2004年度 アイハウス・パブリック・プログラム

グローバル化するテロに抗して:平和・人権教育の役割

  • 講師: ベティー・リアドン (コロンビア大学・ティーチャーズ・カレッジ
    平和教育センター名誉所長)
  • 日時: 2004年11月25日(木) 7:00 pm
  • 会場: 国際文化会館講堂
  • 用語: 英語(通訳なし)

略歴:ベティー・リアドン

リアドン教授はニューヨーク大学にて歴史学M.A.を、また、コロンビア大学にて国際教育の分野でEd.D.を取得。平和、人権、ジェンダー研究の領域で行動派の識者として知られています。日本では沖縄の米軍基地問題に関連した女性への暴力の問題に深く関与してこられました。2001年には、長年に渡る国境を越えたその平和構築活動への功績により、UNESCOより平和教育賞の佳作を授与されました。現在は、ティーチャーズ・カレッジ東京キャンパスで平和教育プログラムを担当しておられます。主な著書に、Comprehensive Peace Education: Educating for Global Responsibility (Teachers College Press, 1988)、 Education for Human Dignity: Learning & Rights and Responsibility (University of Pennsylvania Press, 1995)、Sexism & War System (Syracuse University Press, 1996)、Tolerance: The Threshold of Peace (UNESCO, 1997)などがあります。

  • 講師: ナンシー・カセバウム・ベーカー (元米国カンザス州上院議員 ハワード・ベーカー駐日米国大使夫人 )
  • 日時: 2004年11月15日(月)7:00 pm
  • 会場: 国際文化会館レセプションルーム

略歴:ナンシー・カセバウム・ベーカー

カンザス州知事を務め1936年共和党大統領候補指名を受けたアルフレッド・ランドン氏を父に、政治一家の中で育ったナンシー・カセバウム・ベーカー元上院議員は、カンザス大学にて政治学B.A.を、また、ミシガン大学にて外交史のM.A.を取得。1979年から1997年まで、カンザス州選出の連邦上院議員(共和党)を3期務められました。また、任期の間には上院のアフリカ問題小委員会委員長(外交委員会)や労働・人的資源委員会委員長などを務め、現在は、ハワード・ベーカー駐日大使夫人として日米の友好親善促進のため、多方面で活躍しておられます。 (用語:英語、通訳なし)

この講演は国際文化会館と日本アジア協会との共催によるものです。

国際文化会館 / 国際交流基金
アジア・リーダーシップ・フェロー・プログラム 公開シンポジウム

  • Acting Asian: グローバル化する世界における矛盾と挑戦
  • 日時: 2004年10月26日(火)・27日(水)6:00~9:00pm
  • 会場: 国際文化会館講堂
  • 用語: 日本語/英語(同時通訳付き)

社会のグローバル化の過程でさまざまな矛盾が噴出する中、アジア諸国は自発的かつ意識的にみずからのアイデンティティを問い直し、その再定義を試みています。毎年「アジア・リーダーシップ・フェロー・プログラム」では、アジア各国で傑出したリーダーシップを発揮している識者を招聘し、アジア諸国が抱える懸案事項に関する議論と思索の場としての様々なプログラムを2ヶ月にわたり実施しています。本年度のフェロー7名は「アイデンティティ、安全保障、そして民主主義」という総合テーマのもと、セミナー、ワークショップ、フィールド・トリップ(地方視察)を通じ、忌憚のない議論を9月初めより重ねてきました。ALFPでは特にフェロー間の対話に重点を置き、アジアの知識人のネットワークの強化と地域の将来を見据えた新しいビジョンの提示を目指しています。今回のシンポジウムでは、アジア諸国が共通して直面する懸案事項や課題について、各フェローがそれぞれの研究に基づいた問題提起を行うとともに、2カ月間の共同作業の成果を報告します。]

パネリスト (2004年度アジア・リーダーシップ・フェロー)

  • 10月26日(火)
    講師: 費春放 フェイ・チュン・ファン (中国)(華東師範大学英語学部教授;大学院アメリカ研究プログラムディレクター)「舞台芸術から見た変容する女性の役割」

  • 講師: ジャムハリ (インドネシア)(国立イスラム大学イスラム社会研究センター(PPIM-UIN, Jakarta)所長)
    「インドネシアにおけるイスラム原理主義:民主主義への挑戦」
  • 講師: チャンドリカ・セパリ・コテゴーダ (スリランカ) (女性とメディアの共同体創設メンバー/代表)
    「南アジアの女性の創出のために:スリランカからの視点」
  • 講師: カリーナ・アフリカ・ボラスコ (フィリピン)(アンヴィル出版出版事業統括部長)
    「英語、教育、フィリピン人としてのアイデンティティ」
  • 10月27日(水)

