にはカンボジア・デイリー紙のメディアモニターを務めた。 
楊光 ヤン・グァン(Yang Guang)
中国社会科学院西アジア・アフリカ研究所所長・教授 / 中国


写真:ヤン1978年以降、中国社会科学院西アジア・アフリカ研究所で研究者及び教授として活躍し、現在は同研究所の所長を務めるヤン氏は中国の中東研究の第一人者であり、中東諸国の開発・経済・エネルギー問題に関する論文を数多く発表している。また、多数の会員を擁する中国中東学会常務副会長および中国アフリカ学会常務副会長も兼任。1999年には中国社会科学院大学院において法学修士号を取得。また1980年代にパリとウィスコンシン(米国)への留学を経験、英語とフランス語に堪能である。 

2002年度フェロー

木下玲子(Reiko Kinoshita)
ジャーナリスト、国際女性メディア財団理事 / 日本


写真:木下90年代から「日本に欠けているパワー」をテーマに研究と取材活動を続けている。その結果は『インフルエンシャル――影響力の王国』、『プライズ――「九つの賞」の背景』、『欧米クラブ社会』、『アメリカン・バブル』の四冊の著書となった。ジョンズ・ホプキンズ大学ライシャワー・センターの客員研究員として、「日米関係再構築」を研究。その成果は米国東部各州の大学で行われた討論・意見交換を通して、大学生たちが日米関係を考える一助となった。世界各国で活躍する現役女性ジャーナリスト1,400名を抱える「国際女性メディア財団」(本部・米国首都ワシントン)で、アジア・太平洋地域を代表する唯一のアジア系理事として、アジア・太平洋地域のみならず欧米、南米、アフリカ地域で活躍する女性ジャーナリストたちの緊密なネットワーク構築を目指している。 
胡涛 フー・タオ(Hu Tao)
世界資源研究所シニア・アソシエイト / 中国


写真:フー・タオ中国において環境政策の方法論としての環境経済学の先駆者の一人。国内省庁のみならず国際機関や二国間協力機関の政策アドバイザー、プロジェクトコンサルタントを務める。UN-China Climate Change Framework Program(CCPF)のコーディネーター、国家環境保護総局(SEPA)直属の政策研究センターでのチーフエコノミストやSEPA直属のWTO New Round Negotiation 貿易と環境の専門グループにおいてチーフエキスパートとして活躍。 
マズナ・ビンティ・モハマッド(Maznah Binti Mohamad)
シンガポール国立大学マレイ・東南アジア研究学部准教授 / マレーシア


写真:マズナマズナ氏は、社会・政治開発、女性学、イスラム社会と人権問題など、開発研究の専門家。The Aliran Monthlyに定期寄稿し、現在のマレーシア政治について制約のない、オルターナティブな分析を提示してきた。その鋭い分析力と不公正に対する発言は自国の女性運動家から幅広い支持を得ているマレー人学者である。主著に Melayu: The Politics, Poetics and Paradoxes of Malayness (メラユ:マレー性の政治、詩、パラドックス) (co-edited, 2011) などがある。 
グエン・ティ・ヒュー・ティエン(Nguyen Thi Hieu Thien)
国立ホーチミン教育大学英語学部副学部長 / ベトナム


写真:ヒュー・ティエングエン氏は、旧ソ連オデッサ工科大学で電気工学の学位を取得後、1980年代後半まではロシア語教育に携わる。その後、キャンベラ大学にて英語学修士を取得し、現在ではアメリカ文化およびアメリカの多文化文学についての広範な調査研究で知られる、ベトナムにおけるアメリカ文学研究の第一人者。国立ホーチミン教育大学英語学部の副学部長、またアメリカ研究プログラムの責任者として、大学の運営、カリキュラム開発、国内外の教育機関との協力体制など、大学改革の重要な役割を担う。 
ヴィノード・ライナ(Vinod Raina)
1950-2013 / インド


