【日印対話プログラム】 国家主義と国際主義―ラビンドラナート・タゴールの政治哲学

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  • 講師: ラーマチャンドラ・グハ (歴史家、伝記作家)
  • モデレーター: 佐藤 宏 (南アジア研究者。『インド現代史1947-2007』訳者)
  • 日時: 2015年3月18日(水) 6:30~8:00 pm
  • 会場: 国際文化会館 岩崎小彌太記念ホール
  • 定員: 200名
  • 用語: 英語/日本語(同時通訳付き)
  • 共催: 国際交流基金
  • 会費: 無料 (要予約)
アジア人初のノーベル賞受賞者として、詩、戯曲、小説などでその才能を賞賛されたラビンドラナート・タゴールは、政治的にも早成の思想家でしたが、この点についてしかるべき評価を受けることはありませんでした。本講演では、歴史家のグハ氏が、タゴールが日本や中国、米国を訪れた際の発言や行動を基に彼の政治哲学を再考します。日本には特に親しみを持ち、その文化的・美的伝統を賞賛し五度の来日を果たしたタゴールですが、日本の軍国主義化を危惧し、国家や民族間の対立や憎悪を強く批判しました。タゴールは、このような見識から、また彼が影響を与えた人物にとっても非常に重要な存在です。本講演では、インド独立運動の父として知られるマハトマ・ガンジーや、インド初代首相で最長政権を維持したジャワハルラル・ネルーに多大な影響を与えた、タゴールの先見的な国際主義を紐解きます。

レポート

テキスト

  • 講演の基となった論文 (PDFファイル 175KB)
  • ※本稿を許可なく転載・編集・複製することはご遠慮ください。

    略歴:ラーマチャンドラ・グハ

    Photo:Ramachandra Guha

    1958年生まれ。歴史家、伝記作家として多岐にわたる活動を行う。主著に先駆的な環境史『The Unquiet Woods』(University of California Press, 1989)、クリケットの社会史を描いた『A Corner of a Foreign Field』(Picador, 2002)など。『India after Gandhi』(Macmillan/Ecco Press, 2007、邦題『インド現代史』佐藤宏訳、明石書店、2012年)はエコノミスト、ワシントン・ポスト、ウォール・ストリート・ジャーナルなどから「ブック・オブ・ザ・イヤー」に、またタイムズ・オブ・インディアなどから「ブック・オブ・ザ・ディケイド」に選出された。近著『Gandhi Before India』(Knopf, 2014)もニューヨーク・タイムズから2014年の「注目すべき一冊」に選出されている。

    氏のコラムは6言語に翻訳され、インド国内で多数の新聞に同時配信されており、累計で2000万人の読者に届けられている。これまでに執筆した著書やエッセイは20以上の言語に翻訳されており、ニューヨーク・タイムズは氏を「おそらくインドにおける最高のノンフィクション作家」、タイム誌は「インド民主主義の傑出した歴史家」と評した。

    これまでイェール大学、スタンフォード大学、オスロ大学、カリフォルニア大学バークレー校などで教職を務めたほか、2011年から2012年まではロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)で「Philippe Roman Professor」として、国際関係と歴史の分野で教鞭をとった。

    米環境史学会のLeopold Hidy賞をはじめ、デイリー・テレグラフ紙のCricket Society賞、社会科学の優れた研究を表彰するMalcolm Adideshiah賞、卓越したジャーナリズムに与えられるRamnath Goenka賞やSahitya Akademi賞、R. K. Narayan賞など多数受賞。2009年にはインド市民栄誉賞であるPadma Bhushan賞を受賞、2008年と2013年には英プロスペクト誌から世界で最も影響力のある知識人の一人に選ばれた。2014年にはイェール大学から人文科学の名誉博士号を授与されている。

    日印対話プログラムとは

    日印平和条約の締結から60周年を迎えた2012年、国際文化会館と国際交流基金は、日本とインドの間の継続的な対話の「場」を創出するため、新たな人物招聘事業(Japan-India Distinguished Visitors Program)を立ち上げました。本プログラムでは、社会のさまざまな問題の解決に向けて新しい価値やアイデアを提案している、インド国内で影響力のある人物を、年間1~2名、5~7日間程度日本に招聘しています。招聘フェローは、講演会、関連機関の訪問、地方視察などを通して日本の関係者と意見交換やネットワーク構築を行います。