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【日文研・アイハウス連携フォーラム】
谷川道雄の中国史研究から日中の未来を考える――文化交流と学術思想


  • ※本講演は終了いたしました。
  • 講師: 李済滄 (南京師範大学准教授・日文研外国人研究員)
  • コメンテーター: 劉岸偉 (東京工業大学教授)、伊東貴之 (日文研・総合研究大学院大学教授)
  • 日時: 2017年7月4日(火) 6:30~8:00 pm
  • 会場: 国際文化会館 講堂
  • 用語: 日本語(通訳なし)
  • 共催: 国際文化会館、国際日本文化研究センター(日文研)
  • 会費: 無料 (要予約)
京都学派の東洋史学者として著名な谷川道雄(1925-2013)は、内藤湖南(1866-1934)からの学統を受け継いでいます。「古代の歴史を研究する必要は殆どありませぬ、応仁の乱以後の歴史を知つて居つたらそれで沢山です」と主張し、日本と中国の歴史を時代区分論という方法で捉えた内藤は、紀元3-9世紀の中国社会を中世貴族制の時代と位置付けました。世界の中国史研究に計り知れない影響を与えた内藤の「唐宋変革論」の礎となったものです。
この学説を深化させ、発展させた谷川は、個人の人格や道徳によって地域一円をまとめ、やがて隋唐帝国誕生の原動力をなした勢力に注目し、「豪族共同体論」を打ち出しました。これによって、秦漢帝国以降2000年に亘り、皇帝支配の一色に塗られていた従来の中国史の見方に一石を投じたのです。唯物史観を研究の指針とする中国の学界では、最初、この「豪族共同体論」は批判されましたが、徐々に受け入れられるようになりました。また、大正・昭和・平成を生き、敗戦から戦後の高度成長を経験していた谷川は、新中国の成立と文革、また改革開放といった激動の中国近現代史にもその眼差しを向けました。
中国から日本へ、東アジアから世界へ、歴史から未来へという壮大な構想を持った谷川史学の真髄は、人と人との連帯を重視する人間存在の様式を中国史に再発見して、そこに一種の普遍性を賦与しようとした点にあります。この報告では、戦後日本の社会思想史の分野に生まれ、日中両国の未来を照らした谷川史学の醍醐味を吟味します。

李済滄 (南京師範大学准教授・日文研外国人研究員)
写真:李済滄2003年、龍谷大学大学院東洋史学専攻博士課程修了(文学博士)。2006年より現職。専門分野は中国中世史、日中学術交流史。主な論文に「六朝貴族的自律性問題」(『文史哲』2016年第4期)、「魏晋貴族体制的形成與郷論」(『江海学刊』2014年第3期)、「現代中国と京都学派の近世論―中国における『近代』の問題をめぐって―」(『龍谷史壇』134号、2011)、著作に『風雨蒼黄――長江流域的王朝興衰』(武漢出版社、共著、2006)、『東晋貴族政治史論』(江蘇人民出版社、2015)、訳著に『隋唐帝国形成史論』(上海古籍出版社、2004)、『内藤湖南的世界』(三秦出版社、共訳、2005)『六朝貴族制社会研究』(上海古籍出版社、共訳、2007)など。

劉岸偉 (東京工業大学教授)
写真:劉岸偉北京外国語大学アジア・アフリカ学部を卒業し、1982年に来日。東京大学大学院総合文化研究科比較文学・比較文化博士課程修了、1989年博士学位取得。現在は、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院、環境・社会理工学院教授。専攻は比較文学、比較文化史。主要な著作に、『東洋人の悲哀ー周作人と日本』(河出書房新社 1991年)、『明末の文人李卓吾』(中央公論社 1994年 )、『小泉八雲と近代中国』 (岩波書店 2004年)、『周作人伝ーある知日派文人の精神史』(ミネルヴァ書房 2011年)、翻訳『利瑪竇傳』(光明日報出版社 1999年)がある。
伊東 貴之 (国際日本文化研究センター・総合研究大学院大学教授)
写真:伊東 貴之1962年・東京生まれ。早稲田大学を経て、東京大学大学院人文科学研究科中国哲学専攻学位取得修了。博士(文学)。武蔵大学人文学部教授などを経て、2010年より現職。専門分野は、中国近世思想史、日中比較文学・思想、東アジア交流史。主な著作として、『思想としての中国近世』(東京大学出版会、2005年)、『中国近世的思想典範』(台湾大学出版中心、2015年)、編著に『「心身/身心」と環境の哲学―東アジアの伝統思想を媒介に考える―』(汲古書院、2016年)、『治乱のヒストリア―華夷・正統・勢―』(法政大学出版局、2017年)などがある。