写真:ライナ理論物理学の博士号を取得。貧しい子供達の教育に専念するため、デリー大学を辞職し、教育への権利、食糧への権利などの権利確保の運動に深く関わる。科学的社会問題、例えばボバールガス被害、ナルマダダムや原子力エネルギーについても取り組んでいた。また水、食糧、エネルギー、気候変動などの問題に目を向けているインドの市民運動 All India People’s Science Network にも加わっていた。そのほか地球規模の活動を行っている団体 Alternatives International, ARENA, Jubilee South などの活動にも参加し、国際開発研究フォーラムのメンバーでもあった。2013年までの数年間は発展社会研究所の客員上席研究員としても活躍。 

2001年度フェロー

デーヴィド・セルドラン(David M. Celdran)
メディア専門家 / フィリピン


写真:セルドランセルドラン氏は、数々の賞を受賞した報道ジャーナリストであり、20年以上にわたりテレビのニュース番組のマネージャー、キャスター、リポーター、そしてプロデューサーの経歴を持つ。現在、国内を代表するニュース専門チャンネルABC-CBN放送局の司会者とプロデューサー、同局が発行する 雑誌VAULT の編集長を務めている。また氏は、フィリピン調査報道センター(Philippine Center for Investigative Journalism)の会長であり、Manila Bulletin newspaperに定期寄稿している。 
黄平 ファンピン(Huang Ping)
中国社会科学院アメリカ研究所所長・教授 / 中国


写真:ファンピンロンドン・スクール・オブ・エコノミックス(LSE)で博士号取得、国際的にも評価されている社会学者である。学識的な研究者として、社会科学の幅広い分野にわたり多くの著書と論文を発表している。氏の現代中国社会の実証的研究は、社会科学の中で西洋の概念上の構造(Western conceptional frameworks)の妥当性について再調査を試みている。多くの国連関連の活動を通じ、理論的調査と研究がいかに現場において適用実施されるかを探究している。現在、中国アメリカ学会(Chinese Association of American Studies)の会長も務める。 
マヘンドラ・ラマ(Mahendra P. Lama)
シッキム大学学長 / インド


写真:ラマラマ氏は、新しく設立されたシッキム大学の初代学長。最年少でインドの国立大学の学長となった。また過去にはインド政府の国家安全諮問委員会のメンバー、ジャワハルラル・ネルー大学 で東南アジア経済専門の教授 、 「南、中央、東南アジア、南西太平洋研究センター」の所長、そして2000年から7年間にわたりシッキム州政府の閣僚級チーフエコノミックアドバイザーを務めた。近著には、『Human Security in India: Discourse, Practices and Policy Implications(インドでの人間の安全保障:談話・実践・政策的意味)』(University Press Limited, Dhaka 2010)がある。2001年、シッキム州で初めての人間開発の報告書をまとめ、2007年には同じくシッキム州で初めての経済調査の報告書をまとめた。 
アン・リー(Ann Lee)
iris PR社技術アドバイザー、Kuali Works芸術監督 / マレーシア


写真:アン・リーリー氏は、作家、編集者、ディレクター、講演家、そしてKuali Works theatre, television and publishing の共同創設者など、様々な顔をもっている。氏がてがけた脚本は各界での評価も高く、Asian Monodrama FestivalやNew York International Fringe Festivalで上演されてきた。内外の芸術家や芸術関連団体と緊密に連携しながら、マレーシアにおける芸術制作および鑑賞の環境整備に尽力している。また短編やエッセイも執筆しており、The Day Malaysia Woke Up (マレーシアが目覚めた日 Marshall Cavendish)、Sex, Stage & State (セックス、ステージ、そして国家 Kuali Works)などがある。広告業界でのキャリアも長く、シャンプーや靴などの製品のキャンペーンから環境問題、南アメリカ初の民主的選挙までも取り上げてきた。 
アネク・ナカブタラ(Anek Nakabutara)
Social Fund Office専務理事 / タイ