  • 講師: グエン・ヴァン・チン (ベトナム) (国立ベトナム大学ハノイ校民族学部専任講師/アジア太平洋研究センター副所長)「ベトナムにおける児童労働:開発主義への挑戦」
  • 講師: 草郷 孝好 (日本)(北海道大学大学院経済学研究科助教授)
    「日本の『成長の質』への疑問」
  • 講師: キンレイ・ドルジ (ブータン) (Kuensel新聞社専務理事/編集長)「人間にとって真の豊かさとは?:ブータンからの視点」

    翻訳について

  • 講師: エドワード・サイデンステッカー (コロンビア大学名誉教授)
  • 日時: 2004年10月19日(火) 7:00 pm
  • 会場: 国際文化会館講堂
  • 用語: 英語(通訳なし)

このプログラムは国際文化会館とカリフォルニア大学バークレー校日本同窓会との共催によるものです。

略歴:エドワード・サイデンステッカー

エドワード・サイデンステッカー氏は日本文学作品の最も優れた翻訳者の一人として広く知られており、川端康成、谷崎潤一郎、紫式部らの作品の英訳は翻訳自体が傑出した文学作品であると見なされています。『雪国』『細雪』『源氏物語』などに代表される氏の翻訳によって日本文学が世界的な注目を浴びることになったといえますが、川端自身「サイデンステッカー氏の翻訳がなければ、ノーベル賞受賞はありえなかった」と述べていたほどです。 サイデンステッカー氏はコロラド大学米海軍日本語学校で日本語を習得し、太平洋戦争時に通訳の任務に従事した後、国務省翻訳官を経て、スタンフォード大学、ミシガン大学、コロンビア大学において教鞭を執られました。この講演では、ほぼ50年に渡る日本文学翻訳活動の中で直面した問題点を中心に論じていただく予定です。翻訳のプロセス、翻訳作品の選定、比較の観点から作家別の翻訳難易度などについても触れていただきます。

    築地:世界を動かす日本の魚市場

  • 講師: テオドル・ベスター(ハーバード大学教授)
  • 日時: 2004年7月22日(木) 7:00 pm
  • 会場: 国際文化会館講堂
  • 用語: 英語(通訳なし)

略歴:テオドル・ベスター

テオドル・ベスター教授は、文化人類学と日本研究を専門とする研究者で、スタンフォード大学で人類学の博士号取得後、コロンビア大学、コーネル大学を経て、2001年より現職。1994-96年には、都市人類学会会長、2001-03年にはアメリカ人類学会東アジア部門会長を務めました。主要著書にNeighborhood Tokyo (Stanford University Press、1989年)、Doing Fieldwork in Japan(共編 University of Hawaii Press、2003年)、また主な論文に、How Sushi Went Global『いかに寿司はグローバル化したか』(Foreign Policy、2000年)などがあります。ベスター教授は、12年に渡り日本、北アメリカ、韓国、ヨーロッパの漁港や魚市場にて現地調査を行い、築地市場を構成する社会構造や築地を中心として拡がる世界的な流通ネットワーク、また日本の食文化における築地の役割に焦点を当てた世界初の築地に関する民族誌であるTsukiji: The Fish Market at the Center of the World (University of California Press、2004年)をこのほど刊行されました。今回の講演はこの長年の研究成果に基づいたものです。

    放課後からの教育改革

  • 講師: 川上 敬二郎 (2002年度米日財団メディア・フェロー/TBS記者)
  • 明石 要一 (千葉大学 教育学部 教授)
  • 日時: 2004年3月29日(月) 7:00 pm
  • 会場: 国際文化会館講堂
  • 用語: 日本語(通訳なし)
国際文化会館は1996年より「米日財団メディア・フェローシップ」をニューヨークのジャパン・ソサエティーと共催しています。このプログラムは、世論形成に大きな影響力をもつ日米のメディア界の交流を目的とし、ジャーナリストを相互に2ヶ月間、相手国に派遣して、個々の専門分野・関心分野のみならず相手国に対する幅広い理解を深めてもらうものです。 川上敬二郎氏は慶應義塾大学卒業後、東京放送(TBS)に入社、「ニュースの森」ディレクターなどを経て、現在は厚生労働省担当記者です。米日財団メディア・フェローとして2003年4月から2ヶ月間滞米し、アメリカの放課後活動の実態を調査しました。 明石要一氏は奈良教育大学卒業後、東京教育大学博士課程を修了、現在は千葉大学教授・教育実践総合センター長を務めています。教育社会学の権威で、文部省の中央教育審議会専門委員や生涯学習審議会特別委員を歴任し、現在は日本経済新聞にコラム「今どきの子ども」を連載しています。『習熟度別授業は学力を高める』(明治図書出版、2003年)、『子ども理解のウォッチング技術』(明治図書出版、2002年)などの著書があります。 今回の講演会では、アメリカの都市部を中心に、ここ数年で始まった放課後改革についてご報告いただくとともに、選択肢に乏しく、子ども達に充分な居場所を提供していない日本の放課後の実態を変えることが日本の教育、ひいては社会の変革につながる可能性について、おふたりに伺います。どうぞご自由に意見交換にご参加ください。

