【出版】 日本翻訳家協会賞「翻訳特別賞」を受賞

国際文化会館の長銀国際ライブラリー叢書の最新刊 “Return from Siberia: A Japanese Life in War and Peace, 1925–2015″(David Noble英訳、2018年)が、2018年度日本翻訳家協会賞の「翻訳特別賞」を受賞しました。国際文化会館による受賞は2011年の翻訳特別賞、2016年の翻訳出版文化賞に次ぐ3度目となります。

日本翻訳家協会は、1953年にユネスコに創設された国際翻訳家連盟の日本代表機関で、「日本翻訳文化賞」「日本翻訳出版文化賞」「翻訳特別賞」は、過去1年で最も優れた翻訳作品やその出版社に対して贈られる、伝統ある賞です。

原著の『生きて帰ってきた男――ある日本兵の戦争と戦後』 (岩波新書、2015年)は、社会学者で慶應義塾大学教授の小熊英二氏が、父・謙二氏(1925~)の軍隊入営、シベリアでの抑留生活、帰国後の貧しい生活から高度成長時代へと変容する日本を生きた軌跡を描いた作品です。戦争とは、平和とは、戦後日本とはいったい何だったのか。戦争体験は人々をどのように変えたのか――小熊氏が自らの父の人生を通して、戦後日本の姿と戦争体験の意味を浮き彫りにしています。

Return from Siberia: A Japanese Life in War and Peace, 1925–2015
David Noble 英訳 (小熊 英二著 『生きて帰ってきた男――ある日本兵の戦争と戦後』)

国際文化会館では、日本長期信用銀行により設立された「長銀国際ライブラリー」の志を引き継ぐ形で、2000年より「長銀国際ライブラリー叢書シリーズ」を刊行し、政治・経済・社会・文化などの諸分野から優れた日本人の著作を毎年2冊選定のうえ、翻訳・編集し、これまでに約40タイトルを大学や図書館など海外2800カ所・国内700カ所に無償配布してきました。今回受賞した”Return from Siberia”の刊行をもって、公益信託長銀国際ライブラリーの事業は終了となりますが、これまでに刊行したシリーズはアイハウスほか、国内外の大学図書館、研究機関、公共図書館、文化施設などでお読みいただけます。