写真:アネクUNDP/UNDCPの専門員を経て、タイの様々な社会問題の緩和のために世界銀行から拠出された社会投資基金の管理運営を目的とするSocial Fund Officeの創設に参加。地域開発の専門家としての豊富な経験を背景に、農村社会の生活の質的向上に意欲的に取り組んでいる。 環境・開発の領域で多くの記事・論文を執筆しており、 市民社会を実現するためのその傑出したリーダーシップは国際的にも高く評価されている。 
柳 貞順 リュー・ジョンスン(Ryu Jeong Soon)
韓国貧困問題研究所共同代表 / 韓国


写真:リューソウル大学校でファッションデザイナーとして教育を受け、フェアリー・ディキンソン大学(米国)で経営学修士を取得。東国大学校より消費者研究で修士号・博士号を取得。韓国の市民団体Peoples Solidarity of Participatory Democracy(PSPD)の社会福祉委員会のメンバーや、慶熙大学校、東国大学校での講師を務めた。また平和、福祉、労働に関するコラムを執筆。韓国貧困問題研究所を設立後、所長を10年間つとめ、現在は共同代表者をつとめる。 
嶋田 数之(Kazuyuki Shimada)
学校法人関西学院広報部部長 / 日本


写真:嶋田1977年朝日新聞社に入社。 ワシントン、ロンドン特派員を経て1996-1998年にはアジア総局長としてバンコクに駐在。1998年論説委員に就任。その長年に渡る海外経験を背景に、軍縮・国際安全保障の分野で数多くの記事を執筆。緻密な分析に基づいた論説は日本の外交を考える上での座標軸となっていた。現在は、その経験をいかし、関西学院で広報を統括している。 

2000年度フェロー

サリー・アオングソムワン(Saree Aongsomwang)
消費者調停者、消費者のための財団事務局長 / タイ


写真:アオングソムワンいかなる状況においてもタイの消費者と共に活動し、女性闘志家として幅広く知られる、消費者擁護運動の推進者。過去数十年にわたり、「ゼロよりも1は無限に大きい」をスローガンに市民としての権利を確保するため、継続的に消費者の権利を唱える勢力を拡大させ、また消費者の権利に対する国民の意識を高めるべく活動している。Electricity Generating Authority of Thailand(EGAT)の民営化の終了、国民皆保険の法律制定の推進のためのネットワーク運動の後押しなどを通じて、消費者運動における多くの目標を成し遂げた。近年は、国際消費者機構の常任理事を務める。 
ウルワシ・ブターリア(Urvashi Butalia)
Zubaan発行者 / インド


写真:ブターリアブターリア氏は、インドで初めてのフェミニズム系出版社「女たちのカーリー」を共同設立し、カーリーの足跡であるZubaanを発行している。30年以上にわたり、インドの女性運動に加わり、独立した研究者、作家でもあり、新聞や雑誌、またいくつかの書籍も執筆し、著書には2003年日経アジア賞(文化部門)を受賞したインド現代史に関する『The Other Side of Silence: Voices from the Partition of India(沈黙の向こう側)』などがある。近年、インド政府の最高市民賞であるパドマシュリ賞を受賞した。 
ファルク(Faruk)
ガジャマダ大学文学部講師・文芸評論家 / インドネシア


写真:ファルクファルク氏は、文化の理論・実践の両面から最近の国際問題に関心を抱いている。また現代インドネシア文学を代表する文芸評論家であり、文学や文化一般について多数の記事を執筆しており、それらは文化・芸術・文学ジャーナルの中で発表されている。また芸術には個人的、また社会的に芸術家の経験が反映されるべきだと考えていることから、最近の社会問題に対する作家の認識が反映されている演劇作品に関心を抱いている。 
熊岡路矢(Michiya Kumaoka)
日本映画大学教授 / 日本


