【japan@ihj】 刊行から100年『遠野物語』が問いかけるもの

【本講演の編集を施したテキストが、国際文化会館会報 Vol.22, No.2, 2011に掲載されています。】

  • 講師: ロナルド・A・モース(CEO, アナポリス・インターナショナル)
  • 司会: 上杉 富之(成城大学教授/ 民俗学研究所グローカル研究センター長)
  • 日時: 2011年7月20日(水) 7:00 – 8:30 pm
  • 会場: 国際文化会館 岩崎小彌太記念ホール
  • 会費: 無料(要予約)
  • 用語: 英語(通訳なし)

日本における民俗学の礎を築いた柳田國男の代表作『遠野物語』が刊行されて昨年で100年を迎えました。岩手県遠野に見られる農村生活に根付いた文化や宗教的伝統の価値を見出す一方、柳田は近代化が日本にもたらす影響についての洞察という面で現実主義者でした。1923年関東大震災の際、国際連盟の仕事でロンドンにいた柳田は、すぐに帰国し、震災後の惨状を目の当たりにし驚愕しました。第二次大戦の際も同様でした。柳田が今日この場にいたとすれば、このたびの東日本大地震をどう見たでしょうか。本プログラムでは、『遠野物語』の英訳者で過去40年に亘り遠野の変容を見続けてきたモース氏をお迎えし、環境、社会、文化の側面で、今日の日本が直面している課題について、柳田研究を通して見えてくるものを論じていただきます。

略歴:ロナルド・A・モース

1938年米国ニューヨーク市生まれ。プリンストン大学大学院日本研究博士課程修了(柳田國男と民俗学を研究テーマとする)。米国議会図書館館長特別補佐官、経済戦略研究所(ESI)副理事長、メリーランド大学国際プロジェクト部長、ウッドロウ・ウィルソン・国際センター・アジア・プログラム所長、カリフォルニア大学(UCLA)教授などを歴任。主な 著書に、『「見えない資産」の大国・日本:中国、アメリカにはない強みとは』(共著、祥文社、2010年)、『目をさませ、日米関係』(共著、PHP研究所、1995年)、『近代化への挑戦:柳田國男の遺産』(日本放送出版協会、1977年)など。