2006年度 アイハウス・パブリック・プログラム

アイハウス連続セミナー 秋シリーズ「ニッポンに風穴をあけるプロフェショナルたち」

  • 時間: 全て7:30-9:00 pm(開場19:00)
  • 会場: 国際文化会館別館講堂
  • 会費: 各回 一般1,500円(5回一括6,500円)、学生1,000円(5回一括4,500円)、割引料金*500円(5回一括2,200円) *割引料金は国際文化会館会員の方に適用されます。
  • 用語: 日本語

本シリーズでは、様々な分野で日本を活性化し、内外で活躍するプロフェッショナルな力に焦点を当て、新しい視点によって実際に企業、あるいはその業界や社会を活性化している方々の本音をお聞きします。時事放談で終わることなく、具体的な実践あるいは提言を行っているプロフェッショナルの辛口な意見が、日常の中で閉塞的になりがちな思考に風穴をあけ、活性化するきっかけとなれば幸いです。

11月14日(火)「仕事も人生もうまくいく-アメリカ人頭取のマネージメント哲学」
講師:L・タッド・バッジ(東京スター銀行 取締役兼代表執行役頭取)

L・タッド・バッジ内容:外国人として、40代という若さで、最年少の国内銀行頭取となったタッド・バッジ氏は、就任後わずか3年で会社の東証一部上場という快挙を果たしました。日米の企業文化や経営方法の優れた面を積極的に取り入れ、企業内部からの変化を醸成した手腕が高く評価されています。変化の激しい現代、企業文化の長所を生かし、人材を有効活用するためにできることは何か、リーダーの条件、企業の価値基準の作り方、社員への権限委譲について、宣教師、米国系金融機関勤務等の経歴を持つ、アメリカ人若手経営者の視点からお話しいただきます。

11月21日(火)「中国から見た日本企業のソフトパワー」
講師:莫邦富(作家・ジャーナリスト)

莫邦富内容:日本では問題とならない企業名や商品名、あるいはテレビコマーシャルに登場するシンボルが持つ文化的意味が、中国では、日本製品の不買運動などを引き起こすケースがあります。アジアにおける日本の存在感の低下は、単に日本経済の成長力低下の問題ではなく、他国に対する発信力、コミュニケーション力やイメージ戦略の問題もあるでしょう。日本企業の中国進出最前線のウォッチャーとして知られる在日の論客、莫邦富氏に、日中関係をビジネス面から改善してゆくためのヒントや日中の文化的差異についてお話しいただきます。

11月30日(木)「変革著しい時代におけるキャリア・プランのつくり方・考え方」
講師:モンテ・カセム(立命館アジア太平洋大学学長)

モンテ・カセム内容:世界75カ国・地域から集まる留学生が約半数を占め、教員の約半数も外国籍という立命館アジア太平洋大学では留学生の日本企業への就職率99%を誇り、企業からも注目を集めています。同大学の学長であり、大手ゼネコンの設計部、国連の地域開発センター研究員、大学教授と、多彩な人生を送ってこられたカセム氏。氏にこれからの国際的なキャリア・プラニングについて、また、国際的な環境で活躍したいと考えている方が身につけるべき力など、現在氏が大学で主導している「グローバル人材育成事業」と絡め、氏自身のご経験から語っていただきます。

12月8日(金)「グローバル時代における企業の競争力」
講師:グレン・S・フクシマ(エアバス・ジャパン株式会社 代表取締役社長)

グレン・S・フクシマ内容:官民双方の立場で国際関係の最前線にいらしたご経験からフクシマ氏に、グローバル時代の現代における企業の競争力や必要となる戦略的思考についてお話いただきます。現在、日本法人の社長をされているエアバス社は国籍の異なる四つの会社の統一により成立し、特定の国の利益のために働くという意識を越えた広い国際的視野を持っていることからも世界のニーズに応える企業、グローバル化への対応が遅れたとされる日本企業の競争力回復の展望などについてもふれていただきます。

12月19日(火)「日本映画の再興-新風を吹き込むバランス感覚」
講師:李鳳宇(シネカノン代表取締役))