    新渡戸フェロー在外研究報告会

  • Presentation by Nitobe Fellows on their Research Overseas
  • 司会: 加藤 節(成蹊学園専務理事・成蹊大学教授(1979-81新渡戸フェロー) )
  • 日時: 2004年3月18日(木)16:30~18:00 報告会/18:00~19:00 懇親会
  • 会場: 国際文化会館講堂
  • 用語: 日本語

国際文化会館は、日本の社会科学のさまざまな分野で将来指導層となり、また学術文化の国際交流を積極的に進めていく意欲と能力を持つ人材の養成を目指して、1976年より「社会科学国際フェローシップ・プログラム」を実施しております。国際相互理解の増進に先駆者的役割を果たした新渡戸稲造博士(1862-1933)にちなんで「新渡戸フェローシップ」とも呼ばれているこのプログラムは、毎年若手の社会科学研究者数名を選抜し、海外の大学・研究機関に派遣するもので、現在は、国際交流基金、大和日英基金、アジア会館、二十一世紀文化学術財団(木川田記念財団)のご協力により運営されております。これまでに派遣されたフェローの総数は155名に達し、現在も8名のフェローが在外研究中です。  この度、この一年間に帰国いたしましたフェロー下記4名の在外研究報告会・懇親会を下記の通り行ないますので、ご参加いただきたく、ご案内申し上げます。

報告のレジュメは、このホームページにて順次公開いたします。

< 2001-02年派遣フェロー>

  • 岩橋健定 (東京大学大学院新領域創成科学研究科 助教授(環境法学) アジア会館・新渡戸フェロー)
    派遣先:ルイス・クラーク大学ノースウエスタン・ロー・スクール(米国)
    研究テーマ:「環境に影響を及ぼす意思決定に環境価値を適切に反映するための法制度」
  • 根本到 (神戸大学海事科学部 助教授(労働法) 国際交流基金・新渡戸フェロー)
    派遣先:ボーフム大学(ドイツ)
    研究テーマ:「ドイツにおけるテレワーカーの法的規制」
  • 西埜晴久 千葉大学法経学部 専任講師(計量経済学) 大和日英基金・新渡戸フェロー
    派遣先:ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス・アンド・ポリティカル・サイエンス(英国)
    研究テーマ:「非定常性および長記憶性をもつ時系列」
  • < 2002-03年派遣フェロー>

  • 唐澤靖彦 立命館大学文学部 助教授(歴史学・中国) アジア会館・新渡戸フェロー
    派遣先:カルフォルニア大学ロサンゼルス校(米国)
    研究テーマ:「明清中国における習俗の『文明化』:民衆の身体所作と国家・社会支配層による教化」
  • なお、同じく今年度帰国フェローの飯島みどり氏(立教大学助教授、ラテンアメリカ近現代史・地域研究、国際交流基金・新渡戸フェロー、派遣先:エル・サルバドル中米大学)の在外研究報告(「救世主の国」の受難を見つめて)は、国際文化会館会報(Volume 14, Number 2, Autumn 2003)に掲載されております。

      「日本」再考:近代日本における境界とマイノリティ

    • 講師: テッサ・モーリス=スズキ(オーストラリア国立大学教授)
    • 日時: 2004年2月27日(金) 7:00 pm
    • 会場: 国際文化会館講堂
    • 用語: 英語(通訳なし)

    略歴:テッサ・モーリス=スズキ

    テッサ・モーリス=スズキ教授はオーストラリア国立大学教授で、主に日本思想史や日本経済史の研究で知られた歴史学者であり、また、近代日本のアイデンティティやナショナリズムに関しての発言を通じてさまざまな問題提起をされている研究者です。現在、アジアにおける国境管理をテーマとした共同研究プロジェクトに携っているほか、”自由を耐え忍ぶ”と題する論考が『世界』(岩波書店刊)に連載中です。主要著書には『日本の経済思想:江戸期から現代まで』(岩波書店、1991年)、『グローバリゼーションの中のアジア:カルチュラル・スタディーズの現在』(共著 未来社、1998年)、『辺境から眺める:アイヌが経験する近代』(みすず書房、2000年)、『批判的想像力のために:グローバル化時代の日本』(平凡社、2002年)、『日本はどこへ行くのか』(共著 講談社、2003年)、などがあります。 今回の講演では、近代日本の境界がどのように創出されたかに焦点を当て、その線引きがマイノリティ社会の生活にもたらした影響を検証します。日本はしばしばその境界が地理的な条件によって決められた”島国”と見なされがちですが、その境界を注視してみると、それは歴史形成の過程で創出された産物であり、東アジアの政治的な変動に応じて、何度も引き直されたことがわかります。その境界線の変更が日本におけるアイヌ人、琉球人、そして在日朝鮮人のようなマイノリティ社会の生活にもたらした影響を探求することは、地球的規模で人の越境活動が増加しつつある21世紀の今日的状況を理解・認識するためにも必要不可欠な作業であるといえるでしょう。