写真:熊岡インドシナからの難民を救助するため、1980年バンコクに設立された国際協力NGO日本国際ボランティアセンター(JVC)の創設者メンバーの一人。JVCの活動を通じ、主に東南アジア、中東やアフリカの国々において、数々の救助活動と同様に農村開発や環境保全活動を26年間行ってきた。1995年から2006年の間、同センターの代表理事/常務理事、また日本のNGO団体の母体であるJANICの理事長も務めた。近年は東京大学の客員教授、法務省難民審査参与員、JVC相談役、日本のカンボジア市民フォーラムの共同代表者。主要著作に『カンボジア最前線』(岩波書店、1993年)がある。 
朴 元淳 パク・ウォンスン(Park Won Soon)
1956-2020 / 韓国


写真:朴ソウル大学在籍中より民主化運動の旗手として活動。1994年、参與連帯(PSPD)の創設に中枢メンバーとして参加。 透明性の高い社会を実現するため、人権擁護の視点から腐敗撲滅をめざした市民運動の草分け的存在。2000年4月の総選挙において、市民団体による落選運動 “Citizens’s Alliance for the 2000 General Election”(反人権・反民主主義的経歴の候補者への反対運動)の代表として活躍。 また、その傑出したNGO活動の功績により韓国の有力誌に21世紀の最も影響力のある国民的リーダーの一人として選ばれている。2011年から2020年にかけてはソウル市長を務めた。 

1999年度フェロー

サニッスーダ・エカチャイ(Sanitsuda Ekachai)
バンコクポスト紙副編集長 / タイ


写真:エカチャイ名高いジャーナリストであった両親の足跡をたどり、農村開発・女性の社会問題・タイの仏教について先駆的で鋭い知覚による記事を発表し、タイでの市民ジャーナリズム運動のきっかけとなった。また氏の著書は、文化的なジレンマ・社会的不平等・貧困層の窮状についてもっと関心を払うべきであると、読者やメディアに茂樹を与えて続けている。バンコク・ポスト紙には特集記事のライターとして所属している。 
チョー・ホン・スップ(Cho Hong-Sup)
ハンギョレ・メディア・カンパニー環境担当特派員 / 韓国


写真:ホン・スップ環境ジャーナリストとして20年以上にわたり記事やコラムを寄稿してきた。主な研究領域は、生態系保存・原子力エネルギー・気候変動や博物学。近年は、エコロジーや環境についてのウェブマガジンmulbaramsoopを運営している。http://ecotopia.hani.co.kr/  
大橋正明(Masaaki Ohashi)
国際協力NGOセンター理事長 / 日本


写真:大橋早稲田大学経済学部卒業後、コーネル大学で農学修士号取得。1980年代「シャプラニール:市民による海外協力の会」(バングラデシュ独立直後、戦争の惨害からの復興を助けるため現地に赴いた若い日本人グループによって結成された市民団体)を拠点に活動。同会本部のディレクターとしてダッカ に在住。国際赤十字・赤新月社連盟バングラデシュ次席駐在代表を経て、1993年より恵泉女学園大学にて教鞭をとる。現在同大学教授。また、2007年より日本有数のネットワーク型国際協力NGOであるJANICの理事長に就任し、現在、東日本大震災の復興支援活動に従事している。 
テオ・ソウ・ラン(Teo Soh Lung)
弁護士 / シンガポール


写真:ソウ・ランシンガポール国立大学法学部卒業。シンガポール法曹界を代表する論客のひとり。訴訟費用を負担できない貧困者の法的支援活動組織 Criminal Legal Aid Scheme の創設メンバーでもある。また、福祉や人権に焦点を当てたコミュニティー活動やNGO活動にも参加しており、 シンガポール在住外国人労働者や元受刑者の更生を援助するセンターの設立などに意欲的に取組んでいる。経済的、政治的に十分な権利が与えられていない社会的弱者の側に立った主張と活動を続けている。 
アユ・ウタミ(Ayu Utami)
作家、ジャーナリスト、Kalam編集委員 / インドネシア