李鳳宇内容:ヨーロッパでは芸術、アメリカではビジネスとして位置づけがほぼ明確な映画が、日本ではその位置づけが曖昧とされています。数々の映画賞を受賞した『パッチギ!』のプロデュースや韓国映画『シュリ』の配給で知られる李氏は、そのような日本映画界の中で必要なバランス感覚を発揮され、外国映画の日本紹介と日本映画の再興のために活躍されています。このバランス感覚は映画産業に限らず他の分野でも重要ではないでしょうか。李氏に、人の心を揺さぶる強い作品性と海外マーケットまで見据えたビジネスの採算性のバランスや日本の映画産業と他国とのマーケティング方法の違い等についてお話いただきます。
渡辺靖

コーディネーター:渡辺靖(慶應義塾大学教授)

フランク・C・ラングドン記念シンポジウム

  • 日時: 2006年11月15日(水)11:00~5:00 pm
  • 会場: 国際文化会館 樺山ルーム
  • 会費: 無料
  • 定員: 30名
  • 用語: 英語(通訳なし)
  • 主催: 国際文化会館/フランク・C・ラングドン教授記念シンポジウム実行委員会
  • 後援: カナダ大使館/ブリティッシュ・コロンビア大学

プログラム

【基調講演】「フランク・C・ラングドン教授の功績」
アーサー・ストックウィン(オックスフォード大学ニッサン日本問題研究名誉所長)

【DVD上映】

【セッション1】 「日本外交の新たな力学」
モデレーター: 川崎剛(サイモン・フレイザー大学助教授)
プレゼンター: 猪口孝(中央大学教授)
“The Decision-making process and its impact on Japanese Foreign Relations”
アンドリュー・ホルバート(東京経済大学客員教授)
“Broadening the Historical Dialogue in Northeast Asia: Can Non-State Actors Play a positive role in econciliation?
ディスカッサント: 渡邉昭夫(東京大学名誉教授)

【セッション2】 「変わりゆく日本の安全保障政策」
モデレーター: 西原正(財団法人平和・安全保障研究所(RIPS) 理事長)
プレゼンター: ブライアン・ジョブ(ブリティッシュ・コロンビア大学教授)
“Asia’s Evolving Security Order. What role for Japan?”
片原栄一(防衛庁防衛研究所主任研究官)
“Japan and a New International Order: A Case for an East Asian Community”
ディスカッサント: グレン・フック(シェフィールド大学教授)

【質疑応答・ディスカッション】

アイハウス連続セミナー 2006春シリーズ「東アジアのゆくえ」

  • 時間: 全て7:00pm-8:30 pm
  • 会場: 国際文化会館別館講堂
  • 受講料:全4回分7,000円、1回参加2,000円(学生1回1,000円)

4月 5日(水)「東アジア共同体と日米同盟」

 「東アジア共同体」構想に関わる日本は、日米同盟あるいは東アジア共同体の二者択一の選択をせまられているという見方もあるが、実際のところ、日本が「東アジア共同体」に加わって隣国との連携を高めることはアメリカにとって どのような意味があるのだろうか。また、アメリカはどのようにこの構想やその中でキーポイントとされる日中関係を捉えているのだろうか。9月には決まるポスト小泉政権によってその見方や関係がどのように変わるのかということも含め、 アメリカから見た「東アジア共同体」と日米関係への影響について考える。
講師: ジェラルド・カーティス(コロンビア大学教授)
コメンテーター: 添谷芳秀(慶應義塾大学教授)

4月14日(金)「人の移動からみた東アジア地域-統合と再編」

移民にかかわるさまざまな問題は、欧米諸国の主要な政策課題となっている。人口減少と少子高齢化社会に突入したとされる日本でも、バブル期と同様に、再び外国人労働者の受け入れ論議が行われようとしている。移民を  管理すべき対象として捉えてきた従来の移民政策は、すでに限界に達している。本セミナーでは、アジアからの移民労働者の増加が世界経済の構造転換とどのように結びついて展開してきたのか、ケア労働や家事労働に従事す る女性移民労働者、先端技術労働やビジネス移民といった新しい移民の流れがアジア地域の経済的な統合化と政治的な再編成をどのように映し出しているのか、そして移民問題といわれるものがグローバル化による場をめぐる闘 争としてどのように現れているのか、を考える。
講師: 伊豫谷登士翁(一橋大学教授)
コメンテーター: 色平哲郎(長野県南相木村診療所所長)

