【日文研 ・アイハウス連携フォーラム】 妖怪と日本人の想像力

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  • 講師: 小松 和彦 (国際日本文化研究センター[日文研] 所長)
  • 日時: 2014年9月19日(金) 6:00~7:30 pm
  • 会場: 国際文化会館 講堂
  • 用語: 日本語 (通訳なし)
  • 共催: 国際日本文化研究センター[日文研]
  • 会費: 無料、 定員: 140名 (抽選制。お一人につき2名様までお申し込み可。)
  • お申し込み締切: 8月12日(火) (当選した方には8月中にご連絡いたします。)

現代の日本文化の一部として今ではすっかり受け入れられている妖怪。日本の妖怪文化は世界でもまれにみる豊かな内容をもっており、日本人の創造力/想像力の大きな地下水脈をなしているのです。その特徴や魅力が、現代の創造活動にいかに活用されているかを中心に、妖怪研究の第一人者である小松和彦氏にお話しいただきます。

略歴: 小松 和彦

Photo:小松 和彦専門は文化人類学・民俗学。1947年東京都生まれ。信州大学助教授、大阪大学文学部助教授および教授を経て、1997年より国際日本文化研究センター教授。2012年4月より現職。2013年紫綬褒章受章。著書に、『神々の精神史』(講談社学術文庫)、『異人論』(ちくま学芸文庫)、『妖怪学新考』(小学館ライブラリー)、『いざなぎ流の研究』(角川学芸出版)、『妖怪文化入門』(角川文庫)、『「伝説」はなぜ生まれたか』(角川学芸出版)など多数。

レポート

[要旨]

新たにスタートした国際文化会館と国際日本文化研究センター(日文研)による連携フォーラム。その初回は日文研所長で妖怪学の第一人者である小松和彦氏が登壇し、日本人が古来生み出してきた妖怪の文化と、自然災害と怪異・妖怪伝承の関わりについて語った。

日本人は古くから、超自然現象に姿・形を与えて擬人化し、絵や物語の中に登場させてきた。奈良時代に書かれた古事記・日本書紀、平安時代末期の絵画にもすでに妖怪が描かれている。また、民間伝承の中にも河童・天狗・座敷わらしなど多種多様な妖怪が登場する。それらは時代とともに3つに大別され、人間との関わりの中で自然を妖怪化したもの(大蛇やキツネ)、道具を妖怪化したもの(つくも神など)、人間同士の関係の中で人を妖怪化したもの(幽霊)として表出してきた。

いずれにも共通するのが、日本人の宗教的観念の根底にあるアニミズムだと小松氏は分析する。あらゆるものには霊魂が宿り、その魂は人間との関係性の中で「和む魂」にも「荒ぶる魂」にも変化するという。妖怪とは、このうち災厄にあたる部分が具象化されたものであり、妖怪文化は日本の宗教史・信仰史の負の領域に存在するという意味で、非常に奥の深い研究分野だと説明した。

自然災害と怪異・妖怪伝承の関わりについては、日本各地で山崩れ・洪水・津波・台風などの被害にあった地域に残る伝承のうち、そうした災害と深く関わるものを紹介し、災害の記憶や民俗の知を語り継いでいくことの重要性を説いた。そして自然災害を環境学だけでなく民俗学・妖怪学の視点からも検証し、ハザードマップ・データベースに伝承・儀礼やその記憶装置(神社や碑など)を付載することを提案した。

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2014年度より、国際文化会館(アイハウス)と国際日本文化研究センター(日文研)は、多角的に現代日本や日本人理解を深めるためのフォーラムを、シリーズで開催していきます。