2002年度 アイハウス・パブリック・プログラム

    『Edwin O. Reischauer: Historian, Missionary, Prophet』

  • 講師: ジョージ・パッカード(米日財団理事長)
  • 日時: 2002年12月9日(月)7:00 pm
  • 会場: 国際文化会館
  • 用語: 英語(通訳なし)

最近、海外の日本歴史研究者の間では、エドウィン・ライシャワー(1910-1990)の日本近代史観は楽観主義が強すぎたとしてその著作も含めて軽視される傾向がみられます。そしてジョン・ダワーのEmbracing Defeat: Japan in the Wake of World WarⅡ 邦訳『敗北を抱きしめて:第二次大戦後の日本人』(岩波書店、2001)やハーバート・ビックスのHirohito and the Making of Modern Japan邦訳『昭和天皇』(講談社、2002)などの著作にみられるように、ライシャワーとはまったく対称的な史観に基づくE. H.ノーマン(Egerton Herbert Norman, 1909-1957)に対する評価が高まっております。ライシャワーの駐日大使時代(1961-1966)に特別補佐官であったパッカード氏によるこの講演(日本アジア協会と共催)では、戦後日本の50年史を背景にライシャワー批判を検証していただきます。

略歴:ジョージ・パッカード(George R. Packard)

パッカード氏は、プリンストン大学卒業後、タフツ大学フレッチャー・スクールで博士号を取得、Philadelphia Evening and Sunday Bulletin紙編集長などを経て、1979年から1993年までジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院長を務め、この間に同大学院にライシャワー記念東アジア研究センターを設立しておられます。

    『2001年9月11日以後の宗教: その意味とアイデンティティ』

  • 講師: ハロルド・W・アトリッジ(エール大学神学部長 )
  • 日時: 2002年11月6日(水)7:00 pm
  • 会場: 国際文化会館講堂
  • 用語: 英語(日本語同時通訳あり)

昨年9月11日の事件は、テロであると同時に宗教の違いが複雑に絡んでいましたが、それはアメリカの主流であるキリスト教界始め宗教界にどのような影響を与えたのでしょうか。ある意味ではこの悲劇は、なぜ無辜の人が苦しまなければならないのか、という、悪の存在をめぐる伝統的な問いを提起しています。また、この出来事によってキリスト教徒は、さまざまな伝統における宗教と暴力の関係を問い直し、自らのアイデンティティや他の世界的宗教に関する前提を再検証せざるを得なくなっています。この事件に対するアメリカのキリスト教徒達の反応について、イエール大学のハロルド・アトリッジ氏に講演していただきます。

略歴:ハロルド・W・アトリッジ

アトリッジ教授は新約聖書教父学でハーバード大学より博士号取得。サザン・メソジスト大学パーキンス神学部準教授、ノートルダム大学教授をへて、1997年よりエール大学神学部教授。2002年より同大学神学部長。聖書文学協会会長。主な著作としてThe Interpretation of Biblical History in the Antiquitates Judaicae of Flavius Josephus (Missoula: Scholars, 1976)、Nag Hammadi Codex I (The Jung Codex) (Leiden: Brill, 1985. Nag Hammadiテキストの註解)、Hebrews: A Commentary on the Epistle to the Hebrews (Philadelphia: Fortress, 1989)があり、日本語では、『エウセビオス研究』(秦剛平と共編、東京:リトン、1992年より刊行中。第1巻 キリスト教の起源と発展、第2巻 キリスト教の正統と異端、第3巻 キリスト教とローマ帝国)があります。

    『暴力、恐怖、そして平和 ― 流動する世界におけるアイデンティティーをめぐる諸問題 ― 』

  • 日時: 2002年10月22日 (火) 6:00~9:00pm
  • 会場: 国際文化会館講堂
  • 用語: 日本語/英語(同時通訳付き)
  • 講師: マズナ・ビンティ・モハマッド(マレーシア)(マレーシア科学大学 政治社会学部助教授)
  • “東南アジアにおけるイスラムの挑戦:起源と展望”