写真:ウタミインドネシア大学文学部卒業。文学と芸術を専門とするインドネシア語の季刊誌 Kalam編集者、作家、政治運動家としても活躍している。また、時事週刊誌 Forum Keadilan のレポーターとして働くかたわら、1994年には Alliance for Independent Journalists (AIJ) の設立に加わり、また、報道の自由の保護と促進を目指すInstitute for the Study of the Free Flow of Information (ISAI)で活躍。スハルト一族の富について書いた小冊子や政治風刺漫画は、1998年5月にスハルト大統領が辞任する数ヶ月も前から密かに世に広まっていた。処女小説 Saman は、ジャカルタ・アーツ・カウンシルから最優秀小説賞を受賞。 
マリテス・ダングィラン・ヴィトゥグ(Marites Danguilan Vitug)
フリーランス・ジャーナリスト / フィリピン


写真:ヴィトゥグフィリピン大学放送コミュニケーション学部卒業。同大学にてコミュニケーション修士号取得。LSEにて政治学の学位を取得。Philippine Center for Investigative Journalism、ニューズウィーク誌、およびワールド・ペーパー誌に寄稿。著作に、「Power from the Forest The Politics of Logging」 (1993年)、「The Politics of Logging in the Philippines」(The Politics of Environment in Southeast Asia 1998年) などがある。 

1998年度フェロー

ジャナダス・デバン(Janadas Devan)
シンガポール国立大学 リー・クァンユー公共政策大学院政策研究所所長 / シンガポール


写真:デバンシンガポール国立大学卒業後、米国コーネル大学にて修士、博士課程修了。南洋工科大学、シンガポール国立大学、米国ブラウン大学などで教鞭をとる。主要著書に、『Postmodernism and Southeast Asian Scholarship』(1995年)、「State Fatherhood The Politics of Nationalism Sexuality and Race in Singapore」 (1989年、その後複数の雑誌に掲載)などがあり、他にもアジア的価値、文明の衝突論、ポストモダニズム、アイデンティティ論など幅広いテーマで論考を発表している。 
劉 新 リウ・シン(Liu Xin)
カルフォルニア大学バークレー校文化人類学部准教授 / 中国


写真:リウ中国山西財経学院卒業、中国人民大学にて統計学修士。その後、ロンドン大学SOASにて社会人類学の修士、博士号を取得。中国人民大学、グリニッチ大学およびウェストミンスター大学にて教鞭をとる。主要著書に、「Space Mobility and Flexibility Chinese Villagers and Scholars Negotiate Power at Home and Abroad」 (1997年)、「Yao the Practice of Everyday Space in Northern Rural Shaanxi」(1998年)などがある。改革後の中国社会における都市化の問題や、近代化、近代性と文化の問題を研究テーマとしてきた。 
シルヴィア・マユガ(Sylvia L. Mayuga)
作家、コラムニスト、バナハウ山みどりの連合議長 / フィリピン


写真:マユガ聖テレサカレッジ卒業後、米国コロンビア大学にて修士号取得(比較ジャーナリズム)。マニラ・クロニクル、ヴェリタス、デイリー・グローブなどの記者、コラムニストなどを経て、環境活動家、作家、ジャーナリスト、ドキュメンタリー映像作家としても活躍してきた。エッセイ集『Spy in My Own Country』で、また『Earth, Fire and Air』でフィリピン年間最優秀エッセイ賞受賞。その他の主要著書に、『Journey to the Center』(フィリピンの芸術と儀式に関するモノグラフ)、などがある。バナハウ山みどりの連合(Green Alliance for Mt. Banahaw)は、マユガ氏と環境活動家らによって設立された神秘的なバナハウ山の文化と環境を守ることを使命とするNGOである。 
スワンナー・サターアナン(Suwanna Satha-Anand)
チュラロンコン大学哲学科教授 / タイ