5月10日(水)「東アジアの持続可能な発展を求めて-環境協力をどう推進するか」

急激な経済成長をとげる東アジア。1990年代前半、世界銀行は「東アジアの奇跡」として称賛した。その後、21世紀に入り、「東アジア共同体」の構想も現実味を帯びて語られている。しかしその裏面で、東アジアでは、この間に 各種の深刻な公害問題が多発し、様々な環境被害が次々と顕在化しつつある。この状況のなかで、われわれはいったい何をなすべきか。日本を含む東アジアの持続可能な発展に向けて、いまや急務となっている「アジア環境協  力」の構築をめぐる様々な課題について考察する。
講師: 寺西俊一(一橋大学教授)
コメンテーター: 渡辺富夫(富士ゼロックス株式会社アセット・リカバリー・マネージメント部部長)

5月17日(水)「東アジアにおける日中関係」

東アジア共同体形成において、日中関係の修復は大きな課題とされ、各国に注目されている。また、東アジアサミットにおいては今後力を増す中国とインド両国の関係も隠れた課題として、また、今後石油消費量の増大が予想 される中国の台頭とエネルギー供給の問題も懸念されている。本セミナーでは、中国の東アジア地域における目標や戦略は何なのか、中国の考える東アジア共同体像と東アジア
 地域への影響を考える。
講師: 朱建栄(東洋学園大学教授)
コメンテーター: 国分良成(慶應義塾大学教授)

講演会 “ニート”問題とはなにか?

  • 講師: 玄田有史(東京大学社会科学研究所助教授)
  • 時間: 2006年2月25日(土)2:00pm-3:30pm
  • 会場: 学士会館 320号室
  • 会費: 国際文化会館会員 無料、一般 1,000円
  • 用語: 日本語(英語同時通訳付き)

新しい年がスタートし、世間では株価の上昇に伴い景気回復の兆しが見えてきたか、などと希望的観測がささやかれていますが、果たして現在の日本は若者が希望を持てる社会なのでしょうか。また、格差社会の到来などということも頻繁に言われますが、データが語る実態とは・・・。この講演会では、ニート、パラサイト・シングル等の言葉に代表される、若者を取り巻く社会生活や労働環境悪化の問題の背景にあるもの、その曖昧な不安の原因を探り、若年雇用問題の今後を展望します。

玄田有史

玄田有史氏は、雇用・労働問題に関するデータを重視した精緻な分析を基礎に、社会的に弱い立場に置かれた若者や女性などの働く環境改善のための論評と行動で知られています。東京大学にて教鞭を執る一方で、2004年より経済財政諮問会議専門委員などを兼任。また、日本経済の低迷を原因とする、急速に失われつつある希望と社会についての相互関係を考察する『希望学プロジェクト』を実施しています。

最近の主要著書には『働く過剰:大人のための若者読本』(NTT出版、2005年)、『仕事のなかの曖昧な不安:揺れる若者の現在』(中公文庫、2005年。2001年発行の初版は、第24回サントリー学芸賞(政治・経済部門)、第45回日経・経済図書文化賞受賞。英訳A Nagging Sense of Job Insecurity: The New Reality Facing Japanese Youth, LTCB International Library Trust, International House of Japan, 2005)、『ニート』(共著、幻冬舎、2004年)などがあります。

玄田有史氏のウェブサイト『玄田ラヂオ Yuji Genda’s Site』へはこちらをクリックして下さい。

長銀国際ライブラリーについて

国際文化会館では、長銀国際ライブラリー財団の解散に伴う残余財産の寄付により作られた「公益信託長銀国際ライブラリー基金」の運用により、政治・経済・社会・文化などについての日本人による著作を毎年2~3点選んで英訳し、内外に広く配布することを通じて日本理解の増進に資することを目指した出版事業を行っておりますが、上述の翻訳出版はこの事業の一環として実施したものです。