    講師: グエン・ティ・ヒュー・ティエン(ベトナム)(国立ホーチミン教育大学英語学部副学部長)

    “アメリカにおけるマルチカルチュラル文学とベトナム戦争文学”

    講師: 木下玲子(日本)(ジャーナリスト、 国際女性メディア財団理事)

    “メディアの役割の再定義:言論の自由のための挑戦”

    講師: フー・タオ 胡涛(中国)(中国国家環境保護総局(SEPA)環境・経済政策研究センター環境経済研究室主任)

    “グローバル化する世界における貿易戦争と平和”

  • 講師: ヴィノード・ライナ(インド)(全インド民衆科学運動ネットワーク副理事長、BGVS事務局長 )

“あらゆる手段の暴力:南アジアにおけるアイデンティティをめぐる政治とネオ・リベラリズム”

「アジア・リーダーシップ・フェロー・プログラム」は、国際文化会館と国際交流基金アジアセンターの共同事業として1996年度より実施しているもので、アジア諸国のさまざまな分野において際立ったリーダーシップ能力を発揮している専門家を毎年5~7名選抜し、フェローとして最長3ヶ月招聘するプログラムです。フェローシップ期間のうち、9月から10月にかけての2ヶ月間は、全員が国際文化会館に滞在し、「変貌するアジアにおけるパブリック・インテレクチュアルの役割」という総合テーマのもと、専門家を交えたセミナーやフェロー間で討論するワークショップ、地域社会が抱える問題とそれに対する取組みの様子を視察するフィールド・トリップを行っています。このプログラムは、こうした共同作業を通じてフェローの間に共通の認識と価値観を醸成するとともに、専門分野を越えた人的ネットワークの形成を図ることを目的としています。
とくに今年度のフェローの間では、「知識人の社会的責任」「環境と経済発展」「文化の中の政治」などをめぐって活発な議論が行われました。この公開シンポジウムでは、各フェローの問題意識についてこの2ヶ月間の共同作業の成果を交えて報告をしていただきます。

    『Japan’s Security Relationship with China Since 1989: From Balancing to Bandwagoning?』

  • 講師: Reinhard Drifte Emeritus(Emeritus Professor, University of Newcastle, UK)
  • 日時: 2002年10月4日(金)7:00 pm
  • 会場: 国際文化会館講堂

今年5月に起きた瀋陽事件や小泉首相の今秋の中国訪問延期に見られるように、日本 外交における中国の位置、なかでも安全保障に関する問題は、今後ますます重要な課 題になるでしょう。ドリフテ教授は日中の安全保障関係に関する著書を12月に出版予 定ですが、それに先立って研究成果を披露していただくこの講演では、なぜ1990年代 に日本にとって中国が経済の上でも安全保障の点でも、またアジア最初の先進国とい う日本の自己認識にとっても挑戦とみなされるようになったかを分析し、アメリカの 同盟国としての日本の対応を論じていただきます。

略歴:ラインハルト・ドリフテ

ラインハルト・ドリフテ氏は1951年生まれでドイツ国籍。ボーフム大学政治学部卒、 1979年日本の外交政策に関する研究で博士号取得。英国国際戦略研究所副所長、オッ クスフォード大学客員研究員などを歴任。現在英国ニューカッスル大学で教鞭を取っ ておられます。主著に『21世紀の日本外交―経済大国からX大国へ』(近代文芸社、 1998年)、『国連安保理と日本―常任理事国入り問題の軌跡』(岩波書店、2000 年)、など。今年5月に北京大学でも講義されました。