写真:サターアナンチュラロンコン大学で哲学科が設立されて以来、哲学分野で学問的に優れている人に授与される、最初で唯一の金メダル受賞者。ハワイ大学マノア校で修士号と博士号を取得(仏教哲学)。近年は、仏教、中国哲学を教えるほか、哲学科の学科長、芸術学部の研究副学部長、Philosophy and Religion Society of Thailandの理事長を務める。研究論文は、タイ語・英語・韓国語で出版され、今後フランス語・中国語・アラビア語でも出版される予定。2004年以来、Thailand Research Fund(タイ研究基金)の人文科学研究フォーラムのディレクターも務める。 
エンドウ・スアンダ(Endo Suanda)
インドネシア舞台芸術協会会長 / インドネシア


写真:スアンダ国立舞踊アカデミー卒業、米国ウェズレアン大学修士号取得。民族音楽学者であると同時に、インドネシアの舞台芸術研究家であり、自身が舞台に立つこともある。「The Social Context of Cirebonese Performing Arts」 (1981年)、「Cirebonese Topeng and Wayang of the Present Day」 (1986年)、「Topeng Cirebon in the Midst of Change」 (1993年)など、西ジャワ地方シレボンの舞台芸術についての著作が特に多い。東インドネシアのフローレス地方の音楽や舞台芸術の研究も行なっている。エンド氏は舞踊家、音楽家、振付家、人形遣いとしてインドネシアのみならず、世界各地で公演を行っている。 
ダイアナ・ウォン(Diana Wong)
ケバンサン・マレーシア大学マレーシア問題・国際問題研究所客員研究員 / マレーシア


写真:ウォンシンガポール大学卒業後、ドイツビエレフェルド大学にて博士号取得。同大学にて社会学部講師を経て、1995年よりシンガポール東南アジア研究所(ISEAS)副所長を務め、東南アジア諸国の研究者間の研究協力、ネットワーキングなどをコーディネートした。文化人類学者としても、大きな業績をおさめており、女性、移民労働者、難民など社会の弱者の視点に立った論考が多い。主要著作に、「Foreign Domestic Workers in Singapore」(1996年)、「Labour Migration and the Emergence of Plural Societies in Southeast Asia」(1996年)などがある。 

1997年度フェロー

クォ・パオ・クン(Kuo Pao Kun)
1939-2002 / シンガポール


写真:クォクォ氏は、シンガポールを代表する劇作家/演出家であり、世界各地の演劇祭でその作品が上演された。日本でも同氏の作品は演劇集団「黒テント」などによって翻訳上演されている。また、サブステーション(Substation)やプラクティス・パフォーミング・アーツ・センターなど同氏が創設した組織は、シンガポール国内のみならず、アジア各国の芸術家の交流拠点の役割を果たしている。同氏は、芸術活動で著名であっただけでなく、シンガポールやアジア地域が直面している様々な問題について幅広く論評する知識人の一人でもあった。公開セミナーや演劇プロジェクト、社会・文化関連の会議を主催するなど異文化コミュニケーションや芸術教育の推進にも力を注いだ。 
グナワン・モハマド(Goenawan Mohamad)
Tempo誌創始者、詩人、作家 / インドネシア


写真:グナワンモハマド氏は、ジャーナリズム、詩作、評論、芸術など幅広い分野で活発な論評・創作活動を行い、国際的にもインドネシアを代表とする知識人の一人である。『テンポ』誌の編集長としての言論活動を通して同国の民主化運動の指導的役割を果たし、同誌がインドネシア政府により1994年に発禁処分に追い込まれた後も、社会正義、人権、言論の自由などの擁護のために様々な困難に立ち向かう人物として内外から尊敬を集めている。1997年にはジャーナリストとしての業績に対してハーバード大学ニーマン財団から「ジャーナリズムの良心」特別賞を受賞した。現在は、インドネシアで初めての民間の学際的なアートセンターであるサリハラ・アート・コミュニティの運営委員として活躍。 
太田好信(Yoshinobu Ota)
九州大学大学院比較文化学府研究院教授 / 日本


