【会員特別講演会】インテリジェンス小説で読み解く国際政局

  • 講 師: 手嶋 龍一 (外交ジャーナリスト、作家)
  • 日 時: 2024年7月29日(月)6:30~8:30 pm ※懇談会(終演後~8:30 pm)
  • 会 場: 岩崎小彌太記念ホール
  • 用 語: 日本語(通訳なし)
  • 対 象: 国際文化会館会員(配偶者・パートナーの方もご参加いただけます。)
    ※当日、会場前の受付にて会員証のご提示をお願いいたします。
  • 会 費: 5,000円/名(要申込み、お飲み物と軽食をご用意します。)

国際文化会館では、会員の方を講師にお招きした「会員特別講演会」を実施しております。7月は、テレビ、雑誌そして執筆と多方面でご活躍の手嶋隆一氏をお迎えいたします。登壇後に、質疑応答の時間と、軽食やお飲み物をご用意した懇談会も設けておりますので、会員同士の交流の機会としてもぜひご参加ください。

◆◇以下、手嶋氏よりメッセージです◆◇
情報の世界で使われる「インテリジェンス」という言葉には、適切な日本語がありません。それゆえ、膨大で雑多な情報を意味する「インフォメーション」も、選り抜かれた情報を指す「インテリジェンス」も、日本語では「情報」と一括りにされてしまっています。これではまさしく玉石混交です。

「インテリジェンス」とは、国家が熾烈な競争のなかを生き抜くため、彫琢し抜かれた情報、ダイヤモンドのような輝きを放つ一滴なのです。国家の指導者は、そんな「インテリジェンス」を拠り所に国家の舵取りを行っています。それが重大な国家機密であり、それゆえ情報源を秘匿しなければならないため、公の文書にはわずかしか登場しないのが通例です。そのため、皮肉にも小説の意匠を借りて書かれる「インテリジェンス小説」のほうが、現実に生起する情報戦を精緻に映しとっている場合があるのです。欧米の代表的な作品や私が筆を執った『ウルトラ・ダラー』や『スギハラ・サバイバル』などを素材にしながら、「インテリジェンス」の本質とは何かを考えてみたいと思います。併せて、現下の国際政局に「インテリジェンス」を武器にしながら分け入っていこうと思います。

そして、戦後の日本にはなぜMI6やモサドのような対外情報機関が生まれなかったのか、その歴史的背景にも触れながら、皆さんと意見を交わしたいと思います。

 

お申し込み

手嶋 龍一 (外交ジャーナリスト、作家)

慶應義塾大学経済学部を卒業後、1974年にNHKに入局し、政治部記者として官邸、外務省で外交・安全保障政策を担当。87年からワシントン特派員としてホワイトハウス・国務省・国防総省を担当。89年暮れにはマルタ島の米ソ首脳会談を取材し東西冷戦の終焉に立ち合う。翌90年には湾岸危機・戦争の取材で最前線へ。94年からハーバード大学CFIA・国際問題研究所に招聘されフェローに。その後、NHKドイツ支局長を経て、97年からワシントン支局長を8年間にわたって務める。この間、2001年の同時多発テロ事件に遭遇し11日間連続の昼夜中継、それに続くイラン戦争の報道を担う。2005年にNHKから独立し、「日本初のインテリジェンス小説」と評される『ウルトラ・ダラー』(新潮社)を発表。姉妹篇の『スギハラ・サバイバル』と共に50万部を超すベストセラーに。『たそがれゆく日米同盟』『外交敗戦』『ブラックスワン降臨』、『汝の名はスパイ、裏切り者、あるいは詐欺師』(マガジンハウス)、『鳴かずのカッコウ』(小学館)など著書多数。2022年7月には中国革命の地から発したパンデミックと米国の生物兵器基地との密やかな関係を描いた『武漢コンフィデンシャル』(小学館)を上梓。佐藤優氏との対論シリーズも好評を博しており、近著に『公安調査庁』『ウクライナ戦争の嘘』がある。2024年4月には最新刊『イスラエル戦争の嘘』(中公新書ラクレ)を出版。外交・安全保障・インテリジェンスを中心に新聞・雑誌のコラムニストとしても健筆を揮う。慶應義塾大学・大学院の教授として2019年までインテリジェンス戦略論を担当。現在、国立京都国際会館の評議員を務める。