    『9.11』後のニューヨーク:その衝撃と反応

  • 講師: ジョン・H・モレンコフ(ニューヨーク市立大学大学院教授)
  • 日時: 2002年6月18日(火)7:00 pm
  • 会場: 国際文化会館講堂

略歴:ジョン・H・モレンコフ

ジョン・H・モレンコフ教授は、ハーバード大学で博士号取得後、ニューヨーク市都市計画局経済開発部長、スタンフォード大学助教授を経て、1981年より現職。同大学都市研究センター所長として分野・領域を横断する都市研究及び公共政策に関するプログラムを実施運営しています。都市政治学の論客として国際的に知られ、主要著書にはA Phoenix in the Ashes: The Rise and Fall of the Koch Coalition in New York City Politics (Princeton University Press, 1992)、Place Matters: Metropolitics for the Twenty-First Century (co-author, University Press of Kansas, 2001)があります。現在は、2001年9月11日の世界貿易センターに対するテロ攻撃事件の衝撃とそれに対する市当局や市民の反応についての研究に力を注がれています。

    『小泉内閣と自民党政治の終焉 』

  • 講師: 北岡伸一(東京大学教授)
  • 日時: 2002年5月21日(火)7:00 pm
  • 会場: 国際文化会館講堂

略歴:北岡伸一

北岡教授は東京大学法学部教授で主に日本政治外交史や日米関係史の研究で知られた歴史研究者であり、また小泉内閣の対外関係タスクフォースのメンバーとして精力的に政策提言を行っている政治学者でもあります。 その主要著書には『日本陸軍と大陸政策-1906~1918』(東京大学出版会、1978年)、『清沢洌』(中央公論社、1987年)、『後藤新平-外交とビジョン』(中央公論社、1988年)、『日米関係のリアリズム』(中央公論社、1991年)、『自民党-政権党の38年』(読売新聞社、1995年)、『「普通の国」へ』(中央公論新社、2000年)などがあります。 国際文化会館は1993年より毎年エドウィン・O・ライシャワー記念講演会を日米両国において交互に開催しておりますが、本講演会は本年2月に米国で行ないました第8回講演に基づき実施するものです。

    国際シンポジウム
    「新世紀の文化政策―グローカル化の文脈の中で」

  • 日時: 2002年3月20日(水)10:00 pm―17:00pm
  • 会場: 国際文化会館講堂
  • 主催: 芸術文化政策研究会、国際文化会館、文化経済学会<日本>
  • 助成: 国際交流基金

「文化芸術振興基本法」の成立に伴って日本の文化政策の展開はあたらしい画期を迎えようとしています。特に、芸術文化の振興に関する中央政府と地方自治体の責務を明示したことは、関連する予算の増加などが期待出来る一方、成立過程における国民的議論の広がりのなさ、文化権に関する規定の曖昧さ、および中央主導による政策展開の可能性など、今後検討を要する課題が残されていると指摘する声もあります。他方、目を海外に転じてみると、文化政策は従来の国家中心モデルから離れ、グローバルとローカルの二つの方向に大きく転換していることが分かります。一方は、巨大メディア産業によるグローバル化傾向であり、今一つは都市や市民による分権的文化計画の流れが顕著となっています。 本シンポジウムは、芸術文化政策研究の分野における内外の著名な研究者・実務家を招き、文化政策をめぐる新たな文脈の中で、新世紀の文化政策のあり方を検討します。

略歴:ハロルド・W・アトリッジ」

アトリッジ教授は新約聖書教父学でハーバード大学より博士号取得。サザン・メソジスト大学パーキンス神学部準教授、ノートルダム大学教授をへて、1997年よりエール大学神学部教授。2002年より同大学神学部長。聖書文学協会会長。主な著作としてThe Interpretation of Biblical History in the Antiquitates Judaicae of Flavius Josephus (Missoula: Scholars, 1976)、Nag Hammadi Codex I (The Jung Codex) (Leiden: Brill, 1985. Nag Hammadiテキストの註解)、Hebrews: A Commentary on the Epistle to the Hebrews (Philadelphia: Fortress, 1989)があり、日本語では、『エウセビオス研究』(秦剛平と共編、東京:リトン、1992年より刊行中。第1巻 キリスト教の起源と発展、第2巻 キリスト教の正統と異端、第3巻 キリスト教とローマ帝国)があります。