写真:太田ポストヴァナアキュラー論の観点から、文化、言語とアイデンティティの関係性を再考する。これらの関係が当然に与えられるものであると仮定出来ないと場合、人々はどのようにしてそれらを再概念化するであろうか。現在の太田氏の関心は、これらにかかわる。氏は、沖縄県 八重山にて広範囲の研究を行った文化人類学者であり、グアテマラにてマヤ人のアイデンティティ形成についての研究を行ってきた。 
イシャク・ビン・シャリ(Ishak Bin Shari)
1948-2001 / マレーシア


写真:シャリシャリ氏は、ロンドン・スクール・オブ・エコノミックスで修士号、マラヤ大学で博士号を取得し、経済学の分野ではマレーシアの第一人者であった。特に、開発がもたらす経済的不平等の問題を取り上げた研究論文、著書を数多く残している。1990年から1994年にかけてマレーシア社会科学学会の会長を務め、テレビ・ラジオなどのメディアを通じての活発な言論活動でも知られていた。 
ラダワン・タンティヴィタヤピタク(Laddawan Tantivitayapitak)
PollWatch Foundation共同創設者・副事務局長 / タイ


写真:ラダワンラダワン氏は、1977年よりタイ国内の人権擁護や平和教育を目的とするNGO活動で指導的役割を果たしてきた女性活動家である。アジア域内で幅広く活動しているアジア開発文化フォーラム(ACFOD)の理事や、タイ議会外交委員会委員なども務め、その創設者の一人で現在は副事務局長を務めるポールウォッチ選挙監視財団では、総選挙の監視計画・運営、コーディネート、報告などの任務にあたってきた。 

1996年度フェロー

アーノルド・アスリン(Arnold M. Azurin)
フィリピン大学研究員 / フィリピン


写真:アスリンフィリピン学のパイオニアとして、アスリン氏は、文化と国家意識に関するフィリピンを代表する思想家である。氏の著書Re-inventing The Filipino Sense of Being and Becoming[ 在ることとなることのフィリピン人的センスを再創造する ]は、フィリピン内外の研究者や学生に熱狂的に受け入れられた。また、パランカ記念文学賞において、氏のエッセイや詩集は高い評価を受けている。 
イグナス・クレデン(Ignas Kleden)
「民主主義のためのインドネシア・コミュニティ」理事長 / インドネシア


写真:クレデンクレイデン氏は、インドネシアで最も創造的で多作の社会思想家の一人として広く知られている。氏は、社会科学系の著作や学会誌の編集長およびコーディネーターとしても活躍し神学書の翻訳を行うとともにインドネシアの社会文化的課題についても執筆を行ってきた。主著にMasyara-kat dan Negara: Sebuah Persaalan [社会と国:その複合課題](Indonesia Tera 2004)。 
クォ・キアン・ウン(Kwok Kian-Woon)
シンガポール南洋理工大学准教授・社会学科長 / シンガポール


写真:キアン・ウンシンガポール国立大学を卒業後、カリフォルニア大学バークレー校にて社会学の修士・博士号を取得。民主主義社会における倫理やシンガポールの伝統や華僑に関する問題を扱った論文を発表しているほか、シンガポール以外の地域の発展にも関心をもち内外の知的交流フォーラムに参加している。シンガポールの社会学研究の中心的役割を担う人材である。 
ワン・マナン(Wan A. Manan)
マレーシア科学大学院健康科学学部教授 / マレーシア


写真:マナンマナン氏は、大学での教鞭や研究活動とは別に、ここ数年Malaysian Academic Movement(MOVE)の会長を務め汎マレーシア学術改革運動を率いている。また今後3年間にわたり、マレーシアにて身体活動や環境強化についての研究プロジェクトを遂行する予定である。 
カシアン・テジャピラ(Kasian Tejapira)
タマサート大学政治学部教授 / タイ


写真:テジャピラ大学で教鞭をとる氏は、多数の学術書を出版しており、タイ語・英語ともに多数の著作がある。また著名なコラムニストでもあり、かつては過激な活動家、タイ北西部のジャングルで活動していたゲリラ兵であったという経歴をもつ。