    『非常事態における人道的介入:社会科学の果たすべき役割』

  • 講師: クレイグ・J・カルホウン (社会科学研究評議会(SSRC)会長 )
  • 日時: 2002年3月13日(水)7:00 pm
  • 会場: 国際文化会館講堂

略歴:クレイグ・J・カルホウン

アメリカの著名な社会学者であるカルホウン博士は、難民、伝染病、民族紛争、通貨危機など、現代の様々な非常事態を真剣に受け止め、このような危機に際して人道的な介入や対処を行う場合に、社会科学はどのような役割を果たしうるか、という視点からお話される予定です。現代は非常事態が常態になっているという逆説的な状況を迎えています。イスラエルとパレスチナの中東紛争は50年を経てもなお、非常事態、と呼ばれ、9月11日はわずか一日でも、「テロとの戦争」は長引く非常事態を意味しています。社会科学は、非常事態を考慮に入れざるをえないのみならず、援助の結集、保健衛生の水準確保、女性や人口移動に及ぼす影響など、非常事態に共通する過程の分析に、深く大きな貢献ができるはずです。 カルホウン博士は、ノース・カロライナ大学、ニューヨーク大学、オスロ大学、北京外国語大学などで教鞭をとり、1999年よりSSRC会長を務めておられます。博士の履歴及び業績は、SSRCのウェブサイト

  • (http://www.ssrc.org)
  • からアクセスできます。

      『ノーベル賞 ― 20世紀の科学と文化の鏡』

    • 講師: スヴァンテ・リンドクィスト (ノーベル博物館館長)
    • 日時: 2002年3月11日(月)7:00 pm
    • 会場: 国際文化会館講堂

    略歴:スヴァンテ・リンドクィスト

    リンドクィスト氏は、スウェーデンのRoyal Institute of Technology (RIT)で物理学修士号、ウプサラ大学で科学思想史の博士号を取得されました。RIT、カリフォルニア大学バークレー校、ペンシルバニア大学などで教鞭を取った後、1998年からノーベル博物館館長を務めておられます。編書に、Center on the Periphery: Historical Aspects of 20th-Century Swedish Physics (Science History Publications/USA, 1993)、Museums of Modern Science (Science History Publications/USA, 2000)があります。このたび、国立科学博物館におけるノーベル賞100周年記念展「創造性の文化:個人と環境」(2002年3月19日~6月9日)のために約1ヶ月間日本に滞在されます。

      『グローバリゼーションと人間の安全保障 』

    • 講師: アマルティア・セン(ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジ学長)
    • 日時: 2002年2月18日(月)1:30pm-5:00 pm
    • 会場: 経団連会館11階国際会議場(東京都千代田区大手町1-9-4)

    略歴:アマルティア・セン

    アマルティア・セン博士は、On Economic Inequality邦訳『不平等の経済学』(東洋経済新報社、2000)やPoverty and Famines邦訳『貧困と飢饉』(岩波書店、2000)などをはじめとする多数の著作を通じて厚生経済学の新しい理論構築に大きな貢献をし、1998年度ノーベル経済学賞に輝いております。 また実践面においても意欲的な活動をされており、2001年に発足した「人間の安全保障委員会」(Commission on Human Security)の共同議長を緒方貞子・元国連難民高等弁務官と共に務めておられます。 セン博士の英文略歴は、ノーベル財団のウェブサイト

  • (http://www.nobel.se/economics/laureates/1998/sen-autobio/html)
  • でご覧になれます。 なお、この講演は、石坂記念講演シリーズ(主催:国際文化教育交流財団、協力:国際文化会館)の一環として行われるものであります。 二部構成で、それぞれが約60分の講演と30分の質疑応答とから成っております。